今後の一風堂とは?CEO、山根さんに聞く。
こんにちは、一風堂note編集部です。
一風堂を運営する力の源ホールディングスの経営者は、いまどんなことを考えているのか?入社を考えている人向けにインタビューをしたところ、今までのこと、これからのことをたくさんお話しいただきました。皆さんにも知っていただきたく、noteでインタビューを全文公開します。
外食を控える空気感の中で
_コロナ禍の2年はどんな時期でしたでしょうか。
本当に厳しかった2年ですね。我々の商売において、店舗を開けられないというのは、非常に厳しかった。海外においては外出禁止、都市封鎖・ロックダウン。
当時、飲食業は一番大きく影響を受けた気がしていて、日本国内では営業自粛も、営業を再開しても「外出を控えましょう」「外食を控えましょう」という雰囲気。お客様の頭の中や行動から「外食すること」が除外されていたと思います。
コロナが「これは大変なことになる」と分かり始めて、1番最初に決めたのは「雇用を守ろう」ということ。社員も、アルバイトの皆さんにも有休を使ってもらいながら、自粛明けも時短営業の中で、かなりの協力と我慢をしてもらったと思います。その時期を耐えて今、どうにか通常営業に近い形まで戻りました。
会社として、不採算店舗の閉店や構造を見直すこともしました。コロナ禍内の売り上げで給与を守りつつ、会社として次に繋がるよう、利益体質にすることを一番に整えていきました。
国内に向けて、海外に向けて。
一風堂がそれぞれ力を入れていくこと
_国内と海外、それぞれについての展開を教えてください。
日本国内の一風堂に必要なもの
ここ数年で生活・消費者行動・商圏は変わりました。より強く、簡単にはビクともしないような基盤をしっかり作っていくのが経営者の仕事だと思っています。
日本では少子高齢化、人口が減っていくことが予想されています。国内の市場は縮小していくことを受け止めながら、一風堂は日本で37年間営業してきた実績があります。これは、一風堂がお客様との約束に応えてきたからこそ、続いたことなのだと思っています。
だからこそ、国内はよりいっそう「質」を大切にしていきたい。1000店、次は10000店だと、店舗数を追うのではなく、ひとつひとつのお店を大切に、そのお店にご来店頂いたお客様一人一人に安全でおいしい一杯と、楽しいお食事を届けたい。それを叶えるための会社、チームを作っていくことが必要と考えています。
_海外の店舗はいかがでしょうか。
2008年のNY1号店のオープンを皮切りに、一風堂はさまざまな国と地域に出店してきました。「ラーメンはメディアだ」という創業者・河原の言葉にもある通り、ラーメンは日本の国民食であると同様、世界中で愛される可能性を秘めています。
すべての国と地域に、私たちが出店できているかというとまだまだ序の口。コロナ禍の2年間を経て、ここからまた再成長の時期です。一風堂はもっと加速していけると考えています。気を引き締めて、さらにスピードアップして出店、進出、拡大をしていきます。
_拡大ですね。一風堂がまだない国での出店の基準とはなんでしょうか?
海外での出店の基準は「日本食への憧れ」「日本のコンテンツが好き」と、日本に対して強く親しみを持ってもらえているかどうかで優先順位を決めています。その指標でいくと、「今は」アフリカ、中東などはまだ難しいかもしれない。世界中のあらゆる場所で、日本食、さらにラーメンが求められる時が来るかもしれない。そう遠い未来ではないと思っています。
未来の力の源に求める人材は
_そんな一風堂に必要なのは、どのような人でしょうか。
そうですね、「何事にもチャレンジしてみたい」人、「自分は何ができるか」と思ってやり抜く人でしょうか。
我々、力の源は常に挑戦し続ける会社です。社風として「自分が今できること以上の、将来できることを目指す」。将来の一風堂ができることに向かって、「あ、僕もできます!」「私もできます!」と手を挙げて準備できる人。お客様が、一風堂や力の源の商品を手に取ってくださること。ご来店いただいたお客様を想像して、「どうすればよりよくなるか、ほかに方法はあるか、自分にできることは」と自発的に考えられるか。
お店には売上、食材費、人件費、家賃などとりまくものは様々です。最終的に目標に添って、人を頼りつつも、ちゃんと自分の責任だと感じて行動する人たちが必要です。そうすれば、お店はもっともっと元気になる。お店が元気になれば、会社もさらに成長する。社員も、みんな生き生きと、自分の力を発揮していく循環が生まれます。
世の中にはたくさんの仕事があります。
その中でラーメン店というのは、飲食業・外食業界の中のひとつのジャンルに思われているかもしれない。さらに、コロナ禍の中では、不特定多数の人たちと向き合うサービス業として、敬遠されがちな業種かもしれません。自分でやっていて、もっと大きくなりたい、もっと成長したいっていう社員さんたちは、国内であれ、海外であれ、僕が責任持って、そういう活躍できる場を作ります。
「よし、どんな人が来ても絶対に笑顔で帰っていただく、ちゃんと満足したサービス商品を提供する!」。そんな強い思いで、国内や世界でチャレンジをしてみたい人にとっては、最高の職場ですよ。
お客様に喜んでいただけるかどうか
我々の仕事は、良し悪しを瞬時に判断される仕事でもあります。目の前にいるお客様が喜んでくれるか否かで、会社全体の運命が決まっていく。それが力の源の仕事の醍醐味であると同時に、責任感も重要になるところです。
お店で働く人々が、お客様と一風堂の接点です。店って、やはりそこにいる社員の皆さん、アルバイトの皆さんの空気感からできています。「一人のお客様に喜んでいただけるかどうか?」を楽しんでもらいたいですね。
_それは国内・海外ともに共通ですか?
