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ワーケーション・リーダーズサミットの参加レポ

ワーケーションの先駆者が集結する、非常に熱いイベント。
 

2020年10月22日(木)・23日(金)と2日間に渡り、和歌山県白浜町で開催された「ワーケーション・リーダーズサミット」へ参加しました。

このイベントは、和歌山県さんが主催、5年後の働き方コンソーシアムさんが共催し、当協会・日本ワーケーション協会や日本テレワーク協会さん等が後援するイベントでした。

和歌山県はワーケーションの先行事例として注目を浴びており、その中でも特に白浜はワーケーションの聖地と呼ばれるほど、このワーケーションの業界で熱い地域の1つです。

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当日の会場は「SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE」、会場自体がワーケーションに最高の場所でした。白浜のワーケーションの感想はまた後日、別の記事にします。

さて、時系列に綴っていきます。

パネルディスカッション①:和歌山でのワーケーション事例

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<登壇者>
ファシリテーター:株式会社KabuK Style/代表取締役 大瀬良 亮 さん
日本航空株式会社/人財本部 人財戦略部 ワークスタイル変革推進グループ アシスタントマネジャー 東原 祥匡 さん
三菱地所株式会社/営業企画部専任部長 玉木 慶介 さん
株式会社南紀白浜エアポート/誘客・地域活性化室長 森重 良太 さん

このパートでは、ワーケーションの聖地と言われる和歌山県、特に白浜地区にクローズアップした事例紹介の時間。

和歌山県は、ワーケーションにいち早く着目し、通信環境の整備やプロモーションを積極的に行っていました。

その中で、企業の制度導入の成功事例として注目を浴びる日本航空さんが、ワーケーションを制度導入することで社員の有給休暇取得促進に繋がり、満足度が向上。

三菱地所さんが「WORK×ation Site 南紀白浜」を開業し、企業がワーケーションを「企業課題解決」「プロジェクトの達成」などを目的に使用するケースが増加。

現在この施設は、東京都内の企業の使用率が極めて高く、今後益々多種多様な地域や業種からの利用が見込まれています。

そして、南紀白浜エアポートさんが、地方空港という立ち位置から、ワーケーション総合コンシェルジュ機能となり、先陣を切る。

和歌山県が、ワーケーションの聖地と言われる背景には、まずは素晴らしい態勢があり、積極的に企業参加が促された結果であると感じました。

パネルディスカッション②:ワーケーション導入先進企業の制度設計の実例

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<登壇者>
ファシリテーター:株式会社パソナJOB HUB/ソーシャルイノベーション部 兼 事業開発部 部長 加藤 遼 さん
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/取締役 人事総務本部長 島田 由香 さん
株式会社LIFULL/地方創生推進部 LivingAnywhere Commons事業責任者 小池 克典 さん
株式会社セールスフォース・ドットコム/セールスディベロップメント本部 営業戦略室 室長 白浜オフィス長 吉野 隆生 さん

このパートでは、企業側としてワーケーションやテレワークの導入や白浜のサテライトオフィスでの業務の成果についてのお話でした。

皆さんお知り合いということで、かなりざっくばらんにお話されていた印象です。

ワーケーションを導入して、白浜のサテライトオフィスにて営業活動を行うと、営業効率が20%向上というデータがあったそうです。これは東京での営業マンと、白浜の営業マンが実際に取った新規契約件数を比較しているとのこと。

不動産の業界でも、テレワークやリモート営業を導入することで、1ヶ月の新規契約件数で2.5倍になったい営業マンもいたとのこと。一番の理由は、営業をリモート化することで、移動時間が削減されて、接触件数が増えたことが大きかったそうです。

東京ではコミュニティが多すぎて、小さな成功は埋もれてしまうことに対して、地方ではコミュニティが小さいが故に、小さな成功でも大きく注目を浴びる。それがモチベーションアップに繋がる、ということです。

確かにテレワークの導入でコミュニケーションの希薄化に悩む企業もあるかもしれません。そんなときは、上司がチャットでの「小さなありがとう」を何度も言うことで、コミュニケーションを図ってきたと言います。

ワーケーションの前提となるテレワーク。これだけでも導入効果が大きいのに、ワーケーションを通して、東京ではない場所で仕事をすることで効率がアップしている。

そして、ワーケーション=Happiness。素晴らしい名言がありました。

パネルディスカッション③:ワーケーション実施に向けてのカルチャーの醸成や課題

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<登壇者>
ファシリテーター:ランサーズ株式会社/CEvO スマート経営推進室 室長 根岸 泰之 さん
株式会社JR西日本イノベーションズ/取締役 奥野 誠 さん
GMOペパボ株式会社/常務取締役 HR統括部長 五十島 啓人 さん
株式会社tsumug/代表取締役社長 牧田 恵里 さん

このパートでは、ワーケーションを導入するに当たる課題等が討論されました。

ワーケーションの前提となるテレワークの導入で、不安点として上がることとしては健康管理、メンタル管理、そして災害対応。

例えば今まで東京丸の内のオフィスに週5で通勤していた人が、週5自宅でテレワークを実施すると、必然的に歩行量が下がります。その結果、運動不足に陥るのでは?という懸念です。

メンタルでは、みんなで助け合うから良いという人が、1人で対面で会えない環境下で仕事をすることで孤独感を抱き、不安になっていくという懸念です。

災害対応では、例えばオフィスへ出社中に地震が起きた時、会社が対応でき安否確認ができるが、自宅でテレワークを実施中に災害が起きた際の安否確認が遅れることに対する懸念です。

