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これを食べると、やはり君は笑ってくれるんだな|ライトノベル『昨日まで名前も呼んでくれなかった公爵様が、急に溺愛してくるのですが?』
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男爵令嬢であったマリエーヌは、21歳の時に義父の借金を肩代わりする代わりに、と“世継ぎを生むため”に買われるように公爵家へ嫁いできた。
『冷血公爵』
『人の血が流れていない殺人鬼』
『返り血を浴びすぎて瞳の色が血の色に染まっている』
と、恐ろしい噂が絶えない27歳のアレクシア公爵は、結婚する前も、後も、マリエーヌの存在を無視し続けた。
そんな夫である公爵が原因不明の高熱を出して、3日後。
「マリエーヌ! マリエーヌ! どこにいるんだ!?」
一度もマリエーヌの名前を呼んだことのない公爵の声が、公爵邸内に響き渡る。
部屋の外からは、使用人がバタバタと慌ただしく走る足音が聞こえてくる。
「公爵様!? どうされましたか!?」
「うるさい! 僕に近寄るな! 今すぐマリエーヌに会わないといけないんだ! マリエーヌ! いるんだろう!? マリエーヌ!」
公爵はおろか、誰の目にも触れないように生活をしてきたマリエーヌに、公爵から怒りを買う覚えは全くないが、それでも、身構えてしまう。
やがて、マリエーヌの部屋までやってきた声の主は。
次の瞬間、公爵様の深紅の瞳が大きく揺らぎ、ポロポロと大粒の涙が溢れ出した。
「あ……あ……。マリ……エーヌ……ほんとに……君……なのか……?」
公爵様は一層切なそうに眉を寄せ、絞り出すような声を漏らしながら私に手を伸ばしてきた。
マリエーヌの思いも寄らない行動に出た。
「マリエーヌ……君を愛してる」
「はい、申し訳ありま…………は?」
「な!?」
突拍子もなく言われたその言葉に、私だけでなく、扉の前に集まっていた使用人からも驚きの声が上がった。
公爵は、高熱でおかしくなってしまったのか。それとも二重人格的な何かなのか。
――この状態が、いつまで続くのか。
ある日、今までのような公爵に戻るのではないか。
そんなマリエーヌの心中をよそに、公爵はマリエーヌに愛を伝え続ける。
しかし、公爵は高熱でおかしくなったわけでも、二重人格者になったわけでもなく。マリエーヌも知らない、公爵の“もう1つの未来”が関係していたのだった。
※この作品はKindleUnlimitedで配信しています。
なろう小説の書籍化作品
著者は 三月叶姫
本作は小説家になろうで発表していた作品の書籍化。同サイトでは、他にも作品を発表していますが、書籍化は本作が初めてのようです。
出版社は TOブックス
発売は 2023年10月
既刊1巻。2巻の発売が決まっているそうです。
風見まつりの作画でコミカライズも進行中。
現在(2024-01-03)1話がKindle(他サービスでも)無料で配信中。
※TOブックス作品ですが、コロナEXでは1話のみの配信でした。
新しい“死に戻り”作品
マリエーヌ視点から始まるので、正に豹変した公爵・アレクシアの意味が全くわからない所から始まるのですが。
何か裏があるのか、どこかおかしいのか。
次第に読み進めていくと、アレクシアはマリエーヌの知らない“何か”をほのめかす。
今までマリエーヌと話をしたこともなかったのに
「すまなかった。マリエーヌの言う通りだ。食事は誰かと一緒に食べるからこそ美味しいと思える……君が教えてくれた事だったな」
と、言ったり。
苦手だった人参を食べて見せ、「君に良いところを見せたかったから」と言われて思わず笑ってしまったマリエーヌに
「これを食べると、やはり君は笑ってくれるんだな」
と、呟いたり。
というのも、この作品“死に戻り”系の作品なのですが、死に戻ったのは主人公であるマリエーヌではなく、アレクシア公爵の方。
(もしかしたら、マリエーヌも死に戻ってるのかもしれないけど、記憶を持ったまま戻ったのは公爵だけ)
あ、新しい……
本来なら、主人公が死に戻って、同じ結末にならないように……って展開が定番だけど、死に戻ったのは公爵の方だから、「何事?!」ってなる。
死に戻る前の時間軸で何があったのか。
それは、2部構成の後半で語られるのですが。
切ないー。でもこれは公爵、マリエーヌに執着するよねー。っていう展開。
ストーリーとしては、ほぼ、まとまっているのですが、2巻も出るそうなので楽しみです。
公爵にも恐れずズバズバ言うマリエーヌの侍女・リディアも好き。彼女のお話も、もっと読みたいな。描き下ろしてもらえないかなー。
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