そうですね、国内でも海外でも、一人として同じお客様はいらっしゃいません。どのお客様も一風堂を通して、ラーメンを通して幸せにする。
幸せにするってちょっと偉そうですけど、 「しっかりご満足いただく」「笑顔でお帰りいただく」「また次来たいねと思っていただける」、そういうサービス・商品を提供することは、世界でも日本でも変わりありません。
ただ、私も日本人ですから、「日本人から見た日本」、「日本人から見たラーメン」という固定概念はあるかもしれません。世界から見た「ラーメン」はもっと新しい価値観や可能性を秘めている可能性はあります。
国々で使う言語、文化、法律やルール、当たり前の行動は異なります。その国や地域に合わせつつ、ラーメンや日本の食文化の素晴らしさを伝えることができるか。それは、海外の一風堂で働くことでしか味わえない、醍醐味の1つかもしれません。
実際に自分自身で工夫や苦労をしながら、小さな成功を重ねてたくさん失敗もして、ようやく見えてくるものもあります。
誰もはじめから「一風堂が世界進出、NYやパリで成功する」なんて想像しなかったでしょう。「現地の人たちに認められた」「喜んでもらった」と小さな成功を積み重ねていく。だからこそ、今も一風堂は世界でも日本でも戦えているのだと感じます。
海外に一店舗しかなくても
力の源との出会い
_創業者・河原との出会いについて教えてください。
ちょっと特殊な経歴ですが、出会った当時、僕はフランスでビジネスクールに通っていました。卒業間近になって、日本のヘッドハンターさんから「もし、日本でのご就職をご所望でしたら、こういう会社さん紹介できますよ」と。頂いたそのリストの一番下に「力の源カンパニー」と。
「これは一体何の会社ですか?」と聞きまして。ホームページを見に行ったら、まあラーメン店の一風堂だと。1996年ぐらいから海外にいたので、一風堂のことは当時そこまで深く知らずにいて。
まだ日本で50店舗ぐらい、海外でニューヨークの1店舗を出したばかり。ホームページを読んでも、ヘッドハンターさんからの会社概要見ても、「これから海外バリバリ出していく」と。
「本当に?」「まだ1店舗だよね?」って思いながらも、面接に伺いました。2010年7月くらいの最終面接で当時の社長、河原と話し込みました。面接というよりはディスカッションのような時間でした。
国内で50店舗のラーメン店。海外には1店舗しかない。世界中でのラーメンの可能性を熱く語る方に初めて会いました。二人きりで話した時間はかなり緊張しましたが、自分のことを偽るわけにもいかない。「わかんないことはわかんないよね」って正直に話していただいて、僕も「わからないことはわからないです」と。最終、2人とも合意していたのは「この会社には、可能性がいっぱいあるよね」ということでした。
成美さんがこの話を聞いたら、「あいつは緊張なんかしてなかったよ」って言われそうですが、僕はかなり緊張していました。
就活生へのアドバイス
20歳の頃の失敗談、失敗はたくさんある
若いころはだれしも、「何でもやってやる!」っていう、強い意志を持つことって大事ですよね。でも人間って弱いから、逃げ出したくなる時もあるし、実際僕も目の前の問題から逃げ出したことが何度もあると思う。まっすぐに課題に向き合えなかったり、「もういいや」「興味のないことだ」って、簡単に土俵を変えてしまったりだとか。
20代の間にたくさん失敗させてもらいました。もちろん叱られることもたくさんありました。叱られた本当の理由というのは、失敗そのものに対してではなく、失敗を招くような自分自身の意思の強さがなかったことに対して叱られた方が多かったですね。失敗そのものというよりそっちの方が心にガツンときました。
20代前半って、まだまだわからない時期だと思います。将来、本当に自分が何をしたいのかとか、どうすればそうなれるのかって、僕もわかっていなかった。まだ最初の1歩を踏み出したか、それぐらいの話でしょう。
