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車中泊避難について~防災Lab.北九州『学び合いの会』~

昨夜、毎月恒例の
防災Lab.北九州による『学び合いの会』を開催しました。

防災Lab.北九州は、今年度、5月のキックオフに始まり、
6月から毎月『学び合いの会』を開催してきました。

今回で10回目になります。

今月のテーマは『車中泊避難』について。
KID's workの大久保さんが、培ってきたノウハウについてプレゼンしてくださいました。
九州防災パートナーズの皆さんで、実証訓練したノウハウについて、動画などでまとめられていて、机上だけでなく実践を通した内容でした。

プレゼンの後に、それぞれの参加者どうしで意見交換と更なる質問タイムを設けました。
とても専門的なんだけど、生活そのものとくっついているテーマであるため、深く面白い内容だなと改めて感じました。


冒頭のイラストは、ソエジマケイタ(キャラ・写真・似顔絵)|noteさんの作品を使用させていただいています。


①車避難ではなくて、車中泊避難

『避難』という言葉で、どんなイメージを持ちますでしょうか?

危険なところから安全なところへ『避難する』
過ごすことができない所から過ごしやすい所へ『避難する』

移動している際中を『避難』と言うのか。
市民センターや体育館などの避難所で過ごすことを『避難』と言うのか。
明確な定義はありませんが、
この『移動』と『過ごす』ことが混合されがち、というご指摘が最初にありました。

避難にあたって、
車に乗って移動する。
移動した先で車で過ごす。

この考え方を分けましょう、というお話でした。

津波からの避難であれば、とにかく急いで高い所へ。という避難方法です。
車での避難は渋滞を起こしてしまったりもあります。

大雨からの早めの避難の際も、全員がマイカーを乗り付けていたら、避難所の駐車場はたちまち溢れかえるでしょう。

いったん命を守る行動の移動避難。
その後の、暮らし続けるための、車を用いての避難生活。

今回、特にテーマとしたのは、『避難生活』の部分です。
なので、車避難でなくて、車中泊避難と呼んでいるとのことでした。


②車中泊避難はメリットばかり

車を用いての避難生活は、実は結構メリットばかりです。

体育館などと比較して記載します。

まず、温度・湿度管理。
エアコンなどで、狭い空間で快適な温度を保つことができます。
体育館だと暑すぎたり、寒すぎたり。場所によっても違ったりします。そして逃げる先も無いというものです。

次に、防犯上のこと、そしてプライバシー。
すぐ隣りで、誰かが過ごしている避難所に比べ、家族単位で、カギのかかる個室の中にいるという感じですから、安心です。
そして周りの目が気にならなかったりもあります。
子どものいる家族や女性などが車中泊避難を選択する気持ちも分かります。

そして、感染対策です。
特に新型コロナでハッキリとしましたが、人が大勢いて、密な場所。ましてや換気ができなかったりは、クラスターの可能性大ですね。
大災害での長期の避難所生活において、色んな感染症で集団感染した事例もあります。
個別に生活空間があることは、こうした二次災害を防ぐことができます。

ペットや配慮が必要な方への対応。
ワンちゃんやネコちゃんは、避難所の居室内で一緒に過ごすことはできませんから、心細い災害時に一緒にいたい。ペットも飼い主自身もそう思うものですよね。
また他人に迷惑をかけるわけにはいかないから、目の届くところ、手の届くところで一緒に過ごしたい。そう思いますよね。
赤ちゃんの泣き声なども、保護者側が気にして、迷惑をかけるからと車中泊避難を選択することが多いそうです。
また、介護の問題。座る場所や、オムツ交換、声を出してしまったりだとか、車中泊避難を選択することになるそうです。

最後に、ニオイ。
避難所は独特のニオイがあるそうです。
嗅覚っていうのは不思議なもので、それで具合が悪くなったり、深く悪い印象をいただいたりするものです。
人が大勢いて、長期間にわたって生活しているものですから、
すぐに自分の生死に関わるものではないにしろ、ニオイが馴染めなかったら、そこで過ごしていくのはしんどいですよね。

車中泊避難は、これらのようなメリットがたくさんあります。
熊本地震のときも、とても大勢の方々が車中泊避難していました。

昼間は、仕事や復旧にあたられていて、夜になるとグランドに車で集まってきて、そこで夜を過ごされるという姿をたくさん見ました。

地震対応では、青空避難=屋根の無い所が一番安全です。夜中に余震や更なる本震があると恐ろしいですから、皆さんがこのような行動をとられていました。


③車中泊避難のデメリット

これら、メリットだらけの車中泊避難のように思いますが、行政としては現段階において推奨されていません。

前述のとおり、現実的には車中泊避難を選択する人が多いのですが、目をつぶっている状態とも言えるのかもしれませんね。
(推奨・容認しながら防災施策を進めている先進自治体もあるようです)

