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嬬恋村の地域課題の解決に挑戦したい企業募集【官民連携事業】

2024年1月22日に、「群馬県嬬恋村をフィールドに、持続可能な地域課題の解決を考える」がテーマのオンラインイベントを嬬恋村交流推進課と開催しました。

嬬恋村とは令和4年度から、多様な知見を持った企業の皆さんと協力しながら村の課題を解決につなげていく官民連携の仕組みの構築を行っています。

嬬恋村は、若者たちが帰って来ることができるまちであるために、今後さらにパートナーシップを組むことができる企業の皆さんを募集し、連携していきたいと思っています。

以下、連携企業を募るオンラインイベントで発信した内容をまとめてレポートしていきます。

嬬恋村の紹介

嬬恋村は、群馬県の最西端に位置し、長野県の軽井沢、草津町に挟まれたまちです。人口9117人、主要産業は農業・観光で、夏秋キャベツは日本一の生産量を誇っています。

嬬恋村の移住者数は増えており、直近の4年間で100世帯が移住しています。

嬬恋村が抱えている課題

嬬恋村にある課題の例がこちらです。

①交通の課題

嬬恋村内での移動は基本的に車です。バスや電車はインフラ施設に通じていないため、特に車の運転ができない高齢者や子どもの移動に課題があります。

現在は、高齢者向けのタクシー運賃補助、乗り合いサービスの運用を行って対応しています。

②雇用の課題

嬬恋村の大きな課題に、若い世代が減ってきていることがあります。その主な原因は、仕事がないことです。

実際、本事業の担当である交流推進課の篠原さんの中学時代の同級生50人のうち、現在、嬬恋村で働いているのは4人。高校進学を機に村外に出ていき、嬬恋村に仕事がないため戻ってこない人がほとんどです。

しかし、同窓会を開くと、みなさん口をそろえて「嬬恋村のことは好き」だと言うそうです。この「嬬恋村が好きだけど、帰ることができない」というギャップをどう埋めていくかが課題となっています。

③農業の課題

主要産業である農業にも課題があります。全国的な物価高騰により、相場価格が安定しません。暖冬等の影響もあり、結果的に生産量も不安定になっています。

現在は農協がスマート農業の提案や公的制度の活用を進めています。

また、キャベツ以外の特産品、名物と言えるようなお土産品がないことも課題です。ポテンシャルの高い嬬恋村の魅力を十分にアピールできていません。

この課題に対しては、住民全体で取り組みが広がっています。キャベツ農家の奥様方が集い、特産品の立案や販売を行う「妻の手しごと」をはじめとして、地域おこし協力隊、移住者など、様々な立場の方々が手掛けた特産品が出てきています。

④観光の課題

嬬恋村は、別荘・避暑地としての利用が多い夏場が観光のピークです。一方で、スキー人口の減少や降雪量の減少で、冬場の観光誘客が課題になっています。

また、観光者の年齢層が高く、若者が少ないという点や、軽井沢と草津の単なる通過点と捉えられてしまっているという課題があります。

そして、交通の問題とも関わっていますが、都心に住んでいて車がない人にとって、嬬恋村は利用しづらくなっています。

一方で、観光をきっかけに移住するケースは多く、観光協会で働く約9割は地域おこし協力隊となっており、観光は移住者を増やすために重要な役割を果たしています。

▼嬬恋村地域おこし協力隊Instagram

嬬恋村の村民と企業をつなぐ、官民連携

まず、前提として、なぜ地域課題の解決をしないといけないのでしょうか。

生産年齢人口の減少により、地域経済は縮小し、若者の流出、インフラの維持の課題、デジタル化が進展しないといった様々な地域課題があります。

新しい持続可能な事業・経済の仕組みの創造が必要であることは明らかですが、うまくいっていないという現状があります。

では、官民連携がうまくいかないケースにはどのようなものがあるのでしょうか。

官民連携においてよく見られるのは、企業が自治体で暮らす住民に接触できておらず、継続した取り組みとならないというケースです。(下図を参照)

このようなケースを防ぐため、令和4年度から嬬恋村とIRODORIが連携し、企業と住民が連携して実証から事業化まで行っています。

現在も、官民連携のプロセスを整理し、うまくいったこと、うまくいかなかったことを分析しながら事業が進んでいます。

ここからは、嬬恋村で行える具体的な官民連携のプロセスを、7ステップに分けて説明していきます。

①官民連携プロジェクト会議

若手自治体職員の方を中心に、現在嬬恋村で行われている事業や取り組みを可視化し、企業と連携することでどのような成果につながるのかを考える勉強会を開催しています。

②官民連携テーマの決定

テーマは何でもよいわけではありません。地域の方々に効果・価値があるものをテーマに設定し、これまで実現障壁が高かった課題も、官民が連携することで持続可能な仕組みをつくり、解決することを目指しています。

▼嬬恋村官民連携プロジェクトの詳細

行政の事業システムは民間企業と圧倒的に異なっているため、難しく感じる方が多いかもしれません。また、地域で暮らしている生活者と連携をしたいと思いながらも、うまくいっていないという民間企業の方からの声もよく聞きます。

それらの悩みは自治体の仕組みを知り、連携できるプロセスを理解することで、行政、民間企業の双方にメリットとなる活動を産むことができます。

特に、嬬恋村は地域に誇りを持った方が多く、自治体との連携もしやすいため、企業活動の優れたフィールドになります。

また、これまでの企業活動で培ってきたことを、嬬恋村というフィールドで実現させていくことで、行政単独では難しい事業創造につながり、日本初の挑戦へとつながっていきます。

