見出し画像

ぼくたちが生きるために必要な『水』
いまや、当たり前のように水道から出てくる水は、とても貴重なものです。

地域によって、その取水の仕方は異なりますが、多くの地域では、山中に造られた『ダム』から得ているのではないでしょうか。

ダムは、生活に欠かせない大切な施設なのだけれど、人のあまり住んでいない山奥にあるためか、身近に感じることなく生活していますよね。

そして、大雨の際に、放流があって、『ダムのせいで洪水が起きた』なんて聞くこともしばしば・・・。

知る人ぞ知るみたいになってしまっていますが、
実は、
一昨年から、『事前放流制度』が実施されています!!

報道発表資料:事前放流ガイドラインの策定について - 国土交通省 (mlit.go.jp)

ぼくの知る限りをちょこっと書いてみたいと思います。


①苦肉の策での緊急放流

ほとんどのダムは、谷の部分をせき止めて、造られていると思います。
そこに大きな水たまりをつくって、水を貯めていきます。

ダムが満水状態になっていくと、それだけの水圧、重みがかかってくるわけですから、決壊の恐れがあります。
ダムがぶち壊れると、それはそれは、想像を絶する地獄になるだろうと思います・・・。絶対にこれだけは避けなければなりません。

また、越水しだすと構造上危険だそうです。
つまり、ダムの壁の上から溢れ出だす状態ですね。
ダムの素材にもよるのでしょうが、越水しだすと崩壊の危険が高まるそうです。

通常、余水吐き(洪水吐き)と言われる満水になる前に途中で、『水を逃がす』出口があるのですが、
大雨のときには吐き出す量に比べ、山全体から集まってくる水の量が多くなったりします。
そうなると満水状態に近づいていってしまいます。

そこで、苦肉の策で、『緊急放流』するわけです。
だって、決壊は絶対に逃れたい。。。

下流の川の流域に住んでいる方からすると、
大雨で川が増水しているところに、
追い打ちをかけるように、放流された水が来るわけですから、なんとか耐えていたときに、とどめの放流の水が来ると、
『ダムの放流のせいで洪水が起きた』という声になるわけです。

生活がかかってますから、気持ちは分からなくもないですが・・・。


②ようやく出来た『事前放流制度』


ここまでの話からして、単純な話、
「じゃあ、大雨になる前に、水を減らしておけば良いやん」っていうことなのですが、それがそれがまた難しい・・・。

貯めている水は、宝です。
資源です。
お金でもあります。

事前に放流するというのは、捨てるのと同じです。

また、予想が外れてしまうと、『水不足』になるかもしれません。
それも命に関わる大変な事態です。

とっても悩ましいのですが、、、
気象の予報精度の高まりもあってか、『事前放流制度』がついにできました。

これから大雨になりそうっていうときに、事前に放流されるんですね。
これは、下流に影響がない段階で、早め早めの対応になります。
とてもシビアな対応だと思いますが、とてもありがたいことです。


③サイレンが鳴っても安心を

放流の際には、急な増水への対応を促すため、川沿いに設置されているサイレンが鳴ったりします。

これは洪水を知らせるものではなく、
川の中にいる人がいたら、その情報を伝えるためのものだそうです。

川の近くに住んでいる人は、これまでの経験から、
サイレンが鳴ると超危険な合図とインプットされています。

でも大丈夫。
ご安心を。

イマドキの事前放流によるものです。
早め早めに対策してくれているんですね。

ありがたい。


④ダムが中規模災害を防いでくれている

このように、ダムは大雨のときも含めた、水の流れを調整してくれています。

冒頭に書いたように、その恩恵を忘れがちです。
はたまた、ダムのせいで洪水が起きたなんてもってのほかで・・・。
事前放流制度ができたので、更に良くなりました。

また、中規模な災害を幾度となく防いでくれていると思います。

地形を見ると明らかです。
ダムのあるような山間地域から下流をずっと見ていった際に、谷がとっても深いです。
谷は、長年かけて水に削られていった証拠です。
でも、普段ちょろちょろの川だったりします。

『河岸段丘』といって、
普段流れている川から一段あがって土地があったりしますが、平地が幾分か続いたりします。
そしてまた急に斜面になったります。

つまり、この一段上の平地の部分も、川が土地を削っていっているということですね。

こんな地形を見ると、
本来と、今の川の様相が全く違っていて、
本来は川の面積や流れ方、大雨時の荒れぶりが全然違ったのだろうと想像が膨らみます。

ダムの放流が必要となるような大規模災害だけではなくて、
小規模や中規模の災害をかなり防いでくれているものと想像します。


今日も北九州市内のある地域で、
自分のまちの自然・地形・気象を見つめる講座を実施します。

この話題も準備していて、ふと、「そういえば、みんなあんまり知らないよなぁ」と思ったので、話題展開してみました。


この記事をご覧になっていただいた方は是非、
水道の蛇口から出てくる水・・・
「この水はどこから来たんだろう?」
思いを馳せてみていただけたらと思います。


災害にしろ、暮らしにしろ、
この自然や環境のなかでの共存、共生だと思います。

今日も、このまちを、自然を、暮らしを大切にして過ごしていきましょう。

今日もご覧いただきありがとうございます。

この記事が参加している募集

地学がすき

SDGsへの向き合い方

いただいたサポートは、NPO法人好きっちゃ北九州の活動費に、大切に活用させていただきます!!