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負け惜しみ

⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)


皆さんは今までの人生の中で


「あっ!これ負け惜しみや」


と実感した経験はあるだろうか。


僕は何度かある。


その中でも人生で初めて
「これは完全に負け惜しみや」
と確信を持った出来事について
今日は書いていこうと思う。




今から10年以上前、
僕はその時小学校の6年生

その日は修学旅行の真っ最中だった。


場所は福島


僕が通っていた小学校は
毎年、修学旅行の行き場所が変わっており
確か前年は
東京(ディズニーランドや東京タワー)と
福島の2箇所だった。


それが僕たちの年は
福島のみに変わった。

(なんでやねん。
10年以上経った今でも心の底から思える。
なんでやねん!)


場所が決まった時は
確かに
東京行きたいわ!
ディズニー行こうぜディズニー!
と思っていたが
終わってみれば福島でも十分
楽しむことができた。

修学旅行なんて
どこに行っても楽しいのだろう





初日

その日、僕たちが泊まったのが
ドラマ『花より男子』の
撮影でも使われた
ホテルだった。

今でも仲の良いKという友達と
2人部屋だった。

初日にした事で覚えているのは
人生で初めて新幹線に乗ったことくらいで
観光などは特にしなかった気がする。

ホテル自体が
お城のような作りになっているため
それ自体を見て楽しめというような
投げやりなプログラムであった。



その日の夜

僕とKはベットが2つ並んだ部屋で2人

僕が持参した
複数のボードゲームができるおもちゃで
遊ぼうということになった。

と言っても2人しかいないので
遊びは限られている。


「なんか面白そうなん無いかな。
オセロでもする?」

「他なんかあるやろ」


他のゲームを探す。

しかし、
バックギャモンやダイヤモンドなど
ルールを全く知らない
名前しか聞いた事がない
ゲームしかなかった。


そんな時に見つけたのがスゴロクだった。


「スゴロクあるやん!」


「え、スゴロクあんの?
ええやん。でも、楽しいか?」


たしかに



僕らももう小6である。

スゴロクで
キャッキャ言うような年齢ではない。



しかし、説明書を読み
スゴロクの内容を確認してみると
様々な特殊ルールが用意されており
大人がやってもある程度楽しめるように
工夫が凝らされていたのだ。


「これ面白そうちゃう?」


「おいおい、しかもこんなんあるぞ」



友達がケースから取り出したのは
1〜6までの数字が描かれている普通の
サイコロではなく、


18、53、64など
ランダムに大きめの数字が描かれた
特殊なサイコロだった。


説明書を読む


「なるほど、
これはゾロ目が出た時に使うんか」




だんだんとテンションが上がってきた。


さっそくはじめる。


ゲームは
はじめ、穏やかな展開で進んだ。


「うーん、なかなかええ試合やなぁ」



そんな時である。

友達が振ったサイコロが
ゾロ目を示したのだ。


「きたきたきた!こい!」


特殊な方のサイコロをふる



53



「え、これヤバイんちゃうん」


友達が大量リード


ヤバイ、負ける。


僕がサイコロを振る。


ゾロ目が出ない。


友達がサイコロを振る。


ゾロ目


ヤバイ

これは更に差をつけられる。


特殊なサイコロを振ると
出た目はふたたび


53


あかん


これはゴールされたか?


友達がコマを進める。



ん?


これはあれちゃうか?




皆さんも
もしかしたらこのルールを
採用しているのではないか



出た目がちょうどじゃないとゴールできない


つまり、現状の位置から
3でゴールだとして
6が出れば折り返して3進まないと
いけないというルールである。



友達が進めるコマが
ゴールし、折り返した。


まだ、20近く余っている。



「よしよしよし!戻れ戻れ!」


あっという間に先ほどよりも
リードが減った。



僕のターン

また普通の目


そうだ


ゾロ目なんて滅多に出ない。


友達がサイコロを振る


ゾロ目



なぜなんだ?



なぜこんなにもゾロ目が出るんだ



特殊サイコロを振る



18



あれ?


これさっきみたいに折り返さずに
かなりゴール付近まで
進むやつちゃう?



僕の予想した通り、
友達のコマがゴール直前まできた。



これはヤバイ


一刻も早く僕もゾロ目を出さなくては




そこからしばらく膠着状態が続き、
運命の時は突然訪れた。





僕がサイコロを振る。



きた



ゾロ目だ



はじめてのゾロ目



特殊な方を振る



42



あれ?



疑問が確信に変わらぬまま
コマを進める



「23、24、25 あれ?」


更に進め続ける。



40あたりで疑問が確信に変わった。


「42!はいゴール!!!」



今までの人類においての
2人でやるスゴロク史上
最も盛り上がったのではないか


ホテルの1室に小学生男子2人の
大声が響き渡った。



ドンドンドン



ん?


扉を叩く音がした。


ヤバイ


もしかして誰か来たのか?


扉を開けるとそこには担任の先生がいた。


「まだ起きとんのか!
明日も早いんやからはよ寝ーや」



そこまで怒っている感じではなかった。



そうか、
明日からは沢山の予定が詰まっているんだ。


早めに寝て体力を温存しておかないと


なんの予定もなかった今日でさえ
これだけ楽しかったんだ。


キャッキャしすぎて疲れたのか
そこからは比較的はやく眠りについた。



次の日、朝早い時間に
ノックの音で目覚めた僕たち



扉を開けるとそこにはクラスの友達がいた。



ホテルの敷地内に素晴らしい景色を
みる事ができる場所がある

丘を少し登ったところで
すぐに行けるから朝食の前に
皆で見に行こうという誘いだった。



着替えを済ませ、
10人ほどでその丘の頂上へと向かう。


登るにつれてワクワクが増していく



15分ほど歩いて、
頂上にたどり着いた。



すごい




舐めていた




ホテルの敷地内に
ここまで見晴らしの良い
気色が広がっているとは思わなかった。


僕はすぐに持ってきていた
デジタルカメラを起動した。


滅多にない機会だからと
親が持たせてくれたのだ。


写真を何枚か撮る。



すると周りの友達が
ザワザワし始めた。


「うーわ、カメラ部屋に置いてきた」

「俺もや。撮りたかったのに」

「最悪や!こんなん絶対撮りたいやん」



みんな持ってくるのを忘れたようだ。

もちろんこの年齢なので
携帯を持っている人間も少ないし
そもそも禁止されている。


そんな中、Hという友達が
あることを言い出した。


「ええやん、写真なんか撮られへんくても
みんなの心の中にさえ残れば
それでええやん」


再び周りがざわめく


「ええこと言うやん」

「たしかにそうやな」

「刻み込めばいいな」



僕はその時思った。




これ負け惜しみや



絶対写真撮った方がええやん


ていうか
心に残ればええとか言うて
俺があかんみたいなってるけど

俺は俺で心にも残してるし

写真も残るし


何カメラ忘れてきたこと
正当化しようとしてんねん






こんな事を今でも覚えているなんて
僕はなんて根性が悪いのだろう。


少し反省しつつ
今日はこのあたりで筆を置くことにする。










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