企業文化とは、経営戦略である
最近、周りの方々から「コクーの企業文化はどうやってつくっているのですか?」という質問をいただくことが多くなってきました。もちろん私たちはまだまだそんな偉そうに言える立場ではないのですが、私なりに企業文化について改めて整理したのでここでシェアさせていただきます。
企業文化(カルチャー)とは?
起業当時から永続的に成長するチームをつくっていくためには、より良い文化を創っていく必要があると考えていたが、その正体や方法については皆目見当もつかなかった。なので本を読んだり周りの人に聞いたりしていたが、どれもいまいちあやふやだったので、まずは会社のルールや制度をつくることで皆が習慣化され、それが文化になるのだろうと思って色々な試みをした。もちろんそれは土台にはなるだろうが、文化そのものではないなと感じていた。
私自身の価値観や振る舞いなどを反映させることが文化なのかとも考え、社員のお手本として率先垂範しようと全力を注いでいた。もちろん前提としては大事な要素だと思うが、個に依存してしまうのは社員が増えていくほどバラバラになってしまう可能性も高いので、これも文化そのものとはちょっと違うなと。
では、企業文化とは何だろうか?
ルールや制度でもなく、個人に依存されるものでもない。
私が言うには、
社員一人ひとりの行動の積み重ねの結果、形成される社風である。
社員全員が、どのような考えの下、どのような行動をするかという軸があり、社員全員が日々行動した結果が社風となる。文化とは定性的で感覚的になってしまうのでどうにも表現が難しいのだが、頑張って一言で明文化するとしたらこれかと私は定義している。
どのようにして文化を創るのか?
私たちコクーはまだまだ発展途上の真っ最中なのだが、文化というものに日々向き合いつつ、いまいま私が感じていることをあげてみた。
❶理念が行動をつくり行動が文化をつくる
私は文化形成をしていくためにはストーリーが必要だと考えている。
まず第一に、理念がベースにあり、その価値観に基づいた方針や行動指針があることだ。そして社員がその理念に共感し、方針や行動指針が腹落ちしていることで、一人ひとりが軸を持って行動することができる。
社員一人ひとりがそうして行動することで、成長を実感する。成長を実感することで自信となる。そうしたら仕事が楽しくなり、もっと行動する。
この行動→成長→自信→楽しさ→行動という∞ループを回していくことで持続的に強固な文化になっていくと考えている(雪だるま理論)。大切なことは会社の理念や行動指針が、社員一人の成長につながっていくということを、社員が実感すること。つまりセンスメイキング(意味付け・腹落ち)することだ。それが出来れば、あとは人が増えていけばいくほど文化がより強固なものになっていく。その入口である採用においては、コクーでは理念共感型採用やカルチャーフィット採用と呼び、超重要視している。
❷誰も見ていないときに社員がどう行動するか
以下の質問の正しい答えは何だろうか?
