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服づくり現場の教科書 #101【ディスカッション】これからのMDとは?

このイベントはセミナーではなく、002 MD計画とは? / 003 MDの仕事とは?の2回で問題提起した「このままのアパレルの店舗運用、MDの方法をしていくべきなのか?」また「これからのMD・デザイナーとはどうあるべきなのか?」という目線で主催側から提案、参加者の皆さんとディスカッションをしました。

2回のMDセミナー中にお伝えした通り、現在のアパレルのビジネスモデルが弊害となっている部分が多く、これまでのMDが今後も通用する訳ではないと考え、主催からは下記の提案をしました。

1)消費者とのコミュニケーションが出来る
→SNS上での直接のコミュニケーションをする
2)コンテンツを作れる
→クラウドファンディングやインスタライブなどで発信

これからは1・2のような手を動かせるマーケターが求められていて、これまで求められていたトレンド分析ではなく、世間のことをわかっていることや、オタク気質な方が良いのでは?を仮説にしました。

また、比較的生産の現場に寄った知識が必要になりそうだということと、いただくご質問も生産に関する内容が多かったので、ディスカッションテーマもそのような内容になりました。

解決に向けて設けたディスカッションテーマはこちらです。

【ディスカッションテーマ】
1)ブランドを作る場合のコンセプトの設定の仕方
2)生産背景(サプライヤー)の探し方
3)SNSをはじめとした発信、広める方法

これまでもMD・デザイナーがやってきたことですが、ブランド運営にあたり、ブレない軸としてのコンセプトをどう設定するのが良いか?
パタンナー・生地屋・付属(資材)・工場・ネーム作成など、生産するにあたりどのようなサプライヤーと繋がりを持てばいいのか?
そして、そのブランドをどう消費者に届けていけば良いのか?
すでにブランド運営をされている方も、これから目指す方も、このテーマの深堀りをヒントに、ご自身のブランド運営お役立ていただけたら幸いです。

なお、ディスカッション中で出た内容については無料公開しますが、別途ご質問いただいた内容への回答につきましては、通常と価格は違いますが有料(¥200)で公開しておりますので、併せてご覧ください。

1)ブランドを作る場合のコンセプトの設定の仕方

追加の要素…付加価値のあるアイテムを作っているブランドが今の時代にフィットして売れているようで、楽しみながら服を着ていくことが出来てる印象を受けていますが、廣瀬さんのプロダクト、paclaはどんな風にコンセプトを決めていったのかまず聞いてみました。

「本質的なことを常に追求するためのブランド」
安い物を作ろうとするとコスパで大手に勝つことはできないので、他のブランドに真似されないくらいの価値あるプロダクトを作りたい。
自分が本当にしたいことってなんだろう?ということを追求して、自分の理想をみんなに押し付ける感じの考え。
「最近よくあるインフルエンサーさんと共創」という感覚ではなく、自分が服のプロであることを自負しているので、自分が考えたプロダクトの良さを理解してくれる人に共感して買って欲しい。
例えると…素人がみんなで作ったフランス料理ではなく、すごい修行して一本で頑張って熱量が高い一流のプロの作った最高の料理を食べたいのではないか?

何故このブランドをやるのか?というヒントとして、ゴールデンサークル理論があがりました。
詳しく説明するよりこちらの記事を読んでいただくのが良いかと思います。

参加者の方の中にもブランド立ち上げを考えられている個人の方や、縫製工場を経営されている方が自分でもブランドをやってみようと考えていたり、それぞれのやりたいことについて伺うことが出来ました。
ブランドをやりたいのであれば、コンセプトをぶらさないことがとにかく大事です。ブランドをはじめるとSNS含めて、「もっとこうした方がいいよ!」などと周りからいろんな意見が出てきますが、その意見に左右されることなく、自分の意思を貫いていきましょう。

何をしたいのかを明確にするにはブランドコンセプトマップを作って可視化出来ると、協力してくださるサプライヤーのみなさんへも情報伝達がスムーズになると思います。
マップの作り方については次のセミナーでお伝えしていますので、noteを公開しましたらこちらにもリンクを貼らせていただきます。

2)生産背景(サプライヤー)の探し方

衣服を作るにあたって繋がっているのは縫製工場だけではありません。パタンナーさん、生地メーカーや附属メーカー、プレス(アイロン仕上げ)や物流など様々な業者さんと繋がりを持つ必要があります。
どの業者さんもこの1年でtwitterによる発信をされていて、かなり探しやすくなりました。SNSを駆使してアプローチすると良いのですが、ファッションにはプチプラブランドからハイブランドまで値段の差も大きくありますし、ジャンルも様々です。目指すブランドの在り方とフィットするサプライヤーとどう繋がったらいいかを話しました。

