黄梅ほころぶ庵
お寺の裏山にある竹林を上っていくと、海が見える開けた場所にでる。
持参した竹筒に入った水でのどを潤すと、視界が水面のように揺れ、何やら面妖な気分になる。しばらく休むも、ここまで来たのだからと、海の方へ歩みを進めることにする。
雑木林を、ずんずん進んで行くと、風情のある庵がぽつんとあるのを見つけた。
どうにも気になり、中の様子を覗こうと庵の廻りをぐるぐると歩き、隙間を探す。
板塀の隙間から中を覗くと黄梅のほころぶ、風情のある中庭が見てとれる。
年の頃三十路ばかりと思われるの美しい女性が、庭に腰かけている。
辺りには、甘い甘酒の匂いが漂っており、見ているだけで幸福な、うっとりとした気分になってくる。
もっと近くでよく見たいものだと思い、何とか人がひとり通れそうな隙間を見つけ、身をねじ込もうとすると。
あれよ、あれよという間に、庵は消え去り、周りは雑木林しかなく、
気づけばブナの木に身を挟まれていたとさ。
いただいた資金は、誰かに会ったり見ることに使わせていただき、その景色をnoteで公開します。