大人の境目／25歳の私が見つけた、30歳への道標【後編】
「25歳は、自分にとってちょっと大人。社会人3年目になって、仕事も少しずつ責任がある立場になるなか、なんとなく30歳の自分も思い描くようになってきて。そんな『大人の境目』に、改めて20歳からの5年間を振り返ってみよう。そう思って、このインタビューをお願いすることにしました。（2024.04.14 haruna）」
大学生から社会人へ。子どもから大人へ。その境目は曖昧で、いろんな感情が目まぐるしく湧き出てくる過渡期。どんな出逢いがあったのか、どんなストーリーが生まれたのか。誕生日の節目に伺ったharunaさんのLife storyを前編・後編に渡って綴ります。
haruna kwge（25）北海道出身
幼少期から将来の夢がCAになることだったが、コロナで断念。大学4年生でやりたいことをやり切った後、新たな志を胸に人材系の会社へ就職。上京した後もさまざまな狭間に揺れ動く。個人では屋号「 」として文章や広報の活動を行っており、2024年3月自身初となるZINE「今日こんなことがあってさ、」を発行。趣味は銭湯、サウナ巡り。
前編はこちら
Sが1つあるのも、Bが沢山あるのも良い
━━もともと「あの人はできているのに、私はできない」と思いがちだったharunaさんが「自分にはこれができる（かも）」と思えるように。さらに最近は「Bを持つ人になりたい」と考えるようになったとのことですが、それはどういう意味でしょうか？
harunaさん（以下敬称略）：就活の時は「オールAにしないと」って自分の足りないところを補おうと思ってたんです。でも後々「オールAって印象に残らないよ。それよりもできるところを伸ばしてAの上のSを1つ持ってることで、将来“あれをやってるこの人だよね“って覚えてもらいやすいよ」って言われて。
私の興味関心がジェンダー・地方創生・コミュニティ・他に趣味の銭湯とかサウナとかもあるので、まず今はいっぱい広げて、社会人3年目くらいまでになにか1つをSにしていけたら良いなって思っていたんです。
それが最近、Sでなくてもやりたいことができる機会が増えてきたんですよね。そう気付いたきっかけのひとつが日記本をつくったことだったんですけど。
haruna：制作は本当に大変で休みの日もずっと作っていたんですけど、結構自分的に楽しくって。こういう”やりきるプロジェクト型”が楽しいなって。そう思い始めたタイミングで、もともと好きだった「銭湯」のイベント広報をやってほしいというお声掛けを頂いたんです。
私は学生の時に広報部長をやったことがあるくらいで広報のプロではないけれど、その「ちょっとできる（広報）」Bの経験が好きなこと（銭湯）と興味のあること（コミュニティ）と掛け合わさることで活かしてもらえるチャンスがあるんだなって。
━━「何か突き抜けている方が良い」ではなく「掛け合わせができるのも良いかも」と生き方の方程式が変わったんですね。
haruna：それこそ「私はこれの人です」って名乗れなかったこともコンプレックスだったんです。「食の人といえば」とか、代名詞がついているような人に囲まれていたし、私も文章の人とかジェンダーの人って言われたことはあるけどなんかしっくりこなくて、もどかしいなぁって。
でも、この思考を持つようになってからちょっと楽になった気もします。社会人の一年目の時は自分のこと嫌いだったけど、今は大学４年生の時と並ぶくらい自分のこと好きになれてるし楽しいなって思います。
芯が強いけどコーティングの柔らかい人
━━harunaさんのお話から、具体的な理想像こそ変わっているものの、学生時代どんな大人になりたいか考えた時から「キラキラした大人になりたい」という根本にある想いは変わってなと感じます。
haruna：そういえば、自分の理想像（憧れ）が変わりましたね。学生の頃のキラキラした大人って、どちらかというとギラギラしていたというか。今言語化してみると、当時はキラキラ＝肩書にパンチがあって華やかというか、弱いところも見せない、意志がハッキリしていて強くてかっこいい人だったんだと思います。
それに憧れていた頃の私も、初対面の人に「将来どうなりたいの？」っていきなり聞いちゃうくらい白黒ハッキリつけたがっていて近寄りがたさはあったのかもしれません（苦笑）
ただ、今の私がキラキラしているなって思う人は、自分のやりたいことをやってたり、選択肢を沢山持ってる人。目に見える華やかさだけじゃなくて、その人の雰囲気が楽しそうだったり人間らしいところが見える人だなって。
haruna：自分の意志を持ちつつ弱いところも見せてくれる姿って、共感が持てたり、自分も頑張ったこうなれるかもしれないって思わせてくれる人だと思うんです。そんな人に憧れるし「芯が強いけどコーティングが柔らかい人」が、今の30歳までになりたいなって思う私の理想像ですね。
近い将来、北海道で面白い人達と、面白いことを
━━理想の大人像がアップデートされたharunaさん。今後の展望として、具体的にやりたいことや楽しみなことはありますか？
haruna：社会人の総合スキルを上げた先に、コミュニティマネージャーになりたいという思いがあって。就活支援でチームリーダーをしていた時も、いろんな人と話したり、人を繋げたり、イベントを企画したりしたことがやっぱり楽しかったし、役に立ちそうだなって。
