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よりにもよって、なんでそんな大切な記憶を失っちゃうのかな、俺……!|TL小説『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』


長く続いた隣国との戦争が終わり、家に帰ったら独身のはずの自分に妻がいた。

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

フェリクス・レオン・バシュラール公爵は、派手な容姿とは裏腹に、至って真面目な“普通の”男性で、(本当は女性たちが互いに牽制し合っていたが為に距離を置かれていたのだが)「結婚したい」と思ってはいたものの、モテない人生を送ってきた。

が。

前述の通り、戦争から帰ってきたら、身に覚えのない妻が出迎えてきた。

コレットと名乗るその妻は、気難しい父と仲良くしていて、使用人たちにも慕われている。

それより何より。
この身に覚えのない妻が可愛いのである。

小さな顔に、大きな緑柱石色の目。小作りな鼻に、薄紅色の頬。花びらを浮かべたような、瑞々しくぷっくりした唇。 さらには艶やかで綺麗な発色のストロベリーブロンドの髪が、その可愛らしい顔を覆っている。 胸はお椀型にふんわりと膨らみ、だが腰はあくまでも華奢で細い。素晴らしい凹凸である。

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

フェリクスも可愛い奥さんと幸せな家庭を築きたいと考えていた。

そして、記憶はないが、可愛い理想の妻がそこにいる。

(うん。別にもうこのままで良いんじゃないかな……!?)

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

フェリクスには、戦場で落馬した際に頭を打ち、記憶が抜け落ちた半年間があった。

きっと、その時に結婚したんだろう。

むしろ人間関係を一から築くことが苦手な自分が、突然何の苦労なく可愛い妻を手に入れられたのだ。それはもう幸運以外の何物でもあるまい。
失われた記憶の中にいるであろう自分を、よくやったと褒めてやりたいぐらいだ。

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

そう、納得して、身に覚えはない妻を受け入れることにした。

一方、コレットは混乱の極みにあった。

実はコレットは、フェリクスの妻などではない。それどころか恋人であったことすらない。 だからフェリクスが帰ってきたら、妻を偽称している自分は即断罪され、牢に入れられるものとばかり思っていたのだ。

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

なのに、フェリクスは、偽りの妻を断罪する素振りもなく、肩を抱いて歩いている。

(ど、どうしよう……! なんでこんなことに……?)

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

※この作品はKindleUnlimitedで配信中(2024-06-13現在)


好きな作家さんの作品。

著者は クレイン
TL小説を中心に活動されている作家さんで、好きな作家さんの一人です。

特に『ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の熱い口づけでとける 』は好き。

コミカライズもされています。

他にもこの作品も面白かったです。

出版社は 竹書房

掲載誌・レーベルは 蜜猫文庫

発売は 2024年02月
既刊1巻。完結済。 
この作品はKindleUnlimitedで配信中(2024-06-13現在)


外見と中身が伴わないフェリクスが面白すぎる!

兎にも角にも、身に覚えのない妻が自分の家にいるのに、その妻が可愛くて理想的な妻だから、アッサリと受け入れてしまうフェリクスが面白すぎる。

『お前の見た目って、とにかく人外っぽいというか魔王っぽいというか。自分と同じ血の通った人間じゃないみたいでさ。そのくせ妙に色気だけはあるんだよな。歩く猥褻物みたいなさあ……』

『冷徹公爵は見知らぬ妻が可愛くて仕方がない 偽りの妻ですが旦那様に溺愛されています』

と、友人の第三王子に評される容姿をしていながら、26歳のフェリクスは全く女性に免疫がなかった。

だからこそ、早々にコレットを妻として受け入れてしまう。

一方、フェリクスが赴いていた戦場となった国境近くの小さな町の子爵令嬢であったコレットは、やむにやまない事情で援助を求めてフェリクスの家までやってきたのだが、記憶を失う前のフェリクスが母の形見の指輪を渡していたが為に結婚相手と勘違いされ、偽りの妻として居座ってしまっていた。

それもこれも、フェリクスが帰ってきたら、断罪されて終わりかと思いきや、何だか受け入れられてしまっている。

フェリクスが失った半年間の記憶の間に結婚していると思っていることを知ってからは、彼に好意があることもあって、良心の呵責に苛まれながらも偽りの妻を続けていた。

そんな悩ましいコレットの胸の内とは裏腹に、自分が好きな女性にプロポーズするなんて信じられないけど「記憶を失う前の自分は、やるときはやる男だったんだ」と浮かれてるフェリクスも面白かったです。

典型的なラブストーリーとは少し違いますが、とにかく素直で、どこか間の抜けてる、完璧なヒーローには程遠いフェリクスが始終面白い作品でした!

 


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