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自分の幸せを追求するためには自立する|『結婚ってどうよ?!』岡田斗司夫



主人公・アリス。29歳。独身。彼氏とは別れたばかり。

両親からは結婚をせっつかれ、友人からは「お見合いした人と結婚することにした」と言われ。

高望みしているつもりはないのに、“ピンとくる相手”にはなかなか出会えない。

そんなアリスは、家の近くのコンビニでテレビで見たことのある人物を見つけた。

作家の岡田斗司夫だ。

本屋で彼の著書を見かけて、そのタイトルに驚いたのも思い出した。『30独身女、どうよ!?』だ。

どうよ、とはどうゆうことか。
アリスは、岡田斗司夫に声をかけ、不満をぶちまけた。

深夜になってもお客の絶えないカフェで、私は今日起こった悲劇のすべてを話した。
「友達は運命の相手を探さずに、お見合いなんかで結婚しちゃうんですよ」
「でも男なんて、みんな若い女のほうがいいんですよね」
「やっぱり女は29歳にもなったら妥協なんですかね」
「私は収入とか見てくれとか、そんな、ワガママなんて言ってないんですよ。ただピンとくる男を探してるだけなのに、なんでこんな目に遭わなくちゃいけないんですか!?」
アイスコーヒーを飲みながらじっと聞いていた岡田さんは、たった一言、信じられないことを言った。
「君は、男貧乏なんだよ」
え、今何と?
「男ビンボー」

この本は、本を企画した担当編集の竹内さん(当時29歳・彼氏募集中)と、岡田斗司夫さんの会話を、渡辺由美子さんが小説として書き上げた、“結婚”を分解・分析していく岡田斗司夫の結婚セミナーを疑似体験する作品だ。


ついつい読んじゃう岡田斗司夫

著者は岡田斗司夫

1958年大阪府生まれ。社会評論家。
1984年にアニメ制作会社ガイナックス設立後、東京大学非常勤講師に就任、作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。
2010年に「オタキングex」(現FREEex)を立ち上げる。

フォレスト出版 岡田斗司夫 プロフィール

岡田斗司夫さんの本は、本作に限らず、何作か読んでいます。
KindleUnlimitedにあるので、ついつい定期的に読んじゃう。


渡辺由美子

1967年愛知県生まれ。椙山女学園大学国文学科卒業。『婦人公論』、『読売ウィークリー』等で女性向け・恋愛関連の記事を、『週刊SPA!』、『アニメージュ』等でサブカルチャー系の記事を手がける。『国際おたく大学』(岡田斗司夫編/光文社)に執筆。

『結婚ってどうよ?!』著者紹介ページ

出版社は 株式会社ロケット

発売は 2015年 2月


結婚してる人も、したい人も、するつもりのない人も楽しめる1冊

……ただ、女性を対象にしている本なので、男性にとっては、少し蚊帳の外感のある本かもしれません。

「そんなこと考えてるんだ」という意味では楽しめるかと。

私自身も、あまり結婚に大きな夢を抱いているタイプではなかったので、「わかる!」というよりは「そういうことを求めてるんだ……」って部分が多い本ではありました。

ちなみに、この本は結婚が出来るようにレクチャーする本でも、逆に「結婚しなくてもいいじゃん!」って本でもありません。

“結婚”に対して、何を求めているのか、求めているものを手にするためには何を捨てるべきか、もしくはどう対処すべきか、的なことが書かれています。

中でも面白かったのは、“いい男選びのための診断テスト”。このテストは“自分にとっていい男(=求めてる結婚相手)”とはどんな相手か?を診断するもの。

縦軸が愛情↔安定

横軸が尽くし型↔ワガママ型

愛情×ワガママ型で【友達夫婦志向】
愛さえあれば貧乏も 乗りきれる。
でも、自分の仕事や 趣味を邪魔してほしくない。
負担は何でも平等。

愛情×尽くし型で【だめんず志向】
自分が惚れた男をな んとかしてあげたい。
しつけが肝心。

安定×尽くし型で【高収入の夫志向】
私を食わせて欲しい 
マネージャー
世話女房

安定×ワガママ型で【“婦唱夫随”志向】
夫の収入には頼らない。 
私の仕事趣味に 協力してもらいたい。
キャリアウーマン。

といった具合。

これを、パッと見て、「私は、愛情×ワガママ型で【友達夫婦志向】だわ!」と思ったのですが。

結果はまさかの、安定×ワガママ型で【“婦唱夫随”志向】。

それを判定するテストが

【質問1】好きになれなくても、御曹司なら結婚したい、もしくは結婚できる

・御曹司というだけで結婚したい&好きになれる人……C
・好きになれない相手とは結婚できない……A・B・D

【質問2】自分を好きになってくれる普通の年収の人と、自分がすごく好きな低年収の人ならどっちと結婚する?
[結果] ・好きになってくれる普通の年収の人……D
・自分が愛している低年収の人……A・B

