文献note: 抵抗の責任 Zheng (2022)

Zheng (2022)

Zheng, R. (2022). Theorizing social change. Philosophy Compass, 17(4), e12815.

note: ついている文献の数がすごいので、これ自体を読むというよりも、参照されている文献に飛べることがこのサーベイのよさ。社会変革の哲学やろうぜ!というお誘いの論文なので、それが意図されてもいるだろう。

1 イントロ
・社会変革について、経験的な探求は色々と行われているが、哲学もすべき仕事がある。

2 リベラルな変革
・変革のリベラルな理論についての説明。
・基本的な内容物
1、個人に基づく社会存在論
2、個人が共同で生きるにはどうすべきかを一緒に決定することから、リベラルにとっての社会は見出せるようになる。一般に社会契約として理論化される。
3、これらの原理は、各人の平等な道徳的価値と、各人が同意する規範的原則を支持しなければならない社会制度の確立を通じて、社会を統治する。現在の社会史的瞬間において、これらの制度のうち最も重要なものは、グローバル化した市場(経済)、主権国家への地球の分割(政治)、核家族(社会)である。リベラルにとっての変革とは、自由で平等な個人によって合意された規範原理に適合するように社会制度を改革することである。望ましい基本的な制度がすでに存在している限り、それを支配する原則からの逸脱をなくすまでは、単に調整を加えるだけでよい。
・このような理由から、リベラル派の哲学者は社会変革の認識論的側面に強い関心を抱いている。
ーー現代のリベラル派は、心理学、経済学、意思決定理論、進化論など、同じ個人主義的存在論とリベラル派のコミットメントを共有する分野における経験的知見に訴えることによって、道徳的(-認識論的)進歩に関する文献を増やしてきた。ここでいう社会変革の問題とは、道徳的進歩をどのように成し遂げるかを理解することであるである。主要な関心事は、道徳的進歩とは何かを概念化し、懐疑論者に対してそれが可能であることを証明することである。
・道徳理論や合理的な議論の役割をめぐって、議論がある。
・非理想理論についての議論が、もう一つの重要なエリアである。

3 下からの根本的な変革
・ラディカルとして、リベラル以外の立場が紹介される。
Numerous traditions of progressive radical thought, therefore — including but not limited to those put forth by ‘small-c’ communism (a.k.a. revolutionary socialism), anarchism, Black radicalism, intersectional feminism, and critical theory—have criticized liberal theories of change on various grounds.
ーーこれらの理論は、歴史学、社会学、人類学といった、心理学や経済学の方法論的個人主義を否定し、より質的でヒューマニスト的な方法を取り入れた代替的な学問領域を用いながらも、経験的な探求に深く関与していることが多い。
ーーラディカルな人々は通常、資本主義市場、国民国家、核家族といった、現代世界を特徴づける基本的なリベラル制度を否定する。
・マルクス主義のイデオロギーへの注目は、ラディカルな認識論の重要性につながる。
・ラディカルはリベラルの人間本性についての前提を往々にして拒否する。

4 社会変革の弁証法
・構造/行為者の弁証法
・物質/シンボルの弁証法
・個別/普遍の弁証法
・前衛/大衆の弁証法:誰が社会変革を担うか?



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