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人のアンバランスさが、らしさになる。自分の原点に還れるデザインを/YUMIさんのLife story

「人生で初めて、会社の肩書がない”自分”でお金を頂くことができて嬉しかったんです。その時のことを忘れたくなくて。」

ブランディングwebデザイナーとして活動するYUMIさんから連絡を頂いたのは2023年の10月。副業も、自分のサービスをリリースすることも初めてだったと話す彼女が、どんなプロセスを経て”この先何度でも思い出したい感情”と出会ってきたのか。

これからも続く人生の挑戦、そのひとつの始まりのストーリーをここに綴ります。

YUMI/Atelier.Unbalanceデザイナー
学習障害であることに葛藤した学生時代。その経験を経て生まれた「デコボコの自分をブランディングして自分自身を愛おしく想える人を増やしたい」という想いをビジョンに掲げ、30歳でフローリスト兼webデザイナーとして活動を始める。2児の母でもあり、自分の強みを活かして誰かの幸せの為に働く生活を開拓中。




「育休中にキャリアアップしなくちゃ!」


━━YUMIさんは、いつ頃から起業を考えていたんですか?

YUMIさん:起業どころか、今から3か月前(2023年7月)までは、まさか自分がサービスをリリースしているなんて想像もしていませんでした(笑)


━━そうなんですか!?

YUMIさん:新卒で日比谷花壇という花屋さんに入社をしてから8年間、とにかくがむしゃらに働いていたんです。某ホテルのウエディング装花デザイナーをしたり、本社でマーケティングや商品企画のディレクション、子会社の執行役員を務めたり。

━━経歴がすごい……!多才ですね。

装花デザイナーの頃

YUMIさん:もともと向上心はあるタイプだったこともあって、成果を出して会社から認められることもすごく嬉しかったし、花を通して誰かの”幸せのお手伝い”ができることにも誇りを持っていたんですよね。

でも、2021年の夏。「これからだ!」って思ってた29歳の時に、大好きな人との間に子どもを授かったんです。結婚をして、翌年の2022年の春に出産・育休に入って。その時、働くことが好きだったからこそ社会から離れる寂しさというか、孤独みたいなものを感じたんです。

初めての子育ては楽しくて。でも、悩みもあった

YUMIさん:もちろん子どもは愛おしいし、旦那とも協力して子育てをしていたから、大変というよりも楽しかったんですよ。それでも、もっと誰かのために社会の役に立ちたいなとか「この期間にキャリアアップしなきゃ!」って想いもすごくあって。

漠然とした今の生き方に対する不安を感じてFPの資格を取ったり、HTML・CSS(デザインのコーディング)の勉強をしたり。会社に復帰後どうキャリアを進めるか色々と模索していたのが、去年から今年の1月くらい。そんな時に第2子をお腹の中に授かって、育休を1年間伸ばすことになったんです。時間ができたことで、より自分と家族の人生を深く考えはじめて。

少し今までの話と矛盾するかもしれないけれど、もっと子どもや家族との時間も大切にしたいとも思うようになったんです。

そんな時に出会ったのが、キャリアスクールICORE。本当にやりたいことを見つける「自己理解」と、本当にやりたいことを実現する「マーケティング」を一気通貫で学べる。そこで自分らしさや私の役割、行動指針が見えてきて、卒業時にはママ向けのコンサルをしたいと行き着いて動き出したんです。

自分の軸を見つけられた。ただ、卒業した当時はまだ”起業して独立したい”とは考えていなかったなぁ

YUMIさん:オンラインで話す機会が増えて、ふとオリジナルのZOOM背景を自分で作ってみたら「これ好き!」って思えるくらい楽しかったんですよ。「背景を作ったら、喜んでくれる人いるかな?」って興味が湧いたのと、純粋にすごく楽しくて”やりたい!”って思ったことがデザイナーサービスのきっかけでした。


━━楽しいと感じた、その心が赴くままに始められたんですね。

YUMIさん:そうなんです。思い返すと、資料を作るのも汲み取った想いを何らかの表現でカタチにすることも、フラワーデザイナーの経験の中でも特に好きで、同僚からよく褒めてもらってた分野だったんですよね。ZOOMの背景という違うカタチではあるけれど、人の魅力やサービス内容やその先のお客様の感情を感じとってデザインすることは同じだったのかもしれません。

でも、実際に作ってみた後に、想像以上に喜びの声を頂いて驚いたんです。「そんなに?」って。


━━実際には、どんなメッセージが届いたんですか?

