"無い"日記 3日目

午前6時50分 起床
とは言っても、目覚まし時計のアラームを止め、実際体を起こすのは10分後の7時ちょうど。

部屋を出て洗面所に向かい、顔を洗ったりする。

また自分の部屋に戻り、ハンガーに掛けた制服のスカートのプリーツを少し撫でてから取り、着替える。
いつまで経っても1回でリボンを綺麗に結べた事がない。しっくりくるまで全身鏡と向かい合ってしかめっ面を浮かべる。

リビングで朝ごはんを食べ、家を出る。


今日もいつもと変わらない平凡な日


通学路の途中で友達と合流する。その子と話しているといつも笑っている気がする。

体育の時間、グラウンドを走る。5周目あたりで疲れてスピードが落ちてきた。水分補給をしている間汗が流れて止まらない。そういえばタオルを持っていくのを忘れていた。

全ての授業が終わり、一斉に生徒が玄関から出ていく。下駄箱でいつもの子と待ち合わせて歩き始める。

友達と別れ帰宅。寄り道はあまりしない。

最初に自分の部屋に入り着替える。脱いだ制服を壁にかけ、課題のある教科のノートとプリントを取り出し机に置く。

家族で夕ご飯を食べ、風呂に入る。

タオルを首にかけ、長い髪を拭きながら机に向かう。

明日の時間割を確認し、用意を済ませてからベッドに入る。


今日もいつもと変わらない平凡な日

何も変わりがなくてよかった。変わって欲しくはない。変わってしまっては困る。


僕は外から彼女の部屋の明かりが消えるのを待つ。
明かりが消え、1日が終わる。
寝違えた首をひねり、車の運転席で目を閉じる。

リボンを結ぶしぐさ。友達と話しているときの笑顔。授業中、窓際の席でつまらなそうに空を見る目。グラウンドを走る姿。制服をハンガーにかける手。風呂上りの濡れた髪。美しい顔。

僕は今日も彼女の夢を見る。
彼女以外の顔を知らないからだ。

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