Column_s#11 おすすめ鬼ごっこ④「手つなぎ鬼」
休み時間の子どもの遊びの“ド定番”といえば・・・それは、今も昔も鬼ごっこ。私が現職時代に、よく子どもたちと行っていた鬼ごっこの紹介シリーズです。
おすすめ①「増やし鬼」はこちら
おすすめ②「ケイドロ」はこちら
おすすめ③「氷オニ」はこちら
おすすめ鬼ごっこ④「手つなぎ鬼」
この鬼ごっこも相当有名です。ですが、あまり学校教育の場では行われなくなった印象もあります。「手をつなぐ」というハードルが、案外先生自身の中で高くなってしまっている可能性もありますね。教育的価値の高い鬼ごっこなので、ポイントを押さえぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
ルールは?
◆鬼が誰かを捕まえると、鬼は捕まえた子と手をつないで別な子を追いかけます。
◆手をつないで追いかけていた鬼たちが誰かをタッチしたとき、鬼の手が離れていたら、それはタッチ無効です。
◆鬼が何人も捕まえて人数が増えた場合次の2つのパターンがあります。
1つ目は、鬼がある程度増えたときに分裂するパターン。
2つ目は、鬼全員が手をつなぎ横一線になって追いかけ続けるパターン。
◆1つ目のパターンの方が、鬼の機動力(走力)を維持しやすく、鬼は逃げている子を捕まえやすいです。手をつないで走る分どうしても鬼が不利なので、やるとしたらコチラがお勧めです!
◆2つ目のパターンの方は、見た目がダイナミックなので、たまに気分をかえてやってみたいときや、集団の凝集性を高めたいときに使えます。ちなみに私は学級お楽しみ会で、体育館で子どもたちとやったことがあります。ただ、壁から壁へ横一線に広がり見た目が派手な割に、結局逃げている人をタッチできるのは端の2人だけなので、なかなか捕まえられなくなりますね。
◆分裂する場合、その組み合わせ方に特にルールを定めないような方法もあるようですが、私はやったことはありません。恐らく、分かれるたびに話し合ったり、時に揉めたりするからです。
◆私は、いつも鬼が4人になったときに2人ずつに分裂するルールでやっていました。偶数(4人)だと、分裂後も2人ずつのペアになり、手つなぎ鬼のよさを保ったまま遊びが続くからです。
この鬼ごっこのよさは?
◆なんといっても、手と手をつなぐところです!そのままなんですが、そこに尽きます。
◆子ども同士の触れ合いを意図的に設定し、人間関係づくりや学級経営に生かしていくということまで考えます。高学年でも、先生の意図が伝わり、しっかりとした人間関係のできている集団であれば、とても楽しく遊べます。
◆先生も一緒に遊ぶ場合には、先生と子どもが手をつなぐ、ということも当然ながら起こります。これって小学校生活の中では案外ないのですよね。そして、普段の学習などでは一歩引いているような子と、手をつなぐことによって関係が深まるケースもあります。
◆また、2人組の鬼が増えてくると、鬼同士の連携があちらこちらで起こってくるのもこの鬼ごっこのよさです。普通に追いかけては、どうしても一人で逃げている子の方が速いので捕まえられません。ですから鬼たちも頭を使うようになります。一組の鬼がうまく誘導し、他の鬼たちが逃げ道をふさぐように回り込むなど、子どもたちの駆け引きは見ているだけで楽しいです。
この鬼ごっこのポイントは?
◆私が新卒の頃に先輩に教わり、今でも覚えていることがあります。それは、「手つなぎ鬼をみんなで楽しめる学級はよい学級である。」という格言(?)です。
◆ある時期には、「手つなぎ鬼が楽しめる学級づくりをしよう」と目標設定し頑張った年もありました。男女関係なく、誰とでも分け隔てなく手をつなぎ楽しめる学級集団。そういう学級では、手つなぎ鬼どころか、学習でも行事でも、本当に何をしても楽しかった思い出があります。誰もが安心して自分を表現できる教室になり、子どもたち一人一人の良さが表れるし、苦手なことにも積極的にチャレンジするようになります。結果として、みなよく成長するんですよね。
◆学年・学級の集団づくりがうまくいかないまま進級してきた子どもたちがこの手つなぎ鬼をやることになると、たいてい
「えーっ、手つなぎ鬼いやだ!」
「女子と手をつなぎたくない!」
「(特定の子と手をつなぐことになり、嫌そう~な表情をする子)」
となります。
「キモイ!」
「〇〇と、手つなぎたくない!」
などという言葉が平気で飛び交うようだと、気持ちよく遊ぶことなど難しいです。ですから、「手つなぎ鬼を楽しめるか?」を、願う学級像の一つのバロメーターにして取り組むのは、理にかなっていると今でも思います。
◆つまり、この手つなぎ鬼を楽しく遊ぶための本質は、ルールを工夫するとか、先生の声掛けといった「小手先」「対処療法的」ではないのでしょうね。先生が、目の前の学級集団をどのような姿にしていきたいかという理想をもち、毎日の学習・行事・係活動・掃除…そういった機会の全てで子どもたちとどのように関わっていくか。その結果として、手つなぎ鬼が楽しく遊べるかどうかにつながっていくと私は考えます。
◆いやいや、ここまで真面目に文章を打ってきましたが、随分小難しい感じになってしまいました。こんな風に考えている私も、手つなぎ鬼のハードルを勝手に高くしてしまっている一人なのかもしれません。
◆あまり難しいことを考えず、先生が思いっきり手つなぎ鬼で楽しんでいる姿を子どもたちに見せることで、子どもたちもみんな同じように楽しむ空気になっている。案外そんなものかもしれません。そしてそれは、とても素敵なことですね。先生自身が本気で楽しんでいるかどうかって、子どもはよく見て、よく分かっていますから。
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