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ハムカツの温度

陽が落ちるのは早くなったくせに
まだ半袖でも頑張れるという
なんとも悔しい日々を過ごしています。
記憶はあやふやですが
このぐらいの頃はもうジャケットを羽織れる季節だったように思います。
テーラードジャケットを愛するiroc.です。

秋。とても好きな季節。
部屋の窓を開けた時
素足をひやりと撫でる風。
夕暮れの色。
訳もないのにどうしようもなく寂しくなる空気の香り。
鮮やかな落ち葉。
街灯。

小学生の頃の話。
帰り道にお肉屋さんがありました。
お肉はもちろん揚げたてのハムカツが絶品で。
当時は60円?80円くらいだったかな
100円あれば買えるという魅力的な価格だったのは間違いないはず。
学校を出てすぐに
文房具屋兼駄菓子屋さんもあったので
ハムカツをメニューに入れる時は
駄菓子のラインナップ調整に悩んだ記憶。

アッツアツのハムカツを
あっちっちっと両手の爪の先でようやく抱え
これまた近くの公園で
ハフハフッサクサクッとやるのが
秋から冬にかけてご馳走でした。
ソースも何もかけなくったってそのままでいい。そのままが、いい。
夕方のチャイムが鳴って薄暮の時間。
小腹が空いた頃にちりちりに冷えた指で
この熱さごと食べるのも美味しかったなぁ。


これ今だったらどうやって食べよう
なんて考えてみたり。
成人と呼ばれる年齢をとうに過ぎて
お酒もたっぷり飲めるようになった訳で。

やっぱりビールかなぁ、と思う訳です。
ホッピーなんかもいい。
あえてどっしりしたギネス、黒ビールも食欲を刺激するかも。

あの思い出ごと食べてしまうならば。
今だったら3枚以上買えるお金はあるけれど
モノは入らない胃袋になってしまっている訳で。
うまくできているもんだなぁと思います。

今度地元に帰る機会があれば
ちょっと巡ってみたいなぁと思うけれど
さすがに缶ビール片手に通学路をうろつくのはよろしくないでしょうから、テイクアウトすることになるのだろうな。
それもそれでいいか。
冷めたハムカツも大人の味かもしれない。
香りは記憶に残りやすいというけれど
温度ってどうなんだろうか。

あの頃食べたハムカツの味と
どれがどう違うのか
少し確認してみたい夏日の秋です。

そもそもまだお店はあるのかしらね…

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