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トイザらスのために…

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

世の中にトイザらスほど楽しい場所はない

そう思う時期が僕にはあった。

入り口から
子供たちに人気のおもちゃで
派手に彩られており
すぐに心を掴まれる。

広い店内を一周するのに何の苦もなく
気づけば出口にたどり着いている

それがトイザらスだ

僕が生まれた家は
最寄りのトイザらスまで行くには
少し時間がかかる場所だった。

親に何とかしてトイザらスに
連れて行ってもらおうと
僕も様々な作戦を立てたものである。

そんなことがある悲劇を生むとは
思いもしなかった。


これは小学校低学年の頃の話

僕はその日
自宅で宿題をしていた。

金曜日に出された課題を土曜日にする。

それがその頃の
僕の習慣だった。

黙々と算数の問題をこなす。


あかん

トイザらスに行きたい

衝動的にそう思った。

この気持ちは誰にも止められない。

僕は母に相談した。

トイザらスに行きたい

すると母は

宿題が終わったらいいよ

こう言った。


僕はすぐに言い返した。

すでに終わっている

考えるより先に言葉が出ていた。
これが僕の記憶の中での
最初の嘘だった。

宿題が終わってさえいれば
かの有名なトイザらスにいける。

母は宿題の事を
イマイチ把握していない。
ならばそれを利用してやろう。
僕の中の悪魔がそう囁いたのだ。

母は喜んで
僕を車に乗せ
トイザらスへと連れて行ってくれた。

トイザらスに着く。

僕はなんて幸せなんだ

宿題をしていないにもかかわらず
トイザらスにいける。

こんなことがあっていいのだろうか

入り口を通り抜け
中に入ったときには
もう宿題のことなど
完全に忘れていた。

その時の僕の頭の中を
脳内メーカーで見たら

「ト」

のみだっただろう

まず左側のゲームソフトの
コーナーへといざなわれる。

僕はその当時
人生で初めてのゲーム機
ニンテンドーDS(初期のバカでかい灰色のやつ)
を買ってもらったばかりだった。

新しいソフトが欲しくなるのは
ごく当たり前のことだ。

店内を物色する。

中身が空っぽの
プラスチックの塊の
ゲームソフトを片っ端から見ていく。


楽しい


僕はその後
シンプルおもちゃコーナーへと向かった。

楽しさが止まらない。

そのコーナーにもハズレがない。

満遍なく楽しさが漂っている。

全く欲しさはないが女の子の
おもちゃのコーナーも回る。

少し恥ずかしい

しかし楽しさの方が遥かに上回ってくる。

一通り回り終えると
楽しさからくる疲れが僕を襲ってきた。


帰ろう


自然な流れでそうなった。

家に着くと僕の心は空っぽだった。

何だこの家は

この家になにがあるんだ

この家にはあれしか残されてない

そう
宿題

僕は家に着くと

「あー宿題やらななぁ」

ふとそう呟いた。

呟いてしまった。


母親を欺き切るには幼すぎた。

その時たしかに
バチン!
という音が鳴った気がした。

母の表情がみるみる変わる。

そのあとわけわからんほど
怒られたことは言うまでもない。

宿題をやっていなかったこと
嘘をついたこと
そこまでして行きたかった場所が
おもちゃ屋だったこと

怒らせるのに十分な要素が溢れすぎていた。

僕はすぐに泣きながら宿題に取り掛かった。

しんどい

この時に学んだ

しんどいことは先にやった方がいい。
トイザらスのようなあんな
楽しい場所に行ってしまったら
もうその後
なにが待っていたとしてもしんどい。

宿題が終わった。

終わった後も母は怒っていた。

その理由はいまだにわからない。

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