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半年間考え続けて気づいた「マーケティングは結局何をすれば良いのか」

目次
1.近視眼的マーケティングで使っている指標とその影響
2.俯瞰的なマーケティングで使っている指標とその影響
3.結局何をすれば良いのか

こんにちは。IRMANです。2020年1月末に起業しまして(下リンク)、すでに2四半期分の決算が終わったところで1期目の後期が始まる一つの区切りだということで新しくnoteを書き始めました!

僕らは、マーケティング支援を全般的にやっています。

全般的にというのは、広告を運用するだけでなく、そもそもの戦略を立てるところからサイト作成、LP改善、データ分析、UIUX改善、定量調査、定性調査など、マーケティングに関わる大体のことはできる、という意味です。

嬉しいことに、クライアント数は数十社にも増えて、実力不足で何社かお力添えができなかったものの、ほとんどのクライアントで実績を残すことができています。現在は、ここの正の循環を回すことで成長している状況です。

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ビジネスモデル的には、いわゆるアフィリエイトとは少し違います。僕らは、ほとんどの場合がクライアントと予算を決めてその予算内で実績を出すように設計されたビジネスモデルです。

一方でアフィリエイトは、
・広告主からすると成果報酬分しかコストが発生しないのに獲得件数を増やせる
・メディア側からしてもキャッシュカウとして本当に優秀

といったとても画期的なビジネスモデルで、僕らもこのビジネスモデルにあやかって軍資金を集めることができています。

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ただ、その反面、マーケティングをやるにあたってはアフィリエイトにもネックになる部分があります。

近視眼的なマーケティングにばかり焦点が当たってしまうという部分です。

後述しますが、KPIの設計がそうなっているので、そうなることが自然なのです。(ここでいう「近視眼的なマーケティング」は、セオドア・レビットが発表した概念とほぼ同義かと思いますが、びっくりするくらいたまたまです笑)

僕らは「クライアントの革命的な成長」を目指しているので「もう少し事業を俯瞰できる立場にポジションを据えたいよね」というのがあって、アフィリエイトの比率を意図的に下げ、後述するKPIの設計を重要視しています。

創業してからは、俯瞰的なマーケティングをやるにあたって何をKPIとするべきなのかみたいなことに関してたくさん考えてきました。今回のnoteは、その知見を言語化して一回整理してみよう、というのが趣旨です。

具体的には、

・近視眼的マーケティングで使っている指標とその影響
・俯瞰的なマーケティングで使っている指標とその影響
・結局マーケティングは何をすることなのか

みたいなことを書いていこうと思います。

色々な立場で「マーケティングに困っている!もっと伸ばしたい!」という方に、考え方の指標のようなものを提示できたら幸いです。(間違った考え方をしていたらご指摘ください)

近視眼的マーケティングとはなんなのか

僕らが定義している近視眼的マーケティングは、以下のKPIを追うマーケティングのことです。

CPA(=CPC÷CVR)×CV

これは、アフィリエイトをやるにあたって最重要の数字で、

・CPAを下げるために、CPCをできるだけ下げ、CVRをできるだけ上げる
・CV数を最大化させる

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この二つの指標を最適化できたときに、最大のパフォーマンスが達成されるというものです。

どうやってそれらの数字を改善するかというと、改善インパクトの大きい順に

・顧客が商品サービスを買いたくなるようなクリエイティブ、LPを作成する(CPC,CVRの改善)
・配信媒体のアルゴリズムを理解して、ハックする(CPC,CVRの改善)
・投下する予算を増やす(CVの最大化)

です。

これはもちろんとっっても大事なことです。上場企業で業績がどんどん伸びている某会社を筆頭に、これが上手な会社はびっくりするくらいの結果を出しています。資本主義においては結果が全てなので、素晴らしい会社であることに文句のつけようもありません。

ただ、この指標をマーケティングの観点から見るとどうか。

実は、純粋にこの指標を追っているだけでは、

・目の前の顧客を取ることに精一杯になり大局観を掴めない
・競合や環境変化に対しての商品サービスのポジショニングがわからない
・ユーザーに負荷をかけることで長期的にブランド価値が毀損する

などのデメリットが生じてきてしまいます。

行き過ぎてしまった例でいうと、グノシーの子会社社員からの摘発や最近規制が強くなり始めたyoutubeの漫画広告です。

CVRを追い求めていると、FUD(『Fear(不安)』、『Uncertainty(不確実)』『Doubt(疑念)』)の手法や景品法薬機法ギリギリの訴求がやはり強いので、純粋にKPIを追うとそうなってしまうというのは、誰にでも起こりうることかと思います。

マーケティングの本来の役割が「購入者数を増やしながら商品サービスの価値を底上げすること」と理解している僕らとしては、本意ではありません。

CPAとCV以外の指標が必要なのです。

俯瞰的なマーケティングとはなんなのか

ではどのようなKPIを指標にすれば良いのか。

「購入者数」と「価値の底上げ」という観点からすると、

売上=購入者数×価格×年間購入回数

も良いかもしれません。ただ、これだけではまだ大局観をつかむことができません。

そこで、僕らが大事にしている指標が

売上=市場のパイ×認知率×購入率×価格×年間購入回数

になります。

それぞれの定義は以下の通りです。

-市場のパイ
商品/サービスが位置する市場の到達可能な人数のこと。
-認知率
商品/サービスが位置する市場の到達可能な人数のうち、商品/サービスを認知している割合のこと。
-購入率
商品/サービスを認知している割合のうち、実際に購入する人数のこと。
-価格
商品/サービスの提供価格。
-年間購入回数
1消費者が年間を通して商品/サービスを購入する回数。

