見出し画像

Little Choices: 河文座

名古屋最古の料亭「河文」
江戸時代に魚屋として始まり、尾張徳川家御用達、財界人、文化人にも愛され、名古屋城から伸びる秘密の通路が地下にあるとかないとか、なんて伝説もある由緒正しき老舗。

400年以上の歴史を誇る高級料亭なんてなかなかお邪魔する機会はありませんが、実は色々な仕掛けで意外と気軽に行けちゃう...というライフハックがあるのですよね(笑)ここ数年、様々な折に足を運ばせていただいています。(トップの写真は数年前の桃の節句時期のもの)

今年はイベント等の開催もままならない状況ではありますが、満を辞して、久々の「河文座」が開催され、わたしも喜び勇んで行ってまいりました!

河文座とは...
世界的に活躍する彫刻家、流 政之作の「流れ床の庭」を舞台に、邦楽、能楽などを鑑賞し、河文の御馳走を堪能できる催事。
(河文公式ホームページより)

秋の晴天に、紫幕が鮮やかに映えております。

徳川葵の御紋が美しいですね。どこからかデデン、という太鼓の音でも聞こえてきそうです。

わたしが伺ったのは初日の昼の部。これがお料理やお酌のないカジュアルな会で、若手中心の芸妓さんが出演されるとあり、気軽に行く事ができるのです。時間は1時間ほど。

せっかくだからと舞台に近い座敷席に座らせていただいたのですが、正座が苦手なわたしでも1時間ならなんとか騙し騙し、いけました!自分で自分を褒めてあげたい...

清元 花がたみ
真ことさん/早紀さん/すずめさん

中庭にある立派な石舞台にて、名妓連の芸妓さんが華やかな舞を披露して下さいます。

屋外の鮮やかな緑を背景に季節を表現する日舞...オフィス街の真っ只中という立地なのに、ふとタイムスリップしてしまったかのような錯覚に陥ります。ステキ!

清元 神田祭
男役: 桃太郎さん/女役: 豆香さん
先日錦秋御園座歌舞伎を堪能し、演目「鐘ヶ岬」にて尾上菊之助さんが演じる清姫という女方の役を観たばかりでしたが、逆に女性が演じる男役、というのも粋で面白く、芸妓さんの芸の奥深さを楽しませていただきました。

イヤホンガイドのおくだ健太郎さんの解説も光り、うっとりしたり、クスクス笑ったり、あっという間の時間。

後半は名古屋ならではの演目にテンションも上がります。やはりこれ!

噂にはよく聞いていたけれど実際観たことのなかった、憧れの金の鯱です...
わぉ、これどうなってるの!
実は今回やらかしまして、あまりに素早い芸だったので、パシャっと1枚撮る間にあっという間に終わってしまったの...スマホじゃなくて心のシャッターを切ればよかった。次回はそうします。

お座敷遊びという世界を体感した事はないのですが、束の間の河文座を堪能しながら妄想が膨らみました。大人の優雅で贅沢な遊び...華やかであり、ちょっぴりセクシーでもあり、大胆でもあり。憧れちゃいます。本当に素晴らしい時間をありがとうございました。

結論: こんなに楽しんでしまうと次回はお料理とお酒も一緒に楽しみたいですよそりゃ!河文貯金します...

料亭の楽しみ方には色々あります。そのひとつが「室礼(しつらい)」。季節に応じた調度品や飾り付けの事。

今回は秋の季節。
ちょうど玄関には十五夜のお供え物が飾られていました。

江戸時代のお月見団子に、「ん」が2つついた縁起野菜7つ。
れんこん
ぎんなん
いんげん
にんじん
なんばん(とうもろこし)
なんきん(かぼちゃ)
かんらん(キャベツ)
だそうです。這わせてある蔓は葛のツル。月までこの祈りが届くようにとの願いが込められているんだそう。

若女将に教えていただいた飾りの意味。知るとまた楽しいですね。なかなか家ではそこまでできないからこそ、料亭の贅を尽くした飾り付けをなめるように堪能しました(笑)

過去には

桃の節句の飾りに

お正月の見事な餅花など...
歴史をこれでもかと見せつけられながらも、同時に不思議と懐かしさや居心地の良さ、和の文化の親しみやすさを教えてくれる河文、是非行ってみてくださいね。

info:
料亭河文
愛知県名古屋市中区丸の内2丁目12-19

第61回河文座
2020.10.6-10.8 開催(終了しました)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?