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読書ログ:実力も運のうち 能力主義は正義か

格差について考える機会があり、この本を思い出しました。


能力主義は正義ではない。

この本を読んで、頑張ったのに報われなかったとか、評価されなかったなどという泣き言を言う自分を恥ずかしく思いました。

この泣き言は、「能力主義は平等で、正しい努力した者に富を分配する仕組みであるべき」との考えを基礎としていますが、そもそも前提から既に不平等の連鎖は始まっていることが、この本を読むとよくわかります。


貧しく生まれた者に、開かれている機会は残酷なまでに狭い。

ショッキングな統計がいくつも紹介されています。例えばコロナに感染した貧困層は、富裕層の何倍であるとか、貧困層からアイビーリーグに入学する生徒数は、入学者全体の数%だとか、アメリカでの絶望死は年々増加していて、その数は大学卒業学位がある人々とない人々で3倍位違うとか。

宗教、人種、所得、あらゆる事で我々は違います。しかし各階層の人々が、階層を超えて何かを共有することで理解し合うことができます。

ただし、同じ学校や職場にはある意味同じ階層の人々しかいません。

そのため、共通の空間や公共の場を創り出し、垣根を越えてお互いが出会うことが必要なのです。

そのはじめの一歩として、「自分の成功は偶然の産物だと認識することが必須」だとサンデル教授は主張しています。
成功は神の恩寵、出自の偶然、運命の神秘、そのいずれかだと捉えることで、謙虚さを身に纏い、能力主義の過ちから逃れることができる。

正直この本は私にはとても難しくて、さっくり気軽に読める本ではありませんでした。しかし興味深いデータと考察で、まさにページターナーな一冊です。

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