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傾聴は気持ちを聴く技術(くり返し)

話し手の方が話す話題の中には、事柄と気持ちの両方が混在しています。
傾聴で関わりたいのであれば、話し手の方の気持ちにフォーカスする聴き方をしていきます。
お話を聴きながら、何をくり返せばいいのか。
そのポイントをお伝えしますね。

オウム返し=くり返し

聴き方を少しでも学んだことがある方は「話を聴く時には、相手の話をオウム返しするのですよ」と聞いたことがあるかと思います。
そのオウム返しのことを「くり返し」と呼んでいます。
話し手の方が話したことを、傾聴する人は言い換えをせずにそのままくり返しながら聴いていきます。

何をくり返すの?

話し手の方の気持ちをくり返します
話題の中には、事柄と気持ちが両方が出てくるんですよね。
その中のが話し手の気持ちに焦点を当ててくり返しをしていきます。

ある事柄に対して、話し手の方がどう思ったか、どう感じたか。
そこが気持ちになります。

ひとつ例を挙げてみますね。

気持ちをくり返す例

相談に来られたAさん。40代の女性。
「夫に他の女性がいるかもしれない」というお悩みです。

Aさん「夫に他の女性がいるのかもしれない…というのは以前からなんとなく感じていて少し気になっていました」

私「そうですか。なんとなく感じて…少し気になっていらっしゃったんですね」

Aさん「ええ。以前は少し気になる程度でした。
それが、最近帰りは遅いし、お金の使い方も派手になってきていて…
そんな時にたまたま夫がひどく酔って帰って来て…スマホのLINEをそのままにして寝てしまったんです」

私「そうなんですね」

Aさん「それをふと見てしまって…そしたら女性の名前があって、そこにハートマークがいっぱいで…」

私「そうだったんですね」

Aさん「すぐに消えてしまったから、それ以上のことはわからないんですが…今はかなり気になってきて…」

私「そうか…今はかなり気になっていらっしゃるんですね」

Aさん「そうなんです。かなり気になります…考えないでおこうと思うのですが、やっぱり気になるんです」

私「そうなんですね。考えないでおこうと思うけど、やっぱり気になるんですね」

と架空のお話しですが、こんな感じです。

「気になる」というところに焦点をあてましたが、その「気になる」もどのように気になるのかが移り変わっていることに気付かれましたか?

「少し気になる」→「かなり気になる」→「やっぱり気になる」

というように。

Aさんの気持ちが出ているところを、ただそのままくり返しています。
事柄はくり返さないんですね。
これが傾聴の聴き方の気持ちをくり返すというところです。

もしこれが友達同士の会話なら

Aさん「夫に他の女性がいるのかもしれない…というのは以前からなんとなく感じていて少し気になってたんだよね」

Bさん「え?なんで他に女性がいると思ったの?」

Aさん「最近帰りは遅いし、お金の使い方も派手になってきていて…
そんな時にたまたま夫がひどく酔って帰って来て…スマホのLINEをそのままにして寝てしまったのよ」

Bさん「帰り遅いのは残業なんじゃないの?お金の使い方が派手だなんて、いっぱいもらってていいわよね!うちなんか派手に使うお金なんてないわよ!スマホそのまま寝ちゃうなんて…ダンナさんドジだねー」

Aさん「すぐに消えてしまったから、それ以上のことはわからないんだけど…今はかなり気になってきてね…」

Bさん「全部見なくてよかったじゃん!よくある話だよねー。この間Cさんのとこでもさ…」

というような会話になることがありますよね。
こちらも架空のお話ですが。

こちらはAさんが言った事柄(事実)にフォーカスしているのが伝わりますでしょうか。

前回の記事に書いた「傾聴」と「一般的な会話」の違いとも同じですね。
上が「傾聴」の聴き方で「気持ち」をくり返す。
下が「一般的な会話」の聴き方で「事柄」に反応する。
この違いがあるのです。

まとめ

傾聴は気持ちにフォーカスして、話し手の方の気持ちをくり返します。
「気持ち」というのは、その方が事柄に対して感じていること。

これが気持ちだなとわかりやすい「形容詞」ももちろんくり返しますが
(嬉しい、楽しい、悲しい、辛いなど)
それだけではなく、その方の感じ方に現れている意味や価値も気持ちです。
今回の例では
「少し気になる」→「かなり気になる」→「やっぱり気になる」
というところになりますね。

よかったら一度、この人の気持ちはどれだろうという視点で傾聴の練習をしてみてくださいね。





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