たくさんの人に迷惑をかけました。でも同じ失敗は繰り返さない。たくさんの経験を積ませてもらったから、少しだけ賢くなったのかもしれません。
_最後に就職活動を迎える学生さんへ、ひとことお願いします。
精一杯調べること、精一杯考えること。私も採用面接をしますが、入社したい会社の公開している表面上の情報を調べること、教科書通り回答するのは、あくまでベースです。それはその会社のことを「ちゃんと調べました」と「頭の中に入っています」っていう証拠にしかすぎず、あくまでもスタート地点です。
面接する立場からすると「では、そこからなぜ、あなたはうちの会社に入りたいの?」という気持ちの部分を知りたいし、語ってほしいです。わからないところはわからないって、素直に。「わからないところにワクワクします」とか。
漠然とした「なんか面白そうだから」で入社してしまうと、当然入った後に壁が現れます。どの会社でも、会社から給料をもらう「仕事」だから、辛いこと・きついこと・失敗することってたくさんありますから、面接で語った言葉が嘘でなかったかはあとではっきりします。
自分がその会社でどういう仕事をするのか、どういう表情で過ごしているだろうか。毎朝ワクワクしながら、「ああ、仕事楽しみ」「今日はどんなお客様と会えるかな」「同期は・あの仲間は、今日はどうしているのだろう」とか。仕事へのワクワク感を持てるかどうかを大切にして、毎日を過ごしてほしいです。
僕自身入社を決めた時は、会社のことはほとんど知らずにいました。あのとき、「勝負する方法は誰もまだわからない、でも、可能性が世界でも日本でもあるから、その方法を一緒に探そうよ」という言葉をかけてもらった。「ああ、面白そうだ、やってみようか」と、「このラーメンというものを海外に持っていって、勝負できる。可能性はたくさんある」とイメージができました。
当時、僕は32歳。「やるからには10年は続ける」と、自分自身に課したことでした。何事も10年も続けたことがなかったので。だから、もうそこだけはしっかり守ってきました。おかげさまでもう13年です。
力の源はどう歩むのか
_最後に、力の源の今後の展望について教えてください。
まず1つ言えるのは、コロナ禍の前では海外で30店舗、 国内も15~20店舗は毎年出店していました。本来、それぐらいの出店ペースは可能な会社です。皆さんも感じていると思いますが、ここ数年でガラっと生活・消費者行動・商圏は変わってしまった。出店エリアの選別も、より厳選する必要が出てきました。
会社は成長し続ける必要があります。安定していれば、と思う方もいるかもしれませんが、会社が成長する、つまり売上や規模が拡大しなくてもお給料って増えると思いますか?
22~23歳で入社する。さらに今の経済環境や将来の人口から想像すると、食べる人が増えていくかというと、右肩上がりに人口は増えていないですよね。そうなると、お給料も増やすことが難しくなっていく60歳、65歳までスキルアップに投資することもなければ、売上も増えない。ずっと同じことをする前提だと特に。
そんなことはとても心苦しいし、会社としても成長を止めるようなことにはしたくない。だからこそ社員が一丸となって「その会社の利益や売り上げを追求すること」≒「1人1人がより大きい仕事ができる」「より活躍できるステージ」を作り続ける努力が必要だと思っています。
力の源は成長企業であり続ける。ラーメンを世界のまだ先へ届け続ける。
でなければ、新しく入ってくる人はワクワクしないし、今やっている人もマンネリ化してしまって、「この会社もここまでか」という風になってしまう。そうしたくはありません。
市場の中の競合競争相手がいるのは当然のことです。力の源がより強く、簡単にはビクともしないような基盤を作っていくのが、我々経営者の仕事だと思っています。ぜひ一風堂で世界に挑戦していきましょう。
_お時間ありがとうございました!
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