YUMIさん:「”~ちゃんぽいね!”って言われました!」だったり「ZOOMの背景を変えてから案件が取れるようになりました!」という声だったり。

実際に制作させて頂いたもの

YUMIさん:その人の”~ぽい”ものが表現できていることが嬉しかったですし、背景ひとつでその人の雰囲気や世界観が伝わったり、想いを届ける後押しになる機会に繋がったことも嬉しかったですね。やってみたことで、そんな効果もあることを逆に気付かせてもらえて。

自分のデザインを通して誰かの役に立てることって、すごくやりがいがあるなって思い始めたんです。


初めて「自分」で価値を届けられた喜び


━━「楽しい」から始まったデザイン。9月にサービスとして本格的にリリースされた直後からすでに予約が数か月待ちになるほど大人気ですが、初めの一歩は緊張したのでは……?

YUMIさん:うーん……。意外と、最初の一歩こそ軽かったし、やっぱり楽しかったんですよ(笑)実は、もともと9月にリリースしようと思って計画してたんですけど、出産予定日1か月前の7月に切迫で入院することになってしまって。


━━なんと!それは大変!!

YUMIさん:身体こそつらかったんですけど、旦那さんが病室にパソコンを持って来てくれて。家事もしないから、その時期はずーっとサービス設計に没頭していたんですよね(笑)それが気分転換にもなったし、その時間があったから想いがどんどん具体的になっていって。

出産が8月に早まって、リリース前の事前調査アンケートを身近な人達へ依頼したのも、実は分娩室に行く1時間前だったんです。


━━そんなパワフルな妊婦さん、出会ったことないです……。

YUMIさん:ですよね(笑)そんな感じで、デザインで誰かの役に立ちたいなと思ってから約2カ月間っていう超フルスピードでリリースして。それくらい前のめりだったのに、お金を頂くことのハードルはすごく高かったんです。貰っても良いのかな?というか。

妥協はしてない!けど、なぜか受け取る緊張が……

YUMIさん:30年間、会社の一員としてだったり、誰かの力を借りてでしか働いたことがなかったから「自分の力で稼いでみたい」という気持ちもあった。でも、いざお金を頂く前提での依頼を受けた時、楽しいだけじゃなくて「ちゃんと相手が求めているものを」という責任感も湧いてきて、ものすごく緊張したんです。

納品した後も「使います!」って喜んでもらえたけれど、本当かな?って怖さも少しあるくらい。その後すぐに、同じ方から別の案件をご依頼いただいて、その時ようやく頂いた喜びの声を素直に受け止めることができたんです!


━━初めて自分の名前で、自分のブランドで価値が届けられた時、どんな心境でしたか?

YUMIさん:自分が世の中に必要とされているというか、私の存在自体に意味があって、価値を認めてもらえたんだなぁって気持ちも込み上がってきました。「やった~!」って。それこそ、応援してくれていた旦那さんも喜んでくれてて。

彼、ICOREの受講も、私が自分のお財布から受講料を出そうとしていたのを「それって家族のためにやってくれてることだよね」って、家族のお財布から出してくれたんです。今思えば、切迫で入院した時も、家族に迷惑をかけたなぁと思ったけれど「いつかこれで返せれば……!」という想いもあって必死だったかもしれません。家族の存在にも支えられたなぁって、感謝しかないですね。

いつも支えてくれる夫と、大好きな家族

━━サービスへの想いはもちろん、大切な家族への想いも、YUMIさんのその一歩を強く支えていたんですね。


人のアンバランスさは「らしさ」そのもの


━━「楽しい」の延長戦にあった今のサービス。そこにはどんな想いが込められているのでしょうか?

