MILKY WAY
生まれることのできなかった涙が宙に凝って碧く光っている
列に遅れた紫陽花が七月の影を踏んで
悲しみの上澄みだけを黄昏に縫い止めている
帰ってこない手紙の返事が白く下唇をなぞって
かつて少女だった何かが、繋がろうとする熱を赤く隔てた
老人は燻されて銀に変わった骨を杖にして露店を眺める
虹彩から飛び立った鳥は夜に溶けていつかの笑い声になった
「ねえ、私たち、また会えないのかしら」
「二度と」
「会えないままなのかしら」
囁きはきっとまぼろしだった
そうでなければ、すぐに人間の船から振り落とされてしまうだろう
残響、鼻腔に、甘く
二人が望んだ夜が、また
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