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ぼくは、皆さんから『力を貸していただいた』だけ

昨日、嬉しいことがありました。
公務のことではありますが、ちょっとだけご紹介させてください。

ぼくは、北九州市の某区役所で防災担当の係長として勤務しています。
消防職員の肩書きから行政職員へ、一時的な「転職」の辞令でした。
3年間務めてきましたので、この春でおそらく消防に「復職」するのだろうと思います。

この年度末。
昨日、今年度最後の「区自治総連合会校区会長会」というのがありました。
自治会・町内会組織における区内でのトップ会合です。
小学校区での校区自治会の会長さんが集まる席です。

毎回、すごいボリュームの議事があり、説明に来る行政担当は、長くても3分ぐらいで早口で説明を行います。

昨日、ぼくも施策上の説明やお礼を足早にさせていただきました。
その説明に対し、質問を募るなかで、こんな発言をいただきました。
これがとても嬉しかったです。

「入門係長は、消防から来て、もう3年。おそらくこの春に消防に戻るでしょう。この区の防災施策はとても進みました。入門係長の残していったものをこれからも一層、各地域でも防災の力を広げていきましょう」
と、ぼくへの労いとお褒めの言葉をいただきました。

公開処刑がよく起こってしまう場なのですが(笑)
公開称賛をいただきました。
どこからか、異例の拍手も起こりまして、ただただ頭を下げるばかりでした。

突然の、想定外のご発言に、ぼくは照れてしまい、たじたじになりました(笑)
動転しちゃって、会場に忘れ物をして帰ってしまうほどです(笑)


こんな嬉しいことがあり、
ぼくの3年間の業務をふり返りました。

『防災は、役所の中には無い』
『地域、住民あってこその防災』
と常々思っていました。

でも、コロナ禍で、なかなか地域にも出て行けませんでした。
住民が集まることさえできませんでした。

もっと、訓練、研修、講座、講演会、したかったです。
そんなに大したことはできませんでした。

ぼくが取り組んだ仕事の特徴的なものを挙げるとすれば
「地域避難所」をモデル的に始めたことです。

これまでの、行政が開設・運営する避難所は、行政の避難所でしかありませんでした。
それを、地域の住民の皆さんの力により開設・運営していただくというものです。

一見、区役所がやっていた役割を地域に押し付けるロジックです。

ぼくは、地域の皆さんの『力を発揮してほしい。』と、皆さんの持つ力に頼りました。
各地域の皆さんもそれを意気に感じてくださったのでしょうか。対象地域の3分の2を占める12校区にてこの取組みが実施されています。

避難される人の多くは、単身の高齢女性だという課題も真ん中におき、従事者リストには多くの女性住民が名前を連ねてくださっています。

地域の中で避難すべき人への声掛けとして
「役所が避難所開けてるから行ったら」ではなく
「自分たちが避難所にいるから『おいで』」って言えるようになるということです。
これは防災の向き合い方、時代のシフトチェンジになっていくと思っています。


ぼくのやってきたことは、
その地域に行き、説明し、説得し、訓練させ、スキルの伝道師のようなことではありません。

ただただ、『皆さんのチカラを貸してほしい』
地域のため、住民のため、皆さんのチカラを活かしてほしい。と訴えただけにすぎません。


行政内での動きも同じです。
ウチの区は、災害対応において、とっても団結しています。

避難所に向かっていただく職員。
道路や河川などの復旧にあたる職員。
市民通報を受け災害情報をまとめる職員。
それらを本部で指揮・運用する職員。

みんな、別の本来業務がありながらも、夜を徹して、団結して災害対応あたってくださっています。
『防災』と名が付くのは、ぼくと、たった一人の部下職員だけです。

ぼくが行ったのは、上から目線で指揮・指示し、力づくで動かしていたわけではありません。
密に情報を共有し、災害という共通の敵に向かって、それぞれのチカラを発揮していただけるように関係性を築いただけです。
ここでもそう、ぼくは皆さんからのチカラを貸していただいただけにすぎません。

たった一人の部下も、とても熱心に仕事をしてくれています。
前例の無い取組みであっても、積極的・主体的に業務にあたってくれています。


ぼくが何かをしたとか、走り回って、手足を動かして、泥だらけになって何かを実施していったとかいうことじゃないです。

ぼくは、ただ、『皆さんからのチカラを貸していただいた』ということだろうと思います。



場面は変わって、
昨夜、ウチの校区でのまちづくり協議会の役員会がありました。

ぼくは、おやじの会の会長として参画しています。
息子の卒業とともに、ぼくもおやじの会を卒業しますから、この役員会に出席するのは最後だと思うと発言しました。

すると、先ほどの自治総連合会に出席していた校区会長から、「今日の話をしちゃれ」と勧められて、皆さんに少しだけぼくの公務のこともお話しました。

ぼくは、ウチの校区のまち協のなかでも、すごく頼っていただいています。
「入門さんのおかげでとっても良かった」って言われます。

ぼく自身は一人分の労力しか貢献できていません。

でも、皆さんから感謝していただいているのは、そこじゃないんですよね。

おやじの会のメンバーなどに呼び掛けて、
コロナ禍で活動できない中でしたが、数名ほどではありますが、若いおやじ連中が校区行事などに多く来てくれました。
これも、ぼくから、おやじメンバーの皆さんのチカラを貸していただいこうと呼びかけたところからスタートしています。


ぼくには、大したスキルも能力もありませんが、
きっと、こうして、助けてほしい、力を貸してほしいって呼びかけていくことが重要なんだろうと思います。


今年度の最後になって、そんな嬉しいお言葉をいただいたことから、この記事へ着想しました。
改めて、『協働』の重要性、意義・効果を感じました。


余談ですが、
力を「借りる」とはちょっと違うかなって思いました。
こちら側からPULLな言葉ですね。
なので、
力を「貸していただく」という表現にしました。
向こう側からPUSHしていただく力を求めていった、という二重用語ですね。そんなこだわりから、あえて分かりづらい表現でした。

でも、もっと突き詰めれば、
「貸していただく」も、本来で言えば、ちょっとニュアンスが違います。
これ以上、端的な言葉を見つけられませんでした。

貸していただく、ということは、主と従の関係性が生まれてしまいます。
「お願いされたから手伝う」という関係性が主ー従ですね。
そうではなくて、『ともに、主体的に』
どちらも『主』が理想です。
こちらも、相手方も、自分事として取り組む、という姿勢のことですね。


今日もご覧いただきありがとうございます。

それぞれの特徴を活かし合って、ヒーロー戦隊になっている冒頭のイラストは、杉江慎介|デザイナー|noteさんの作品を使用させていただいています。いつもありがとうございます。


関連する記事をいくつか貼っておきますね。
『協働』や『助けて』の詳細はこちらもご覧ください。



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