今回の嬬恋村官民連携プロジェクトのテーマは幅広く3つ設定しています。

  1. 多様な働く選択ができるまち

  2. 誰もが安心して暮らせるまち

  3. 若者たちが挑戦できるまち

▼こちらからテーマの詳細を確認できます。

③企業募集・選定

行政と企業が、業者・下請けの受発注の関係ではなく、協働・共創パートナーの関係を目指しています。課題がある現場に通って、観察・対話を繰り返しながら検証しながら事業化をしていきます。

④施策とKPIの検討

行政で策定されている総合計画を意識しながら、単年で終わるものではなく、嬬恋村全体を長期的に良くする事業を考えていきます。

⑤実証実験

嬬恋村では、地域の現状を把握するフィールドワークや研修を用意しており、企業にとって学びとなるコンテンツがあります。

企業研修の場として、住民の生の声を聞く場として、事業検証の場としてなど、嬬恋村というフィールドを様々な形で活用できます。さらにはインターンシップの受け入れも行っています。

⑥事業検証

施策KPIから落とし込んだ指標を用意されたフレームワークに沿って、評価していきます。

⑦事業化

嬬恋村では、地域のステークホルダーとつながり、課題の本質をとらえ、事業を起こし地域の仕組みを変えていくことができます。

嬬恋村は、地域の課題をどうにかしたいという想いを持つ村民が多く、コミュニティでのつながりの深さ、人の温かさを感じられるエリアです。

挑戦を応援する環境が整っていて、魅力あふれる嬬恋村で共に事業を行っていきたいという企業の方を募集しています。

官民が連携することの可能性

行政において、地域課題解決のための事業はどうつくられるのでしょうか。

基礎自治体は、地域で暮らす誰のどんな課題を解決するのかという考え方が根本になければ、企画が始まりません。常に「村民が本当に必要としていることなのか」が問われます。

官民が連携して村民の困りごとを把握することで、行政としては、スピード感をもった事業化を実現させることができ、企業としても、想像の範囲ではなく、村民の方からの生の声をもとにした事業をつくることができます。

行政で調査をすればいいのでは?と思うかもしれません。しかし、調査をする専門の職員はおらず、人材不足のなか調査をすることは難しいという現状があります。

行政としても、昨年度の取り組みを通して官民連携事業にさらなる可能性を感じています。篠原さんからもこのようにコメントをいただきました。

「企業の方に入っていただけると安心感があります。企業の方と一緒に、地域住民の方にインタビューをしたとき、行政だけでは出ない新たな視点を感じました。事業の実現性が日々上がっている感覚があります。

嬬恋村では、地域をどうにかしたいという想いを持つ人は多いものの、実装に結びつかないことが課題でした。企業と連携することで、その壁を乗り越えて、スピード感を持った事業化を期待したいです。」

嬬恋村は、課題の可視化が進んでおり、適切なアプローチであれば事業としてチャレンジすることを応援する風土があります。村民一人ひとりの当事者意識が強いことも特徴のひとつです。

嬬恋が好きだからこそ、リアルな課題を解決したい

イベントに参加してくださった方は、嬬恋村に別荘があったり、嬬恋村に既に関わりがあったりする方もいらっしゃいました。当日いただいた質問をいくつかご紹介します。

質問①

嬬恋村は官民連携に取り組み始めて1年半ということですが、事業化に取り組み始めていることを知りたいです。

コメント

現在取り組んでいる事例は、高齢者の見守り事業や、デジタル技術を身につけるリスキリングを、嬬恋村のコワーキングスペースで受け入れることができるようにする取り組みが進行中です。関わる企業がどんどん増えることで、さらに今後多様な事業が生まれるのが期待されます。

質問②

官民連携のテーマを抽象度が高く設定した理由を教えてください。

コメント

3つのテーマが抽象的である理由は、行政側から企業にはっきりとした課題を言ってしまうと、ソリューションの提案のみが来てしまうという背景があります。その一方で、嬬恋村のことをよく理解している方であれば、行政と連携して、アイデアソンとして取り組み、そこから事業化するという取り組みも考えられます。

社会課題の解決をするためには、企業の価値を上げる取り組みを行い、地域で応援される企業になることが大切です。明確な課題の解決をすることは簡単ですが、嬬恋村では、企業とともに本質的な課題を解決する挑戦を行いたいと考えています。

嬬恋村には、熱い想いを持った職員や村民の方がたくさんいます。そんな嬬恋村と連携して、地域課題を解決する挑戦を一緒に行いませんか。

特にこのような企業の皆さまは是非一度お問い合わせください。

  • 行政と連携した社会課題解決に資する事業を構築したい

  • 入札から関わるのではなく、地域課題を体感することから関わり、最上流の企画から取り組んでいきたい

  • 地域で暮らす住民向けのサービスを検討しているが、実証実験ができるフィールドが見つからない

  • 地域活性化起業人の派遣を検討している

  • 企業版ふるさと納税の有効活用を検討している。

★お問い合わせは下記アドレスまでご連絡ください。
嬬恋村交流推進課
kouryusuishin@vill.tsumagoi.lg.jp

▼嬬恋村官民連携プロジェクトの詳細はこちら