インスタント・刺激

楽しみにしていた予定が無くなってしまったので私は大きな都市に足を運んだ。

人もモノも食べ物も沢山あって、
情報で溢れている。そんな街。新宿。

それなのに、
私の欲しいものは1つしか無かった。

私は田舎でも都会でもない地元から、
1人で新宿駅に向かう。

電車は揺れる。
私は目をつぶって音楽を聴く。

ふとスマホの充電を見ると69パーセント。
ちょっと心配になってきたので、私はアフターダークを読むのに集中する。

二、三本、電車を乗り換えれば新宿へ着く。

私は東京という街が好きだった。
東京の一角にしか過ぎない場所にしか私はきっと関わらないけれど、
そんな空虚な感じさえも好きだった。

いわゆるネオン街もビジネス街も、喧騒も、
どこか私はとけ込めていない気がする。
私が、あのビジネス街の住人になれる日は来るのだろうか。

新宿に行ったところで、
手に入れたいものも会いたい人も居なくて、
西口にいき、都庁から新宿を展望する。

凛と聳えている建物の無機質さが綺麗だと思う。

都庁展望台から


それから私は東口にある紀伊国屋書店へ向かう。
「傲慢と善良」を手に取って書う。

紀伊国屋書店新宿本店へ


暫く新宿を練り歩くが特に欲しいものは見つからず、ただ散歩して帰ったというだけの話。

沢山の建物に囲まれた狭い空の下、
ビジネスマンがスーツ姿で行き交う街。
それさえも東京のほんの一部。

モノや人、情報で溢れかえったあの街で
私は何を手にしたかったのだろうか。

しかし、行くあても無いのに東京に行きたいと思ってしまうほど私は東京という街が好きだ。

東京には私にとって魔力があるんだと思う。

あぁ、次はどこで降りようか。

渋谷か、下北か、原宿か。

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