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「というわけで、ヘンリーはあなたの新しい親友よ」|小説『赤と白とロイヤルブルー』
※通常の小説として紹介しますが、ジャンルはBLに該当する作品です。
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アレックスには“宿敵”がいた。
アメリカ大統領を母に持ち、ホワイトハウスに住んで3年になるが、彼はテキサスのヒル・カントリーで生まれた。
祖母はシングルマザーで母を育て、父はメキシコ移民の子だった。
いわゆる、労働者階級の出身だ。
対する“宿敵”はイギリスのヘンリー王子。
アレックスは大衆紙で、この年齢の近いヘンリー王子と比べられた。
穏やかな笑顔、お上品な騎士道精神、いわゆる慈善的なふるまいと、まさに絵に描いたようなうつろなプリンス・チャーミングと。
そんな彼と久しぶりに顔を合わせなければならない日がやってくる。
彼の兄であるフィリップ王太子のロイヤル・ウェディングだ。
かつては、生まれながらにして王子であるヘンリーに憧れていた時もあった。――実際の彼に会って、冷淡な言葉をかけられるまでは。
つま先でくるりと回転してダンスの相手と離れたそのとき、ケーキとシャンパンタワーのそばに立つ長身が目に入る。またしてもヘンリー王子。グラス片手に、ダンスフロアで踊るフィリップ王子と花嫁を眺めている。いつものように慇懃無礼でどこかうわの空、ひとりだけ別世界にいるようだ。アレックスはそんな王子にひと泡吹かせてやりたくなる。
ヘンリーに近づいたアレックスは、彼に声をかける。全く付け入る隙のない、この王子の人間らしいふるまいを見てみたくて。
しかし、全く相手にされず、「楽しんでくれ、アレックス」と、その場を立ち去ろうとしたヘンリーの肩をカッとなって掴んでしまった。
それを不意に振り返り、アレックスを押しやろうとするヘンリー。
足がもつれ、倒れ込んだ2人の上に降ってきたのは。
――7万5千ドルのウェディングケーキ。
七万五千ドルの大転倒
バトルロイヤル――ヘンリー王子と大統領の息子、ロイヤル・ウエディングで大喧嘩
ケーキ・スキャンダル――アレックス・クレアモント゠ディアス、第二次米英戦争の火種となる
ホワイトハウスでは、母の大統領再選をかけた選挙の準備の真っ只中。
そんな時の ――このスキャンダル。
アレックスには、大統領である母からある命令が下された。
「あなたにはヘンリーと仲良くしてもらう。土曜日に発って、イギリスで日曜日を過ごすのよ」
僕の死を偽装することはできない? というアレックスの提案は敢え無く却下。
ホワイトハウスとイギリス王室は、ロイヤル・ウエディングにおける一件は偶発的な事故であり、報道は誤解にもとづくものであるという共同声明を発表することに決めたらしい。
「というわけで、ヘンリーはあなたの新しい親友よ」と、大統領次席補佐官のザハラに告げられる。
「ヘンリーと過ごす今週末は、笑顔でうなずいて、誰も怒らせないこと。ふたりでチャリティイベントに参加して、ふたりでいると楽しくてたまらないとマスコミに話す。もしヘンリーのことを尋ねられたら、プロムで踊る大切なダンス相手だと言わんばかりに褒めちぎって」
そうして、アレックスはこの憂鬱な任務を遂行する為にイギリスへと向かった。
それが、彼の運命を大きく変えることになるとも知らずに。
“クィア小説”を書く作家のデビュー作品
著者は ケイシー・マクイストン
アメリカ南部のルイジアナ州バトンルージュで生まれ育った。ルイジアナ州立大学でジャーナリズムを専攻し、作家にな る前は雑誌編集をしていた。愛読書はオスカー・ワイルドの『真面目が肝心』、テイラー・ジェンキンズ・リードの“The Seven Husbands of Evelyn Hugo"、J・K・ローリングの『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』。現在は、プードルの ミックス犬であるペッパーとともにニューヨークで暮らしている。
本作がデビュー作のようだが、次の作品が日本で言う所のGL作品のようなので(未読)
BL作家、というよりはクィア小説(クィア、という言葉に私は馴染みがなかったけど、ヘテロセクシュアルでない人々およびシスジェンダーでない人々を指す総称だそう)を書く作家さんのようだ。
翻訳者は 林啓恵
特に本作のようなクィア小説だけでなく、様々な作品を翻訳されている方のようです。
出版社は 二見書房
掲載誌・レーベルは 二見文庫ザ・ミステリ・コレクション
発売は 2021年04月
この作品のコレクターズ・エディションも発売されている(めっちゃ欲しい!でも高い!)
間違いない。今年のナンバーワンよ。
断言するわよ。
これがナンバーワンよ。
だってさ。
反目し合ってたところからの大恋愛よ。
みんな好きでしょ?! 私だけじゃないはずよ!!!
アレックスはヘンリーに憧れがありながらも、彼に冷淡な態度を取られたことから、彼にちょっかいを出さずにはいられない。
一方のヘンリーも、アレックスには惹かれていたけど、ゲイであることを公言出来るような立場じゃないから、彼に近づかないように素っ気ない態度をとっていて。
それがさ。ウェディングケーキのスキャンダルから強制的に距離を縮める羽目になって。
もうさ。こんな私の稚拙な感想読んでる場合じゃないでしょ?!
本屋でも電子版でも良いから、すぐに読むべき作品よ(笑)!
またさぁ。翻訳をされている林啓恵さんの腕が良いんでしょうね。会話が逐一オシャレなのよ。
ちょっとした言い回しがさ。
こう、皮肉な感じであり、男性っぽさもあり、っていう。
ちなみにこの作品、Amazonプライムで映画化されていて。
こっちも良かったわよ。
映画版は、原作小説のハイライトを綺麗にまとめた、って感じだった。
多少小説との違いは(ストーリーや時間の関係上)あるけれど、充分楽しめました。
小説版の方が2人が仲良くなっていくやりとりをじっくり見れる、って感じだけどね。
強いて言うなら、小説はヘンリー×アレックスっぽいけど、映画はアレックス×ヘンリーっぽい。
この表現については、わかる人だけわかればいい。
大したことじゃない。
ちなみに、映画は続編が決定したそう。
……映画は、原作小説の最後までやっているから、続編に当たるエピソードはないんだけど。
コレクターズ・エディションにある短編も40ページくらいのものだって聞いているんだけど。
これって原作小説も続編が出るって期待していいのかしらね?!
読みたいわ!!絶対読みたい!!
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