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読書ログ:それをお金で買いますか?ハーバード白熱教室サンデル教授の質問


ハーバード白熱教室、マイケルサンデル教授の哲学者。10年ほど前の本なので話が古い感はあるが、金銭にかかわる倫理観が上手に説明されていて、自分の価値観や倫理観を揺さぶられる一冊。




結論、不平等と腐敗を招く取引を市場から排除せよ、というのが著者の軸

善悪の有無を問わず、お金儲けのためありとあらゆる物が販売されるように経済市場は発展してしまった。この事実を憂慮し、道徳的な価値判断から、売買してはならない物の価値の測定を行おうとしている本。

著者の結論は、不平等と腐敗を招く取引を市場から排除すべきというもの。

例えば、病院の待ち時間をスキップする権利は販売されるべきではない→不平等を招くから。

例えば、血液売買は行われるべきではない→人間の体を売るという腐敗行為を招くから。


著者に完全に同意するわけではないのですが、様々な例に嫌悪感や不平等感を感じることを通じて、自分の倫理観の軸が何にあるのかが見えてくる本。自分の倫理観がどこにあるか考えてみたい人におすすめの本です。

現実的に売買されている物

こんな物が販売されているのかという驚きの商品が紹介されていて考えさせられる。

- 絶滅危惧種のサイを撃つ権利 15万ドル
- セイウチを捕獲する権利(肉と皮は現地人に保有される) 数千ドル
- 薬物中毒者の子供を産む権利 300ドル
- ハゲ頭に消える刺青で1ヶ月広告を貼る 600ドル
- デスプール 今年どの有名人が死ぬかの賭博
- バイアティカル契約 生命保険買取契約 自分の死亡保険金を売却、買い手はその時点からの保険料も負担する。買い手は売り手が早く死ぬほど、利益が大きくなる。


未実現だけど、実際に販売計画があった物


- テロ発生時期及び場所予測に関する先物市場
- 子供の名前に会社名もしくはブランド名などつけることのできる子供命名権

人間って多くのことを金儲けの手段に用いてきましたね。自分がどこに線引くか、考えてみるのも面白いです。

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