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都市計画専攻の僕が、iQ Labでの3年半でITの面白さに気付いた話

筆者について
廣松 航介(ヒロマツ コウスケ)。九州大学21世紀プログラムを2021年の3月で卒業。在学中は都市・建築学を専攻し、1年間のオランダ留学を経験。2017年にiQ Labに加入し、3年半もの間「AI運行バス」など企業の実証実験に携わった。

今回はiQ Labを卒業するにあたって、これまでの3年半で経験したこと、感じたことを率直に綴った。

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iQ Labでこれまで何をやってきたか

大学2年時に電撃加入

「九大で企業の実証実験サポート、やってみない?」当時1年間続けてきたバイトを辞め、新たなバイト先を探していた僕は、二つ返事でチームへの加入を決めた。同じ学部の友人(現在の共同代表)が紹介してくれたバイトに参加したことがきっかけとなって、チーム加入のお誘いを受けた。新しいもの好きで、スキルアップにつながるような何かを求めていた僕にとっては、これ以上ないほどありがたいお話だった。

iQ Labの前身となる組織(株式会社イマーゴ)には既に3名が在籍していたが、自分を含めた学生2名が新メンバーとして加わることになり、全員で5名の新体制が整った。最初は個性豊かでハイテンションなメンバーたちに面食らったが、これから大学で最先端のプロジェクトに携わることができる、という事実に胸が躍った。

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(iQ Lab発足前のメンバーと代表の神尾さん。写真右:自分)


自らの頭で考えることを学んだ1年目

組織に入ってからは、NTTドコモのモビリティサービス「AI運行バス」の実証実験サポートを担当することになった。サービスの運営・管理を中心に、テスター募集やアプリのインストール作業など、現場で発生するありとあらゆる業務をこなしていった。

サービスの新規登録者数が頭打ちになり始めた時、自らが初めて主導となって「サービスの多言語化」を提案させてもらった。「留学へ向けて高めた語学力を活かして、何か自分にできることはないだろうか」と考え、新たにキャンパス内の留学生をターゲットとすることにした。学内での説明会実施、サポートLINEアカウントの新設、ポスター作成など、英語でもサービスが利用できる環境を整えたことで、結果として100人以上もの留学生テスターを獲得することができた。

それまでは何か与えられた仕事をただこなすだけだったが、自らの頭で考え、計画し、実行していくことで、確かな自信とやりがいを感じられた。同時に、「指示待ちではいけない、自発的に行動しなければ」と、自らの姿勢を改めるきっかけにもなった。

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(現在は商用化され「aimo」となった、AI運行バス)

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(学内向けにAI運行バスのイベントを実施した時。写真左:自分)


留学中もプロジェクトのサポートを継続、AI運行バス商用化

大学3年時に1年間の留学を経験した。「しばらくはAI運行バスの仕事はできなくなるな」と思っていたが、周囲の計らいによって、留学中も遠隔で仕事を任せてもらえることになった。定例ミーティングへの参加や利用者の問い合わせ対応など、現地でも可能な形で実験のサポートを継続した。

留学開始から半年以上が経った2019年の4月、AI運行バスは九州大学において正式に商用化を果たし、「aimo」として本格始動した。その瞬間に日本に居られなかったのは残念だったが、これまでみんなで取り組んできたことが形になったこと、海外にいてもサポートを続けて来られたことが、心から嬉しかった。また、サービスをゼロから作り、一人前になるまで育て上げることがいかに大変か、身に染みて感じた。

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(当時のメンバーが留学先のオランダまで遊びに来てくれた)


「iQ Lab」発足、より裾野の広い組織へ

帰国後、2019年に6名、2020年には9名の新メンバーが加入し、「iQ Lab」が発足した。それまでは、ほぼAI運行バスプロジェクトのみに集中して取り組んできたが、組織が大きくなり、またスキルによって専門分化したチームが編成されたことで、交通業界に限らず様々な分野のプロジェクトが立ち上がっていった。「先輩として後輩を引っ張っていかなければ」というプレッシャーはあったが、最初は5人から始まった組織が急速に成長していく様を間近で見てこられたのは、貴重な経験だった。

