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【番外編】馬の街ニューマーケット満喫旅行のすすめ

馬好き、競馬好きの方がイギリス旅行を計画されるなら、ロンドン近郊の競馬場での競馬観戦だけではあまりにもったいない。ぜひ少し時間を作ってニューマーケットに訪れていただきたいとの思いから、ニューマーケットを楽しむモデルコースを紹介します。
予定が盛りだくさん、かつ行動時間が朝から夜までと長いため、二泊三日が望ましいところではありますが、早朝にロンドンを出発する、あるいは深夜にロンドンに戻ることを厭わなけければ、日帰りや一泊二日でも調整可能です。

【モデルコース概要】

午前: 調教見学、厩舎見学、牧場見学
午後: 競馬博物館見学、街の散策
夕方: Newmarket競馬場 薄暮開催参戦
宿泊: Jockey Club Room

1. 調教見学、厩舎見学、牧場見学(Discover Newmarket ツアー)

Newmarketの公式観光サービスセンターである"Discover Newmarket"にて、馬の街ニューマーケットを楽しむツアーが用意されています。今回は、数あるツアーの中で最もオーソドックスで予約も取りやすいThe Newmarket ExperienceTour (毎週金曜日に開催)に参加しました。以下がその概要です。

◎ 7:45  National Stud集合、ミニバスで調教場へ移動

※ National Studは、ニューマーケット競馬場July Courseに隣接し、ニューマーケットの町の中心部からは離れています。車で5〜10分程度、徒歩で45分程度を要するため、レンタカーを借りていない場合はバスかタクシーを利用するのが賢明です。

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↑ 朝の牧場。晴天に恵まれ最高の一日のスタート。
※バスの写真は集合場所とは異なる場所で撮影


◎ 8:00  Warren Hill 到着、調教見学

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↑ 一般の車両でも、調教場の近く(写真上)までアクセス可能だが、ツアー参加者は調教場を囲う枠をくぐって調教場内部に入ることが許されているため、より近くで調教を見学することが可能。

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↑ ガイドの方曰く世界で一番広い調教場とのことで、とにかく雄大。数本ある坂路(芝の一部がポリトラックのコースとなっている)を次々と馬が駆けていき、飽きることがない。ガイドの方が、時折、あのオレンジの帽子は○○厩舎の一団、あの青いジャケットは○○厩舎、あそこで馬に乗って指示しているのが○○調教師といった形で、説明をしてくれるのも楽しい。


◎ 9:00 厩舎地区へ移動

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↑ 移動中もガイドの方の解説が盛りだくさん。道中には、J. ゴスデン厩舎やW. ハガス厩舎といった有名な厩舎、ゴドルフィン&C. アップルビー厩舎のプライベートな調教場等が立ち並ぶ。また、郊外の芝での追い切りができる調教場に立ち寄ると、更にその奥に別の調教場が見えるという豪華仕様。さすが馬の街。


◎ 9:15 ニューマーケット競馬場近郊の厩舎地区到着、厩舎見学

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↑ 見学できる厩舎はツアーの日によって異なる模様。今回は、Robert Eddery厩舎を訪問。朝の調教を終えた馬たちが戻ってきて手入れされる様子をじっくり観察。

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↑ 中には当日の夕方のレースに出走予定の馬も。馬券を買って応援しましたが残念ながら三着でした。

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↑ 厩舎の裏手にちょっとした放牧地があり、調教後、厩舎ではなく放牧地でくつろぐ馬も。さらにこの放牧地の裏手の道から調教場に直接アプローチできる。


◎ 10:15 Best Western Heath Court Hotelで軽食

ニューマーケット市内中心部にあるHeath Court Hotelで休憩。コーヒー、紅茶とケーキのサービス付き。トイレ休憩はこちらで。


◎ 11:00 National Stud到着、牧場見学

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↑ まずは繁殖牝馬と当歳馬の放牧地へ。National Studに預託されている繁殖牝馬や幼駒は少ないものの、運が良ければ、馬に触れることも可能。この人懐っこい馬はKingman産駒の当歳馬。

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↑ 続いて繋養されている種牡馬を見学。こちらは触れることは禁止で一定の距離を保って見学することが求められる。写真上はRajasinghe(GIIコヴェントリーS勝ち馬)、写真下はAdvertise(GIデューハストS、GIジャックルマロワ賞の勝ち馬)。

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↑ 最後に種牡馬の厩舎地区と種付け場、歴代の種牡馬のお墓を見学して12時過ぎにツアー終了。大満喫。

Discover NewmarketのHPでは、このツアー以外にも、ダーレーの拠点Dalham Hall Studを見学できるツアー、名馬Frankelに会いに行くツアー、タタソールズセールに参加できるツアー、J. ゴスデン調教師等の名調教師の調教を見学できるツアー、ニューマーケット競馬場の関係者専用スペースに立ち入ることができるツアーなど、多様なツアーが用意されています。興味のある方はイギリス旅行の日程が決まり次第、参加できるツアーがないかぜひ探してみてください。


