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綺麗事の吐き捨て場

 小学校の卒業文章で綴った作文、自慢げに親や親戚に見せびらかせた。誇らしげにしてたから、その当時はうまく書けたと酔いしれていただろう。親や親戚に言われた、「文を書くのが上手だね!」…ただそれだけだった。

 色んな人に褒められた文はただ褒められただけで、これといって表彰や称賛されるわけでもなく、ただ上手という評価のそれ以上それ以下でもないものに過ぎなかった。歳を重ねていくにつれ、それを身に染みて実感していく日々。唯一、自分が持っている才能だと思っていた物はただのありふれた凡能の一つだった。それでも私はその凡能がいつか宝石の原石のように、磨けば輝く事を信じて言葉を綴ってきた。

…そんな綺麗事をいつまでほざいているのだろう。才能なんて物は自分には無い、そう何度も自分に言い聞かせてたはずだ。それに綴る言葉も、ありふれた言の葉が生い茂ってるだけに過ぎない。才能がある人が綴る、胸の内を付くような言葉を実らせることなんて出来なかった。

 目の前を大観衆で埋め尽くして、MCで感動させるバンドマンやテレビ活躍するスポーツ選手、画期的な方法で新しい技術を開発する発明家…。いつか思い描いたスーパースターになんてなれるはずもなく、ただの綺麗事だとして片付けた。大人になるにつれ、汚れだけが増した。そして、辛くなっている友達や大切な人を少しでも楽に出来るように綴った言葉もただの綺麗事だと言われ、何も出来ず立ち尽くした。

 それでも私はどれだけ絶望しても、どれだけ自分はダメだって自覚しても、自分の胸の内達を書き踊らせた。


そう、


いつか私が綴った言葉やその想いが誰かの日々の一瞬を彩れますように
                    

と。

そんな”綺麗事”を思い描きながら、

誰でも無い誰かの為、そして自分自身の為に
今日も私はこの場所に言の葉達を吐き捨てる。

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