"無い"日記 初日


7月22日

暑い
汗が目に入って痛い。あんたまじで汗かきだよね笑 と言われることにも慣れた。同じ女でもこんなに汗をかいている人は見たことがなくて、辛くなる。

早く冬になってほしい。暑いのも寒いのもだめだけど、どっちかというと寒い方がダメだけどいまは雪が降ってほしい。こんなに暑いのにちゃんと冬はくるんだろうかと毎年不安になって毎年ちゃんと来る。腹がたつ。

今日は7月22日、なんか印象が違う。
別に去年の7月22日になにかあったとか、友人が死んだとかでは全くない。でも今日は7月22日なんだ。と心が納得している。

そんなことはどうでもよくなるくらい暑い。

あーこんなにも暑いと体調が悪くなる。

最近貧血になることが多くなった。今まで生きててそんなことなかったし、むしろ女性特有の生理痛とかそのたぐいもなかった。生理なんてなくていいのになんであるんだろう。なんでみんな頭痛いとかしんどいとか「今日生理なんだよね〜」みたいなこと言うんだろう。私はいつもその会話に入れなかった。というかわかんなかったし。気づいたら来て気づいたら終わってる。過ごしてて忘れるくらいなんの感覚もない。ごく普通にトイレに行って、そうじゃん忘れてたやっべぇと思いながらナプキンを替える。とんでもなくダルい作業だ。

さっき好きな人を目の前にしたらフラフラしてきた。文章で書くとロマンチックなことかもしれないが物理的にフラフラした。こういう時の対処はわかってる。とりあえず座ればいい。水をたくさん飲めばいい。
でもいま、私の目の前には好きな人がいる。さあどうする?
ちょっと飲み物買ってくるね〜といいなんとか歩く。耳はどんどん聞こえなくなって視界は真っ暗になる。離れたところですぐにしゃがんで持っていたお茶をこれでもかと飲む。落ち着いてきた。よかった。

体の弱い子、と、絶対に思われたくなかった。可愛い子ならその場でフラっと、ちょっと貧血っぽい〜って相手にもたれかかれるんだろうけど、私はそうはいかない。
ブスな上に体が弱い。そんなことが許されるわけがない。
普通のことを普通にやるぶんにはブスなことは関係してこないけど、なんだろ、か弱い部分をブスは見せられない。

たった貧血されど貧血。油断してはいけない。こういうところも隠していかないと。

なんであの人を目の前にした瞬間こんなことになったんだろう。いたって普通に接してるつもりでも心の中ではとんでもなく緊張してたんだろうか。自分の中の自分はいつまでたっても理解できない。

7月22日。7月22日。この不気味さはなんだろう。しゃがみながら考える。7月22日。


あ、

私が死んだ日だ。



私は7月22日に死んだ。原因はわからない。なんで今日が自分が死んだ日かわかったのかもわからない。でもきっと、いや絶対そうだ。

私は7月22日に死んで、それを忘れて生きている。確かに生きているのだ。
でも思えば、毎年おんなじ感情をおんなじ日に繰り返し感じているような気がする。ループ?


今日は何度目の命日なんだろう。


目の前で話していた好きな人とは、いつも同じ場所で同じ格好で同じことを喋っている。私はおんなじ1年を過ごしている。いつまで経っても大人になれないな〜と漠然と思っていたけど、なれないのかも。
じゃあ好きな人はいま大人になって、結婚でもして子供もいるかもしれない。あの時私の汗を馬鹿にしていたあの子ももう大人に。そっかそっか。

貧血になる機会が増えていってる。目の前が真っ暗になってなんとか回復する感覚。あれもそのうち真っ暗になったまんまになるかもしれない。

とりあえず寝よう。考え始めたら、気づき始めたら止まらないし、もしかしたらこの日記も何冊も毎年おんなじ事を書いているのかもとか、あんまり気づかない方がいいこともあるかもしれないし。
寝よ、寝よ。明日も暑いんだろうな。おやすみなさい。




7月22日

暑い



この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?