2.競馬博物館見学&街の散策

Newmarketには、競馬博物館があります。東京競馬場のJRA競馬博物館と比べるとやや小さい印象ではありますが、興味深い展示に加え、居心地の良いレストランや馬グッズが豊富なお土産物屋があり、また、併設された厩舎等のバックツアーも開催されているため、訪れる価値は十分あります。

◎ 13:00 競馬博物館到着。博物館内のレストランで昼食 

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↑ ニューマーケットの町のメインストリートから一本入ったところにあるNational Horse Race Museum(競馬博物館)。メインの博物館に加え、厩舎や馬術用の馬場も併設している。

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↑ 博物館入り口。この建物はお土産物屋とレストラン兼カフェが入っており、入場料なしで入館可能。ただし、奥の博物館の展示を見るためには、お土産物屋でチケットの購入が必要。

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↑ 競馬場内のレストラン兼カフェ。オープンテラスから望む中庭には名馬フランケルの像が。

◎ 14:00 競馬博物館見学

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↑ メインの建物の中の展示は、馬の生物学的な特徴から血統、イギリス競馬の歴史に至るまで多様。世界の競馬を紹介する画面では日本競馬及びディープインパクトが紹介されている。常設展示のほかに馬の絵画、障害競走、戦時の馬等、シーズンごとにテーマが替わる展示室も。

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↑ メインの展示室とは別に、中庭に面した建物と奥の建物にもイギリスの馬産地の地図や引退馬の活躍の様子等、幾つか展示物が。もともと厩舎であった建物を活かした面白い造り。

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↑ 展示室の奥には現役の厩舎も存在。

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↑ 一日に数度、競馬博物館内の厩舎のバックヤードツアーが開催されている。厩舎地区の裏手にある馬場馬術の練習場や蹄鉄を打つ様子等を見学できる。

◎ 15:30 ニューマーケットの町中を散歩

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↑ ニューマーケットの町の中心部の地図。右上の緑がWarren Hill調教場。左下の広大な敷地はタタソールズの所有地。

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↑ ニューマーケットの中心部は一見、一般的な地方都市の雰囲気であるが、少し注意して町を見ると至るところに馬関連の情報が散りばめられている。街中を闊歩する馬の姿を見ることも稀ではないため、そぞろ歩きが楽しい。


3.Newmarket競馬場 薄暮開催参戦

ニューマーケットの市内から車で5分~10分程度の場所にニューマーケット競馬場があります。二つのコースがあり、時期によって開催場所が異なる珍しい競馬場です。夏の開催が行われるJuly Courseは、日中の開催に加え、定期的に薄暮開催が実施されています(第一レースが17時以降、最終レースが21時頃。イギリスの夏は日没が21時以降のため、ナイター競馬ではありません)。昼間は市内観光、夜は競馬と最高の一日を過ごすことができるので、薄暮開催の日を狙ってニューマーケットを訪問されるのもおすすめです。

◎ 17:00 ニューマーケット競馬場July Course到着 

ニューマーケット競馬場の詳細情報については、別の記事(競馬場探訪問:ニューマーケット競馬場)で紹介しています。こちらもぜひご参照ください。

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↑ 薄暮開催は夕方から夜にかけてのリラックスした雰囲気が最高。直線を照らす夕暮れも美しい。

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↑ この日はスタンドからやや遠いコースを用いていたが、それでも迫力は十分。

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↑ パドックやウイナーズサークルは決して大きくはないが、花で彩られ華やか。

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↑ 薄暮開催の競馬場から市内への帰り道では、向かって左側に、夕暮れに佇むロウリーマイルコースのスタンド(春と秋の開催で使用)を望むことができる。

4.Jockey Club Room宿泊

ニューマーケット市内には幾つかホテルがあり、また、列車で30分程度のケンブリッジ市内に宿泊するのも良いですが、競馬好きならばぜひJockey Clubが運営するJockey Club Roomでの宿泊を検討されてはいかがでしょうか。ホテルそのものすばらしさに加え、街の中心部にあり観光にも便利です。

◎ 21:30 ホテル(Jockey Club Room)帰宅

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↑ ホテル入り口。重厚な造りとMEMBERS & GUESTS ONLY の看板が特別感を盛り上げる。

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↑ ホテル外観。手前はJockey Clubのオフィス等が入り、宿泊施設は奥の建物。

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↑ ホテル中庭。左手の建物が宿泊棟。中庭にはベンチが配置されていて、優雅に読書を楽しめる。

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↑ スタンダードな客室の内部。至るところに馬関連の装飾が施されている。バスタブも完備。

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↑ 客室の窓から青々とした中庭を見下ろす。

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↑ 宿泊棟と別棟をつなぐ廊下には、王室や歴代のJockey Club会員の絵や写真が並ぶ。中には、大戦時にニューマーケットの調教場を農地転換させないよう特例として指示したという逸話の残るチャーチル元首相の写真も。

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↑ 共用トイレも歴史と華やかさが共存する。

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↑ 館内はどこもかしこも馬仕様。

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↑ ホテル内にドレスコードがあるので宿泊予定の方は要注意。Tシャツやトレーナーでは滞在不可。襟がある服を用意されたい。

<以上>

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