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(新メンバーに囲まれて。写真上段中央:自分)


コロナ禍、三密回避プロジェクト

2020年秋から卒業直前までは、「三密回避実験」のプロジェクトを担当していた。学内の飲食店においてポイントを活用することで人々の行動変容を促す、というものだ。今度はAI運行バスで培った知見を後輩に伝える側として、チームの先頭に立ってプロジェクトを推進していった。コロナ禍で業務が思うように進まず歯痒い思いをすることもあったが、優秀な後輩たちの頑張りのおかげで、着実に実験準備を進めていくことができた。プロジェクトを最後まで見届けられないのは残念だが、aimoに次ぐ立派なサービスが誕生することを心待ちにしている。

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(後輩たちとのミーティングにて。写真手前:自分)

iQ Labで働いてみて、感じたこと

伊都キャンパスは「ただ広いだけ」じゃない

中心市街地から遠く離れ、周辺には学生寮くらいしかない九州大学伊都キャンパス。学生からの評判は決して良いとは言えないが、iQ Labで働く中で、悪いことばかりでもないことがわかった。民間の企業が、広大で1万人以上もの人々が生活するキャンパス全体を仮想の都市に見立て、サービスの「実験場」として活用しているからだ。iQ Labに加入したことで、伊都キャンパスは企業・大学の先端研究に参加できる機会に溢れた、恵まれた環境であることに気づいた。


学生が主体だからこそ得られるものが大きい

iQ Labの最大の特徴として、学生がプロジェクトの中心を担っている、という点が挙げられる。外部の人からは、「フルタイムで稼働でき、高度なスキルを持った社会人で組織を構成する方が効率的だ」と思われるかもしれない。しかしiQ Labには、学生に各々の学びと実社会との繋がりを業務を通して感じてもらうという、機会提供的な側面がある。

実際に、僕もiQ Labでの経験を通して、数え切れないほどの学びを得ることができた。英語や資料作成など実用的なスキルだけでなく、業務を進める中で培った主体性や計画力は、就職活動の時にも大いに役立った。このような機会を提供してくださった、代表の神尾さんをはじめとする関係者の方々には、感謝してもしきれない。

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(全体へ向けてプレゼンテーション)


ITってスゴイ。

情報通信技術は世の中に革新をもたらす、現代には欠かせない要素であることは言うまでもないが、iQ Labに入ってからよりそれを痛感させられる場面が多かった。例えばaimoのプロジェクトでは、時間帯や需要によって利用可能なバス停をウェブ上で切り替え、最適なバスの運行状況を実現する、ということをやっていた。目の前のボタン1つで、バスの運行ルートが変わり、移動する人の属性が変わり、やがてキャンパス全体の人の流れがダイナミックに変化していく。そんなITのスピード感・社会的インパクトの大きさには多大な影響を受けたし、自分が学んでいた都市や建築分野における応用の可能性も感じた。


楽しかった!!

これまで3年半もの間、iQ Labでの活動を続けてこられたのは、自分がプロジェクトのどこかにいつも楽しさや、ワクワクを感じていたからだと思う。もちろん楽しいことばかりという訳ではなかったが、自由闊達で元気いっぱいのチームの中で、目の前の業務に取り組む日々は、刺激に満ちたものだった。こうした雰囲気も、前述のような伊都キャンパスという環境や九州大学の学生たちという条件が揃ってこそ、育まれるものではないかと個人的には感じた。

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(iQ Lab最高!!)


卒業後の進路


僕は高校生の時に「まち」に興味を持ち、大学では都市や建築について学んできた。大学卒業後は都市開発に携わることを志していたが、iQ Labで最先端のITプロジェクトの数々に影響を受け、結果としてITを駆使した次世代のまちづくりを推進する企業へ就職することとした。iQ Labで培った経験をもとに、今度は都市開発のフィールドで自分のスキルを発揮していくつもりだ。そしていつかは「企業」として、またiQ Labと一緒に仕事ができたら、と考えている。


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(3月24日、学位記授与式の後メンバーに囲まれて。)


 

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