答えられる質問は、ゼロだ。
こうした質問に正しい答えはなく、それは会社によって異なる。その会社の今の姿や行動、なりたい姿によって答えは変わってくる。つまり、社員がこれらの質問にどう答えるかがその企業の文化である。トップがいないところで社員がどんな判断をするかこそが企業文化、誰も見ていないときに社員がどう行動するかが企業文化である。
❸問題に対処しなければそれが新しい文化になる
コクーではアメーバ組織運営をしているので、会社が大きくなるにつれリーダーやマネージャが増えていく。仮にそのリーダーが「社長や部長が言っていたからやってくれ」とか「会社の方針だからやるしかない」と言ってメンバーに伝えていた場合、それが新しい文化となる。当事者意識を持って取り組むというコクーの大切にする考え方とは相反し、悪い結果を生む。
文化に沿わない問題に対処しなければ、それが新しい文化となる。
❹新入社員が初日に感じとるもの
文化は目に見えなく、あいまいなものである。応募者は媒体のみならずHPなど、外からその企業が何を大切にしていて、どんな社員がいて、どんな想いで働いているのか?をよく見ている。その外から見て感じ取る雰囲気もまた企業文化だ。
私たちコクーでは、TUNAGという社内SNSアプリを導入しているのだが、そこで入社当日のオリエンテーションで同アプリのプロフィールを入力してもらうのだが、そこにある項目に「入社したきっかけ」「コクーの好きなところ」「みんなに伝えたいこと・一言」というのがある。
ココに記載するコメントも文化を明文化したものだと感じている。それは会社にずっと長くいるベテラン社員が感じるものではなく、入社初日の新入社員が感じるものである。
❺エッジは大切である
「ウチの文化って何だと思う?」と言って出てくる言葉の集合体も文化といってよいのではないかと思う。下図は、ある社内研修の中で「コクーの文化とは?」という質問に対して答えが多かったものを文字の大きさで表現している図である。
私たちの社名そのものであるCO(個)がCOO(最高執行責任者)として、一人ひとりが圧倒的当事者意識を持って取り組む会社を表現している言葉「圧倒的当事者意識」であったり、スローガンである「for me , for you.」。行動指針も5つあるのだが、一番浸透しているのが「自責でポジティブ」である。これらを答える人が多かった。お酒とあるが飲み会が多いのも文化(笑) これらの言葉はシンプルな言葉だが、想いを込めた私たちだけのストーリーを加えると、オリジナルの言葉にもなる。
こうしたシンプルだけど共感してもらえるエッジの利いている言葉を選び、発信していくということも文化形成には重要な要素だと感じている。そんな私たちコクーもまだまだこれから。伸びしろしかない!
❻文化とは理想を追いかけること
社員が言葉を発信し行動する。そのループで文化が創られる。では、いつ創られるのか?これも明確な答えはないが、私たちの場合、戦略的かつ計画的に実行できるよう専門チームを創ったことがブレークスルーポイントなのではないかと感じている。
私たちコクーは、カルチャー推進室(通称CPO)という組織を2年前に創った。文化というのは社員一人ひとりが日々行動した結果つくられる社風なので、すぐに創られるものではないし、持続的でないと強固なものにもならない。兼任でやってもらっていた時には構想と実行の両立を試みてみたものの、どこかで頓挫し、またやってみてまた頓挫。これを繰り返していくうちにやはり片手間では出来ないことを実感した。
理想を追いかけそれに少しでも近づいていくためには、中途半端にはできない。文化醸成において理想を追いかけるチームを発足させることが重要だと考えた。その結果、様々な行動が社員から自発的に起こった。あくまでも入口でまだまだこれからだが、理想を追いかけることを忘れてはいけないということを実感している。
❼企業文化とは、経営戦略そのものである
経営の神様と呼ばれるピーター・ドラッカーはこう言っている。
また投資家のベン・ホロウィッツはピータードラッカーの言葉を名言としつつもこう言いきった。
企業文化だけ創ってもビジョナリーカンパニーにはなれないし、サービスやプロダクトの戦略が優れているだけでもビジョナリーカンパニーにはなれない。まさに本質的な言葉だと感じている。
大切なことは、企業文化という基盤をつくった上で最高のサービス・プロダクトを適切な戦略をもって提供していくこと。これらを両立させることが永続するビジョナリーカンパニーの前提条件である。
そして繰り返しになるが、企業文化に正解は無いし、社員一人ひとりの行動が蓄積された結果であるので、理念や行動指針を軸に、自分たちらしさを文化に組み入れること、そしてその社員が会社を気にかけているかが最も重要な要素であると考えている。
これは企業がずっと突き詰めていくべきテーマで、まさに企業文化とは経営戦略そのものである。
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今回も長文になってしまいましたが…コクーはまだまだこれから発展途上の真っ最中ですが、これらの企業文化をベースに、理想を追い求めながら、社員全員がハッピーに働ける機会を社員全員で創っていきたいと思います!
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