それから、私は将来的に北海道に帰りたいと思っているので、3月に24歳最後の挑戦として、北海道移住ドラフト会議に参加してみたんです。今の私には、地元の函館と大学時代にゆかりのできた札幌という選択肢があるけれど、拠点となる候補地を増やしておきたいなと思って。
haruna：参加してみて、こんなに面白い人達がいるんだなってワクワクしたし、改めて北海道で地域を盛り上げたいという気持ちが強くなったんですよね。嬉しいことに一位指名された小樽へ5月に行くことになったのも、25歳の楽しみのひとつです。
…でも、実はそのドラフト会議で「函館でコミュマネをしない？」ってお誘いを頂いたんですけど、迷って断ったんですよね。
━━そんな願ってもないチャンスに、なぜ？
haruna：うーん…。これはまだ言語化できてなくて分からないところなんですけど、北海道に帰る前に東京でやり残してることがあるのかな…。いつもは「チャンスの神様は前髪しかない！」って飛び込んじゃうのに、なんで即決できなかったんだろうなぁ。
と考えた誕生日当日
haruna：東京での仕事も大変は大変なんですけど、まだ続けたいなって思いもあるんです。今の部署の責任者の方が、私より役職が上なのに自分以上に泥臭く動いている姿がかっこいいなって思う方で、そこで働くことは勉強にもなる。
社会人3年目になると転職をする人も増えてくるなかで、私にもキャリアアップの機会が回ってきそうで。それもどうしようかなぁなんて思ったり…。
━━体感としてはフワフワしているように見えるけれど、その揺らめきのなかで、ひとつひとつ自分の感覚や大事にしたいものを確かめているのかもしれませんね。
haruna：そうですね。選択肢が広がったからこそ、北海道のどこに帰るのかも、自分のキャリアについても確かめていく年になりそうです。
25歳、どう生きる？
━━最後に改めて、25歳の一年はどんな時間にしたいですか？
haruna：足りないところを補うだけじゃなくて面白そうと思ったこと、プロジェクトを複数動かしてみるとかやりたいな。そう思えたのも、24歳を「これまでで一番やりきったって言える年にしたい」と思って挑戦してこれたのと、最近「できるかも」って思うことはすぐやろうって思えるし、実際にその機会を頂くようになってるからかもしれません。
先日、入浴剤のインタビュー秘話を聞くことになった時も「やってみなよ」「できそう」で引き受けたり、日記本も手売りで一度売り切れたんですけど「オンラインと店舗販売をしてみたい」って思ったタイミングで、それができる募集が目に入ったり。（5月から10月まで販売してます。）
前までは「こうなりたいな」って自分のなかだけでしか言ってなかったことを、いろんな人に言い続けてここまでこれたので、やっぱり言うって大事ですね（笑）コミュニティの勉強をしつつ、北海道へ行きつつ、毎月発行しているnews letterも書きつつやっていこうって。
━━すごい。やりたいことが沢山あるんですね！
haruna：あと、本をまた作りたいって思ってます。25歳を迎える25人の友達の誕生日の一日を綴った日記本を。
haruna：実は、今年の誕生日も当日をすごく楽しみにしてたのに、気付いたら25歳突入しちゃってた感じだったんです。前日に会社で飲み会をしてて、終電で帰る電車のなかで誕生日を迎えて。
そこまでは良かったんですけど、当日は仕事のトラブルでバタバタ！毎年誕生日に東京タワーに行くんですけど、その下で電話がかかってきたり。（本当はもっと30歳までの目標を考えたり、内省を深めたいなぁって思ってたんですけど）それもそれで面白いなって思いつつ、そういえば去年もそうだったなぁって。
そう思ったら、誕生日にこんなにバタバタするのはなんだか悔しかったから「もうこれはネタにして昇華しよう！」って決めて。25歳を迎える25人の友達の誕生日の一日を綴った日記本を、来年の誕生日に出そうと企画することに決めました！まだ誰にも言ってないんですけどね（笑）
━━その企画、面白いです！気になる！！
haruna：自分の感情の乱れに付き合ってもらう感はあるけれど（笑）一年プロジェクトとして「あなたの1日を私にください」をやってみようかなって思います。だから総じて、25歳になったばかりの私はいいかんじ。このまま行けるところまで行くぞって思いますね。
あとがき
今回のインタビューのなかで、harunaさんが繰り返し使われていた「プロジェクト（私の解釈だと楽しい企て）」という言葉が、キラキラしているように感じたのが印象的でした。自分一人でも楽しむことができるけれど、誰かを巻き込んだり、楽しい未来をみんなと一緒に考えるその時間にも喜びを感じられる、そんな人柄が垣間見れた気がします。
人生に大きな転換期があるとするなら。自分の弱さにも向き合い、その弱さを人に見せることが、時にものすごいチカラになることを知ったこの5年間で学んだしなやかさが、過渡期である過去と未来の狭間の「今の自分」をしっかり支えてくれるのだと思います。
もっと自分を発揮していく。その経過を楽しむ。25歳。きっと、やってみたいをやってみた先に、不確かなものが明確になってくる未来が待っているのかもしれません。そんなharunaさんのこれからの人生を、変わらず傍で見守り続けていきたいです。
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