YUMIさん:私のデザインって「その人らしさ」を大切にしているんです。この「らしさ」って、私は”アンバランスさ”だと思っていて。そう思うようになった原体験には、小さい頃、私のある障害が分かった時の母の存在が大きかったなと思うんですけど。


━━障害、ですか?

YUMIさん:小学生の時、自分が学習障害だと分かったんです。授業中、教科書を読んでいてもどこを読んでいるか分からなくなったり、文字を覚えられなかったり。頭に浮かんでいる言葉と書いていることが違ったり「なんで自分はできないんだろう」って、すごく苦労していた時期があって。

でも、母は私に合うやり方を考えてくれて、その障害を認めてくれて。私が私を認められて、自分らしいやり方で進んでいくようになれたり「ぼこ(凹)」な経験から「でこ(凸)」が生まれたきっかけは、母の存在だったんですよね。

父が撮ってくれた、幼少期の頃の私と母。いつも温かく見守ってくれた父も、いつもやりたいことを出来るように環境を整えてサポートしてくれていました

YUMIさん:人って必ず、強みもあれば弱みもあるじゃないですか。でも、自分が嫌いだと思っているところや弱さも含めて「それもあるから、あなたにしかできないこと」って在ると思うんです。

だから私は、突出している「でこ(凸)」だけじゃない「ぼこ(凹)」も含めたそのままのらしさを表現したいって思うし、それを体感してもらえるデザイナーとして伴走したい。

それから、このデザインを通して、サービスを続ける人のらしさが潰れないようなブランドを一緒に創っていきたいなとも思っていて。

続けていくなかで、いろんなお客さんの声とか、同じようなことをしている人と比較すると、段々自分らしさがなくなっていくんですよね……。子どもの頃の、”気付いたらみんなと同じになっちゃう現象”と似ていると思うんですけど。

そうならないように、一番よく触れるブランド名やコンセプト、ロゴだからこそ見る度に今の原点に、らしい姿に戻れるようなものを創りたいんです。

アンバランスさは、その人にしかない「らしさ」だから

━━「らしさを守る」ためではなく「潰れないように」という表現から、その人が堂々と自分を生きながら、届けたい想いやものを届けられるように支えるんだという強い想いが、そこにあるんですね。


見えない「幸せの連鎖」その先まで


━━「育休中にキャリアアップを」という願いを、副業を始めるという予想外の方法で叶えたYUMIさん。次はどんな理想を描いていますか?

YUMIさん:私は、「デコボコの自分をブランディングして、自分自身を愛おしく想える人を増やしたい」っていう目指したい社会があるんです。綺麗事に思えるかもしれないけど...…。

その1つの取り組みとして、「デザインの力であなたを最大限に輝かせ新しい世界と愛を創造する」をMISSIONに掲げて、2024年の1月リリースを目標に、今までの私の経験と知識を詰め込んだ女性起業家さん向けのブランド設計からWebデザイン、集客導線までトータルサポートする新たなサービスをスタートさせる予定です。

表現することで届き始めた、私の世界観

YUMIさん:私に依頼してくださる方には想いがあって、届けたい人がいる。その依頼者の方が、自分の熱い想いを火種に、心に火を灯し続けられるブランド感や世界観があることで進む道が拓けていったり、しっかり届けたい人に伝わるデザインと導線で、さらに幸せの輪が広がっていくと思うから。

その、私から見えない幸せの連鎖が続いていくきっかけになる仕事をしたいなと思います。愛のループを作る着火剤的な存在に。


━━YUMIさんって目の前の人を見ているけれど、その先に広がっている可能性や幸せな世界も俯瞰しているからこそ、よりその「一人」に力を注げるんでしょうね。

YUMIさん:そうだと思います。それから、あと3つあって……。


━━3つも!?お聞きしたいです!