そしてワーケーションの前提となるテレワークの導入には、紙媒体を減らしていくことが非常に重要となります。この移行はどの企業でも課題となるでしょう。

しかし、このパートで生まれた魔法の言葉。それは「実証実験」

ワーケーションをやりましょう、いきなり言い過ぎると確かに抵抗もあるかもしれないし、どうしてもマイナス面ばっかり見てしまいがちです。

だけど「試しにやってみましょう=実証実験」となると、「ダメなら辞められる」という選択肢を付けて、やってみることができる。これは本当に素晴らしい発想だと感じました。

ワーケーションの聖地のお隣・田辺市 アツすぎるまちの未来を支える仕組み

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〈登壇者〉
ファシリテーター:株式会社KabuK Style/代表取締役 大瀬良 亮 さん
株式会社榎本家具店/代表取締役 榎本 将明 さん
南紀みらい株式会社/専務取締役 尾崎 弘和 さん
株式会社「たがみ」/専務取締役 田上 雅人 さん
田辺市/たなべ営業室 価値創造係長 鍋屋 安則 さん

和歌山県白浜町がワーケーションの聖地として熱いのであれば、お隣田辺市も負けていない!そんな熱意を知った夜の1時間でした。

和歌山県田辺市が主導するたなべ未来創造塾」、ここに全ての秘密があります。

何が凄いかというと、実行率が50%を超えていて、塾生が田辺市の経済に大きな影響を及ぼしているという成果が上がっているのです。

似たような取り組みをされている地域は多くありますが、この驚異の実行率には驚きました。

まず、授業を受けて終わり、ではなく、所謂「飲みニケーション」が非常に濃いとのことです。

主導する市役所の職員や先駆者の方が、塾生と飲みに行って田辺の未来を語り合う。こんな街は失礼ながら、今まで聞いたことありませんでした。

密なるコミュニケーションが、田辺市の成功の秘訣なのだと皆さんが口を揃えて仰います。

そしてこの塾で生まれた事業、スモールビジネスの種を、田辺の皆さんが消費をして、成功させよう、と本当に温かく協力をしている。そんな風を感じました。

それが次期生にも活かされて、どんどん良い循環が生まれていく。

そして、地域の交流スペースとして「tanabe en+」がオープン。

地元の高校生がお喋りしに来る横で、プロジェクトの打ち合わせが当たり前に行われる。Zoomセミナーを開催したら、地元の高齢者がたくさん参加しに来た。

田辺のコミュニティが、どんどん良い相乗効果を生んでいますよね。

そして、田辺市の鍋屋さんが仰るには、田辺市は田辺市のカラーでやってるから、その気になれば、どの地域だって、その街らしさのムーブメントを起こせる。とのこと。

ビジネスが生まれれば雇用も生まれ、活力となる。田辺のこれからが本当に楽しみです!

企業と地域の協動型ワーケーションマッチング

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<登壇者>
ファシリテーター:株式会社パソナJOB HUB/ソーシャルイノベーション部 兼 事業開発部 部長 加藤 遼 さん
【静岡県下田市】株式会社LIFULL/地方創生推進部 LivingAnywhere Commons プロジェクト SV 梅田 直樹 さん
【徳島県美馬市】株式会社トップシード/代表取締役 小柳 秀吉 さん
【長崎県五島市】一般社団法人みつめる旅/理事 鈴木 円香 さん
【長野県千曲市】株式会社ふろしきや/代表 田村 英彦 さん
【岩手県釜石市】株式会社パソナ東北創生/代表取締役社長 戸塚 絵梨子 さん

このパートでは、実際の地方でのワーケーションを通して生まれた数々の事例が発表されました。

下田、美馬、五島、千曲(ちくま)、釜石。

全て自治体の職員がお話するのではなく、ワーケーションを通して移住して、その地でビジネスを起こした方々の具体的なお話でした。

事例として挙がる地域は、必ずと言っていいほど、地元への還元意識が強い、ということです。

例えば、広告物は地元企業へ依頼したり、地元の人達が参加しやすいようなイベントを開催したり。

ワーケーションをしに訪れる→地元が好きになる→地元と一緒に事業をする→通い出す→移住する

この流れがどの地域にも鉄板コースな感じがありました。

そして新しいビジネスを起こした人たちがまた、新しい風を呼んでくる。

どの地域のも共通していたのが、元々その地域の人ではなく、外から風を吹かせた人たちであるということ。

言い換えると、閉鎖的に余所者を追い出すのではなく、迎え入れる地域コミュニティが存在していたということです。

地域だけの発想だと、狭い価値観になりがちです。そこが新しい風でその街のビジネスを、地元の方と起こすのであれば、その地域はメリットしかないですよね。

ワーケーションって、地方創生の方が注目されがちですが、実は地域課題解決として、一極集中する東京の課題解決にも繋がるんです。

とにかくこのワーケーションリーダーズサミットに全て参加して、大きく感じたこと

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それは、ワーケーションは地域、ビジネスに革新を起こし、新たなライフスタイルになり、ハッピーになるということ。

ワーケーションが普及して、その未来にある日本を、創っていきたい。

そう強く感じました。

色々と思い出しながらダイジェストをまとめていると色々と想いが出ます。

更に感じたのは、究極のワーケーションって、実は、自分自身への問いなのかなとも思います。

実に奥が深い。

今回の共催である5年後の働き方コンソーシアムに所属するHafh(株式会社KabuK  Style)大瀬良亮さんが、ワーケーションリーダーズ・サミットを終えて「ワーケーションのなぜ?」について記事をまとめていらっしゃいます。

まさに、問いそのもの。

白浜に集まった、ワーケーションの先駆者たち。これからの私達の活動が、ワーケーションの未来に直結する。

新しいライフスタイル、ワークスタイルに、ワーケーションは担っていける。楽しみだ。

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