【質問3】彼の幸せによって、私が損しても幸せに思えるか、それとも彼が損しても、私が幸せになりたいか

[結果]
・私の幸せ優先(ワガママ型)……A
・彼の幸せ優先(尽くし型)……B

私は早々に質問2で「好きになってくれる普通の年収の人」を選んだ為、Dに振り分けられました。

え? やむ終えない事情がない限り、自分の食い扶持は自分で稼ぐもんじゃないの?

で、当初、私がこっちじゃない?!
と思った愛情×ワガママ型で【友達夫婦志向】と、安定×ワガママ型で【“婦唱夫随”志向】は何が違うの?!という答えは。

「AもDも自分が主体のプレイヤータイプ、というのは同じなんだ。 でも、例えばAとDがどちらも野球のピッチャーだとしよう。A<友達夫婦>は〝愛する人〟というキャッチャーが『よし、来い!』とミットを構えてくれないと、球が投げられないんだ。愛する人がいるからこそ私は野球ができるという感じ。でもDは違うんだ。D<婦唱夫随>は、キャッチャーが自分の望むような受け方をしてくれなかったら、すぐにキャッチャー交代だ。どのキャッチャーも気に入らないとなると、壁に向かってでも投げ続ける。キャッチャーがいるから野球がしたい、じゃない。キャッチャーがいようがいまいが、彼女は球を投げ続けていたいんだ」

キャッチャー交代……(遠い目)
自分が居心地良く生きる為に、合う配偶者を選ぶって普通じゃないの?

合わない人と嫌嫌生きていくなら、仕事しながら一人で楽しく生きていった方がずっと良いじゃん。

……え、違うの?

ちなみに、この【“婦唱夫随”志向】は

「こういう人はある程度、自分にないもの、相手に求めたいものがわかっているはずだ。だから男選びはそれほど難しくはない。選択肢は少なくなるけどね」

だそうだ。
そうなのか? 私の周り、割とこのタイプ多そうなのに。(そう思い込んでるだけ?)

選択肢が少なくなる理由は、男性の希望として「尽くしてくれる女性」を求める人が多いからだそうだ。

本当か?! 本当なのか?!

そんなお母さんの延長線上みたいな方が良いのか?
それで良いのか?!

と、まあ、これが全ての正解ではないのですが。

思わぬ自分の結婚感がわかったりして面白いです。

個人的には、結婚したい人がいるなら、したらいいし、結婚しなくても楽しく生きていけるし。
子どもも、若くて健康なら必ず授かるってものでもないし。いても、いなくても苦労は何かでするんだから、選べるなら選んだ方で。選べなかったら、そのままで良いんじゃない?
くらいにしか思ってないのですが。

まあ、強いて言うなら、結婚すると、一緒に住んでいる相手(私の場合は夫)の代行を「妻です」の一言で出来るのは便利だな、ってことでしょうか。

とりあえず、昔、夫が落とした財布は、この一言と身分証で引き渡してもらえた(笑)。

幸せとか、そういうのより、一緒に生活をするなら便利、ってイメージの方が強い。

おそらく、この本の答えも結婚するかしないかが幸せを決定付けるものではなく、女性であれ、男性であれ、経済的に自立して、ある程度自分の楽しみもコントロール出来て、誰かに提供されることを前提にしなければならない条件を外せた時に、初めて“好きな人”との生活を楽しめる、ってことなんじゃないかなぁ。
 
西原理恵子さんもエッセイで、美味しいものは自分で働いて得たお金で食べた方が美味しい、というようなことを書いてたし。

うーん、とりあえず、私の結婚感はマイノリティーなのかも、というのはわかりました。(まだ信じ切ってはいない)

意外な発見があるかもしれない1冊です。


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