YUMIさん:1つは、障害を持つ人が、自分のなかの好きなことを通して人を幸せにできる伴走がしたいなって。苦しんだ過去が足を引っ張るし、障害が治って無くなることはないけれど、今の私は、好きなことで人に喜んでもらえることを体現できたから。

「自分は〇〇ができないから..」と自分を縛り付けたり、やりたい事を諦めてしまってる人に、自分の価値を活かして楽しい生活を送るマインドと方法を伝えていきたいと思っています。どうやって広めていくかは、まだ分からないですけどね。


2つめは、ママ業が原因で自分の人生の幅を狭めてしまおうとしている人向けのサポート。2児の母をしていて感じているのは、子育てもしながら自分の生き方も大切にするために、情報を取ってくる力と円滑に人間関係をまわすマインドとコミュニケーション能力が大事だなっていうこと。

”私”としてハッピーに生きるために学んだ大切なことを、必要な人へ届けたい

YUMIさん:そこに気付いて行動してきたから、私は自分の進みたい道を、ママになった今でも選択できていると思っていて。だから、ママでもやり方次第で自分らしく生きていくことが出来るんだって伝えたいんですよね。

私自身、家族との時間も大切にしながら、笑顔とパワーを届けられるように成長したいなと思うし、そんな想いがあるママと繋がり助け合えるコミュニティも、今後つくりたいです。


最後が、海外拠点を持つこと。これは旦那さんの夢なんですけど、今の私があるのも、家族の応援あってこそだったから。今度は私も、旦那さんのその夢を応援できるように整えていきたいなって思います。家族の夢や進みたい道を常識や年齢とかに縛られず全力で応援して背中を押せる妻であり母でいたいです。

原点を忘れなければ
ビジョンが、私らしい世界へ引っ張ってくれるから

━━悩んだり、経験したこと、周りからの愛、全部が今に繋がって、YUMIさんにとって強い原動力になっている。これからのYUMIさんの人生が、ますます楽しみです。

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あとがき/インタビューを終えて……


私自身、このインタビューの依頼を受ける前に、YUMIさんに背景の制作をお願いしたことがありました。その時、彼女の受け取る力や想像力の広さ、深さに衝撃を受けたんです。

たった一言。その一言から、クライアントが届けたい想いや価値をデザインに落とし込んでいく。完成されたデザインには、クライアント自身が熱く語れるストーリーが必ず紐づけられていて、まさに「見る度、話す度に原点に還れる存在」になる、その心強さを経験しました。

インタビュー中の様子のYUMIさん(左)

でもね、YUMIさんはそこに込めた熱い想いを、熱くないように話すんです(笑)一見クールで、そつなくこなしているように見える。でも、全然違いました。YUMIさんを動かす好奇心も、想いも、すごく熱くて、すごく楽しそうで。そう伝えた時に出た彼女からの言葉に、やっとそのギャップの正体が分かったんです。

「これまでは、頑張っている自分をあまり人に見せないようにしていたし、話せなかったんです。だって、好きでやってることだから”頑張ってるね”って言われたい訳じゃないし、これまでの自分と違うように見られるかもしれないから……。」

YUMIさん自身、知らなかった自分と出会い続けたこの1年。大切にしたい人たちとの関係性の変化を恐れたり、「変わった」と思う自分に戸惑う瞬間もあったりと、感情が何度も揺れ動く瞬間があった。それでも、今の自分の気持ちに正直に、真っ直ぐに生きてき彼女は、ものすごく人間らしくて、美しいなぁって思うんです。

「私、これからが楽しみなんです。この体験をお守りにして、この一瞬一瞬を生きてきたんだよっていうことを、いつか子ども達にも伝えたいなと思います。」

そう話すYUMIさんの表情は、子どもみたいに無邪気で柔らかな笑顔に見えました。自分の確かな想いを持っているYUMIさんだから、「目の前のその人の役に立ちたい」というその想いひとつでどこまでだって行けるんだろうなと。それに向かって歩いていく姿を、これからも見守らせてくださいね。(2023/10/16)




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