これらの指標のうち、マーケティングを駆使して動かせる変数は、全てです。認知率や購入率は想像がつきやすいかと思いますが、難しそうに思える市場のパイ、価格、年間購入回数も動かせると思っています。

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注意するべきは、それぞれの指標は基本的に独立した変数ではなく、有機的に絡み合って相互を補う(欠損しあう)ということです。

部分最適化を繰り返して全体の底上げをすることは一切できないので、全体を同時に底上げしていく考え方が重要であるということです。

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俯瞰的なマーケティングの観点から、どうやって変数を動かすか

では、有機的につながるこれらの数字をどうやってあげていくのか。ここまできたら、戦術の話になります。

MECEではないかもしれませんが、僕ら的にはこれから上げる3つの観点が非常に重要であると考えています。

-市場におけるポジション
-製品/サービスの質
-価格

この3つの観点は、商品/サービスによって重点が全く違います。

例えば、化粧品/コスメの場合は製品の質に大きな差をつけることができないので市場におけるポジションの確立に重点があったり、家電などの製品の機能自体が大事なものはポジションや価格よりも製品/サービスの質が大事だったり、よくある消耗品であれば価格が一番大事であったり、といった具合です。

このうちのどこにどれくらいの重点を置くかに関しては相当難しいのですが、いろいろな製品サービスのマーケティング戦略を見て、実際に経験して、自分の頭で分析することが一番効率の良い方法であると思っています。実際にデータを持っているのであれば、重回帰分析をするのが正攻法です。

では、それぞれの観点をどのように考えれば良いのか、詳しく書いていきます。

-市場におけるポジション

どの商品も、どこかしらの市場に位置します。

まずはその市場の特定。

売上=市場のパイ×認知率×購入率×価格×年間購入回数、のうち、市場のパイです。

ただ、「〇〇 市場」などでググって出てくるような(社会的な意味での)市場ではなく、「顧客から見た時の市場」の特定をします。

例えば、ダイエット市場を考えてみます。よくやるのは、こういう分け方でしょう。

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ただ、これはあまり意味のあるマトリックス図ではありません。

顧客の顔が全く見えないからです。ここで例えば「来店頻度の低い&効果の高い」ダイエット方法があればヒットする!などを考えてしまってはあまりうまく行きそうにありません。

それは、顧客の顔が全く見えていない差別化、つまり、「有効な差別化」になっていないからです。

そもそも、顧客の需要を2つの軸で捉えられるわけがありません。

ではどうすればよいのか。

僕らは、頭の中にこのようなぐちゃぐちゃな図を描きます。

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「痩せたい」市場の中で、どのような需要が散布しているか、それぞれの需要がどれくらい大きいか、どれがどのように重なっているか、などをざっくりでも良いので考えます。(図はあまり正しくないかと思います。笑)

そして次に考えるのが、

・扱う商品/サービスがどの位置にポジショニングをとっているか
・そのポジションはどれくらいの規模がある市場なのか(十分大きいか)
・そのポジションにおけるNo1はどこなのか。
・No1との差別化は何があり得るか(思いつく限りを列挙)
・その差別化のうち、「ポジションを移すことなく有効な差別化」となっているものがあるか

です。

シミ系のクリームに化粧水をプレゼントでつける、値段で差別化をつける、などの戦略があまりうまくいかないのはこの顧客からみた市場の中での有効な差別化がなっていないからです。(基本的に化粧品/コスメは美しくなれるかもしれないという「将来像」を提示することが有効な差別化要因になります)

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この「有効な差別化」は、めちゃくちゃうまくいくと他のポジションの円の大きさを小さくして自分の位置する市場を大きくすることに成功します。

なので、「差別化=市場を狭める」という訳ではないことにも注意が必要だと思っています。

-製品/サービスの質

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製品/サービスの質で大事なのは、
・市場におけるポジションと商品体験が一致しているかどうかという点
・消費者が判断する文脈で「良い商品であるか」

の2点です。

様々な技術や製造方法を組み合わせることで「製造者、マーケ側から良い商品」として見なされた商品でも、それが顧客と一致するとは限りません。

頭の中で「顧客はこういう悩みを抱えていてこういう風に考えているからこういう商品は売れるだろう」という論理的な「整合性」と、顧客が本当に求めている「強い需要」はピンポイントで一致することはほとんどありません。

この「強い需要」を満たした商品であるかを確かめる方法としては、

・実際に使用
・口コミ
・インタビュー

などの方法を取って確かめるのが一般的です。(このやり方も大事だと思っているので、次のnoteで書くと思います)

-価格

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最後に価格ですが、これは、

売上=市場のパイ×認知率×購入率×価格×年間購入回数

の計算式のうち「全体の変数を上げた結果付いてくるもの」という認識です。

最悪の状況は、それぞれの変数を下手に下げてしまった結果、値下げせざるを得ない状況です。そうなってしまっては、資本主義においては「負け」と言わざるを得ません。

値上げは正義です。値上げの施策をできてこそマーケターとして一流と言えるのだろうなという認識を持っているので、僕らもクライアントごとにチャンスを見計らって施策を打ってみたいと思っています。

まとめ

長くなってしまいましたが、今のところの僕らとしての「マーケティングは結局何をすれば良いのか」の答えは、

売上を「市場のパイ×認知率×購入率×価格×年間購入回数」に因数分解し、全体を同時に底上げしていく

ということです。

これは考え方の問題で、実際の業務ではCPA(=CPC÷CVR)×CVの式もフル活用しています。

こちらの考え方も良いところどりをしながら、根底に俯瞰的な思考を持つというのは忘れないでいたいなぁという、自戒の文章でもありました。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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