>パタンナーさんをどう探すか?
SNS上にいるパタンナーさんにアプローチしていく方法がシンプルかつスマート。具体的に作りたいデザイン(絵型や仕様書)を出して探すというよりは、近いイメージの世界観(マップなど)をSNS上で発信し、好きな世界観が近いパタンナーさんとコミュニケーションが取れれば、仕上がりはイメージに近づきやすいと思います。
逆にフリーランスのパタンナーさんは、得意なアイテムや好きな世界観をどんどんSNS上で発信すると、デザイナーさんから直接仕事の依頼がくる可能性が高くなるのではないでしょうか。
SNSの中でもtwitterはそういう点で繋がりやすいので、どんどん活用していきましょう。

>自分でパターンをやろうと思っているんですが…
おそらく一度でイメージ通りの物は作れません。思った通り仕上がらなかった時に何度もサンプルを作ることを考えると、プロに最初からお願いして、お金で解決した方が得策です。どうしても自分で作る場合は、工場さんにお願いするときは仕様書も必要なので、そこまでできることが条件です。
やってみるとわかりますが、自分でやるとすごく大変!なので、修正依頼の効率など考えてもプロにお願いするのがオススメです。
プロトタイプを作ってパタンナーさんや工場さんに「ここをもっとこうしたい!」という依頼の仕方はやりたいことが伝わりやすいのでGOODです。

それから、トワル(仮組み)の作成有無ですが、はじめて作る人はサンプル作る方が近道です。トワルは出来上がりに近い厚みのシーチングを使って作成します。実際の生地と風合いが全く同じではないので、慣れていない場合は、トワルで良いと思っても出来上がったサンプルはイメージと違うということが起こりやすいのです。

>生地の仕入れをするにあたって・・・
これまで関わらせていただいた「はじめて衣服生産をした方」は、プロダクトが出来上がった時に「生地選びが一番難しかった」とおっしゃることが多かったです。そのくらいぴったりの物を探すのは難しいです。
どうしてもこんな生地がいい!という場合はバイオーダー(別注)する方法もありますが、スモールスタートする場合は現実的ではありません。
ただ、日本は生地屋さん(テキスタイルコンバーター)も多く、たくさんの生地をリスク(在庫)しているので、自分の好きな雰囲気に合った生地屋さんを探すのが良いと思います。選定のポイントについては別のnoteがありますので、こちらを参考にしてみてください。

>OEMメーカーに依頼をするメリットについて
自分ひとりでやるには限界がありますし、はじめて作る場合はメリットの方が大きいと思います。
知識が無くても、経験豊富な現場の人が翻訳をしてくれるようなものです。新規には間口の開けない業者さんともOEMメーカーを介せば利用することが出来ます。
中間マージンはどうしても発生してしまうので原価率は高くなりますが、別の部分にエネルギーを使えることや、わからないなりに作る遠回りをするよりも確実性は高くなります。
最初はどの方法でもコストはかかります。腹を括ってベストな方法を選んでくださいね。

3)SNSをはじめとした発信、広める方法

>誰に向けて作るか=誰に向けて発信するか
ファッションブランドをやるからには、ビジュアルで伝えられるinstagramだろうと考えているブランドさんは多いのですが、instagramは拡散性がないのがデメリットです。
メッセージ性の高いブランドにはビジュアルよりもロジカルな文章での発信が望ましいので、instagramよりもtwitterの方が向いています。RTなどでの拡散性も魅力のひとつです。
Voicyやstand.fmなどのラジオも面白いかもしれません。
ブランドの方向性に合わせた発信の方法を決め、SNS選びをするのが良さそうです。ツールの特徴をきちんと理解して、自分のブランドに合ったツールを利用して、ツールに合った発信の仕方で効率よく伝えていきましょう。
また、ひとりでやるには注力するツールを絞っていかないと、どれも中途半端になってしまうので注意しましょう。

>ECモールからの集客ってどうなの?
ECのモールとファッションビルはどちらも発見してもらうというメリットはありますが、ファッションビルでさえリーチはせず、指名買いされるようなこと自体がないのが現場です。
ECモールでは売れてきたらメルマガやピックアップなどで取り上げられることはありますが、売れてからの拡散になるので、あくまでも後押し。
基本的にリーチと集客は基本自分のSNSからとして、決済機能&アナリティクスとしてだけ利用し、モールからの集客に期待しないようにしていきましょう。

参加者からのご質問について

1)生地を発注しようと思ったら在庫が無くなってしまった時の対策
2)自分で生産する場合のボタンホールのあけ方について
3)上代の設定の仕方や原価率について
4)依頼の際に工場さんについて聞いた方がいいこと

このようなご質問をいただきました。
セミナー中には時間切れでお伝えできなかったので、参加者の方にはアンケートのお願いメールに回答をさせていただいております。
かなり濃い内容になりましたので、ここから先を有料とさせていただきます。気になった方はご覧ください。

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