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新社会人の甥っ子へ、スタートダッシュのすすめ

今年も春休みは、学童保育所への配達。事前に値上げのお知らせもしたので例年よりは少ないと踏んでいたのですが蓋を開けてみれば大小10軒。毎日約250食。うん、いつも通りだね…。

それに加え今年はアフターコロナ感満載。歓送迎会、会議、卒業式、入学式、子供会イベントに舞台やコンサート。

怒涛の予約。ありがたいを通り越して目が廻る。この1ヶ月毎日400食超え。夫は普段以上にフル回転でした。よく体力、気力が持ったと感心します。

そんな感じでバタバタしていたら、甥っ子が就職が決まり新社会人になっていました。慌ててお祝いを渡す頼りない叔母(私)。

私が高校生の時に生まれた甥っ子。社会人かぁ。

どんな仕事?給料や待遇は?そんな両親やら祖父母からの心配をよそに本人はそれ程緊張した様子もなく、至ってマイペース。まだピンと来ないかもね。どうなることやら。

そんな話しを夫にすると、

『でも、知らないからやれるって事もあるし。』

夫は18歳で就職。就職先は中華料理の専門店。文字通り、右も左も分からないまま必死で働いて約10年勤めた。

初任給12万、出会った25歳の頃でも23万。

これだけ聞くと、まぁ珍しくは無い。でも、朝8時に出て帰りは早くて24時。遅いと午前2時。休みは週1有るかどうか。有休?ボーナス?何それ美味しいの?みたいな感じ。

今の感覚なら完全にブラック。でもその頃の夫を思い出してみると、それ程悲壮感は無かった気がする。本人に聞いてみても大変ではあっても辛いという感覚は薄かったらしい。

何故なら『皆んな、そうだと思っていた』から。
なるほど。比べる相手がいなかったのか。ずっと働いてるから職場以外の人と話す事も無いしね。世間知らずのまま就職した18歳。今ほどSNSも盛んじゃ無かったし同年代が有休やら年2回のボーナスを貰っているなんて全く現実味が無かった。

でも、だからやれた。『そういう物』だと思っていたから。確かにそうかも。周りの待遇を知ってたら『やってられるかっ』ってなるよね。

だとしたら今の若者は大変だ。嫌でも情報が入ってくる。自分より好条件で働く人の生活も、労働者の権利とやらも。『情報や知識は武器』それに依存は無い。

でもね、『知らない』が武器になる期間がある。

それが、新社会人になった後のほんの数年。まだ、働く事や仕事に対して何のイメージも無い時期にどれだけ無茶が出来るか。この時期に、その人の『頑張る』のボーダーラインが決まる気がする。

店をやるようになって毎日膨大な仕事をこなす夫を見ている。加えて『店をやりたい』という方と関わる事もある。上手くいく人もいるけれど大半が1年、下手したら始める前に音をあげる。

横で見ている私が思う、夫と彼らの違い。彼らは『頑張るのボーダーライン』が明らかに低い。

どんな店も最初の数年は正念場がある。めっちゃ金が無い、お客が全然来ない、逆に死ぬ程忙しい、寝る暇も無い。色んなパターンがあるけどとにかく『しんどい』時期が必ずある。でもそれを抜けると後は大分楽になる。

相談に来た人には、もちろん最初にそんな話はするし相手も『頑張ります』と言う。本心だと思う。でも、実際その場面になると驚く程手前で耐えられない。皆んな総じて真面目だし想いを持ってコンセプトもある。私達が店を始めた頃よりずっとしっかり考えてる。

でも、耐えられない。夫がボヤく。
『たった3日寝ないだけ、が出来ないんだよな』
これは半分は例え話し、でも半分本気。必要と有ればその位は頑張れるでしょと言う話し。でも大半が1日も頑張れ無い。責めているわけでは無く許容量が違うのだなぁと思う。

じゃあその許容量はどこで変わるのか。それが新社会人になった後の数年だと思う。わけもわからず必死に働ける僅かな期間が、その人の頑張れる許容量に影響するのではないか。

その証拠に難局にぶつかっても、夫は『あの頃(修行時代)に比べれば楽だし』と言って笑う。

でも今、修行時代と同じ環境で働いたらきっと無理だろう。それは『知っているから』。一般企業の給料や待遇、労働基準法、そして上司や先輩が普通の人で有る事も。

開業で耐えられないかった人たちは、きっと知っていたんだろう。『普通の働き方』を。賢い人は就職前に、若しくはその後数年で。

甥っ子よ、君は今ボーナスタイムだ。何も知らない、何も出来ない君に会社は時間とお金を投資してくれる。その限られた期間で出来るだけ、がむしゃらに『頑張れる許容量』を出来るだけ大きく育てて欲しい。

きっといつか、それが武器になる。頼りない叔母は密かに応援しています。








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