最大のデメリットは、
エコノミークラス症候群です。

狭い車内にずっと居る。
特に、車は『座る』仕様になっていますから、『寝る』ようにはできてないんですよね。
ずっと座り続けると脚に血栓ができてしまったりして、心臓や脳や肺などに塞栓してしまうと、急な疾患の要因になってしまいます。

こうした即刻、命に関わる二次災害を防ぐため、推奨されていない、ということです。

実証訓練においても、『フラットに寝ることができる』これを参加条件にされていたそうです。
車のイスをフラットにできる車種もあれば、そうでない車種の方が多いですかね。
何かの物を詰めたり、頑張って、フラットにしてみましょう!


そして、避難者の情報が把握できないという点もデメリットですね。
食糧や物資の供給があるとして、何人分必要か?とかが把握しづらくなるということですね。
また、誰なのか分からない、コミュニケーションを取れない、というのは恐ろしいものがあるでしょう。

実証実験では、車が入ってくる導線や、受付を設けたりする仕組みも検討されていて感銘を受けました。


④車の並べ方

広い駐車場に、テキトーに車とめて~となると大変なようです。

キャパの問題もありますし、
エリア指定や、排気ガスの問題。

車の、
前どうしを向かい合わせるパターンや、
後ろどうしを合わせるパターン。

互い違いに駐車したり、
左右のドアを大きく解放できるように、1台分ずつ話して駐車したり。

色んな内容を試行錯誤されていて、それぞれのメリットーデメリットや、用途・目的などもお話いただきました。

季節や何の災害からどれぐらいの期間で避難するのかによっても変わってくるんだろうと思います。
また、その場所の立地や風の抜け方などによっても対応が異なるだろうということです。


⑤やってみよう!

やはり大事なのは、やってみることだっておっしゃっていました。

机上だけでなく、自分たちで実証実験されてきたノウハウはとても重みがありました。

考えていた以上に色んな課題が浮かんできます。

まず、車中泊避難で、自分自身が過ごすことができるのか。これがまず第一歩です。
次に、子どもや、お年寄りや、ペット。
車中泊避難できるのか?これもやってみる必要があります。

特にペットにおいても、練習が必要とのことでした。
慣れているかどうかは大きいでしょうね。

キャンプ気分でも良いから、まずはやってみるというのは良いと思います。


⑥大切な課題が潜んでいる

こんなご意見があり、感銘を受けました。

『車中泊避難を選択する』
そこに本質的な課題が隠れているんじゃないかっていうご指摘でした。

プライバシーのこと、介護のこと、防犯のこと、
はたまた、コミュニケーションをとりたくないという人たちのこと。

車中泊避難を円滑にすることも大切ではありますが、
こうした本質的に潜んだ課題を見つめていくことが、ひとりひとりへの配慮や思いやりのきっかけになっていくんだろうと感じました。


⑦運営者も避難者も体験してみよう

最後に、学び合いの会に初めて参加いただいた北九大生がこんな良いことを言ってくださいました。

車中泊の避難所運営のスタッフの皆さんの訓練での苦労もお聞きしたし、
実際に車中泊で過ごすノウハウもお聞きできた。

避難所の運営者側も、避難する避難者側も双方を体験していきたいっていうお話でした。

双方の体験があれば、双方の目線で考えることができます。
運営者側も避難した体験がなければ目の届かないところもあるでしょう。
避難者側も運営の苦労が分かっていた方が過ごしやすくなるでしょう。

そんな心強いコメントをいただきました。
被災経験の少ない北九州にあって、楽しみながらでもこうした体験・経験を積み重ねていくことが大切なんだと改めて感じました。


多彩なメンバーが集う『防災Lab.北九州』
10回目となる学び合いの会も、とても盛況に実施することができました。

着実に仲間も増えていっています。
どうぞ、敷居はとっても低いですので、更なるご参加をお待ちしています。

毎回恒例の集合写真~★


今日もご覧いただきありがとうございます。
この記事は、公式な議事録ではなく、入門個人のアウトプットですのでご了承ください。


<1年前の”今日”の記事★>

そうそう!!(笑)
ホワイトなデー、ありました(笑)




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