地域の皆さんに、伝えておきたいこと
様々な自治体と話をする中で、最も多い質問の1つに「受け入れ側として、まず、何をやったら良いのですか?」「受け入れるためのステップって何ですか?」といったものだが、実は答えは明白。今日はこの問いに関しての、僕自身の本音を回答しようと思う。
ワーケーションの本質を考えてみる
ワーケーションは色々な定義が最近は日本中を駆け回り、幅広く捉えられるようになってきている。そのため、結構バラバラになりがちだが、本質の部分としては「場所を変えて豊かに暮らし働く手段」が根底にあると考えている。
暮らすように旅をする人にとっても、それは豊かなライフスタイルを実現するための手段であるし、場所に捉われない働き方をする人にとってもワーケーションはより楽しめる手段となる。人によって大きく異なってくる部分が多いため「場所を変えて豊かに暮らし働く手段」と少し漠然と本質を捉えていきたい。
そうすると、ワーケーションは「ワーケーションをすることが、目的」ではなく、何かを成し遂げたいという「手段」として捉えられているのである。まさに、暮らし方や働き方=ライフスタイルとなってくる。
つまり、観光施策にならないということである。
「都会から田舎に人がやって来る」だけ、の誤解
ワーケーションに最も多い誤解の1つに、都市部のワーカーがたくさん田舎に働きにやってくるという「だけ」の誤解。それは一理あるにしても、それだけではないということ。日本ワーケーション協会の理事は北海道や長崎県にも在住しており、彼ら、彼女らも宮崎県や北海道等、様々な地域にワーケーションへ出かけている。つまり「誰がどこへ行っても良い」のである。
極端な例で言うと、関西圏在住の僕にとっては東京だって立派なワーケーション先である。既に「会いにいく東京」として、東京ならここに行けば落ち着くというスポットだったり、宿泊ついでに赤坂や渋谷、日本橋の街を歩いては歴史を学んだりしている。多くの東京都民よりも、東京のマニアックな歴史に詳しい自信もある。
僕自身「都市部のワーカー」という言い方が好きではなく、こういう言い方をするからこのような誤解が生まれていると考えている。だけど、都市部と田舎で対比させてしまったが挙句「地域の人たちが自分達の働き方を度外視して」しまうことが起きている。
何からやるの?「自分がやってみるの」
「受け入れ側として、まず、何をやったら良いのですか?」「受け入れるためのステップって何ですか?」これらの多くの質問の回答は非常に簡単で、自らが「ワーカー」になること、そして「場所を変えて豊かに暮らし働く手段」を自らやってみることに他ならない。
立派なワークスペースを整備することだったり、セミナーで頭でっかちになったり、WEBサイトを作ったり、とにかくモニターに来てもらったり。そういうことではなく、自分達でも、このライフスタイルをやってみること、が本当に必要。
働き方を考えるのは、何も東京の会社だけではない。自分達もできる範囲からで構わないからやってみるということである。
ワーケーション=都市部の人だけがやるもの、という認識があるなら、それは直ちに外すべきで「場所を変えて豊かに暮らし働く手段」であるならば「誰がどこへ行っても良い」。
もちろん、このやってみるは新幹線や飛行機を使う必要はなく、まずは自分達の街の中ででも普段と異なる場所で仕事をしたり、ミーティングをしてみたりするということ。規模は大きくなくて良く、やろうとして理解すること。そうすることで、必然的に自分達の街の良さも見えてくるし、ワーカーの必要としていることも感じてくるものである。
こうしたライフスタイルを経験していたり、やっていたりする人が多い地域は、誰もいなかったワークスペースを、コミュニティを作っていくことでコワーキングスペースとして盛り上げていくことができる可能性も上がる。多様な考え方ができていくから、人の集まる地域になっていく、と僕自身は考えている。
僕たちが目指したいのは、単なる地方創生じゃない
たまに、ワーケーションは地方創生の文脈で語られる。確かに、その文脈は一理ある。経験を通して、その地域が好きになり、ファンとなって関係人口化していくことも期待される。
ただそれ以上に、もっと大きくて大事なことは「豊かなライフスタイルを共創」していくということ。今までの働き方で良いのか?もっと多様な暮らし方ができないか。これらを考えていくことの方が大きく、地域の中でそれらを一緒に考えることで、より良いライフスタイルを送れる地域になることもできる。
どうか、他人事と思わずに、まずはご自身も「場所を変えて豊かに暮らし働く手段」を近くでもいいからどんどん試してみて、その上で一緒に共創していきたいと心より願っている。
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