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【総合評価◎】競馬場探訪:英 ニューマーケット競馬場/Newmarket Racecourse

伝統と馬への愛を感じる競馬場。全体的にコンパクトで、アスコット等のロンドン近郊の競馬場の華やかさにはかなわないが、馬の街Newmarketの魅力込みでの総合評価は◎を優に超える。

イギリスの競馬場を独自の視点で評価しています。総合評価は◎〇▲△の四段階。各評価ポイントは★×3が最高点。全ての競馬場の評価一覧は以下の記事をご覧ください(随時更新中)。訪問を検討されている方の参考になれば幸いです。
https://note.com/ippei_genuine/n/ne3ab24c12e85

ニューマーケット競馬場 / Newmarket Racecourse 概要

所在地:イギリス Suffolk County
創設:1667年
開催競馬:平地競争
馬場:芝(右回り/右曲がり)
主要なGIレース:

<4月/5月>
- 1,000 Guineas Stakes 1,000ギニーステークス
出走条件:3歳牝馬、距離:1 mile (1,609m)
- 2,000 Guineas Stakes 2,000ギニーステークス
出走条件:3歳牡馬、距離:1 mile (1,609m)
<7月>
- Falmouth Stakes ファルマスステークス
出走条件:3歳以上牝馬、距離:1 mile (1,609m)
- July Cup ジュライカップ 
出走条件:3歳以上、距離: 6 furlong (1,207m)
<9月>
- Cheveley Park Stakes チェヴァリーパークステークス
出走条件:2歳牝馬、距離:6 furlong (1,207m) 
- Middle Park Stakes ミドルパークステークス
出走条件:2歳牡馬、距離:6 furlong (1,207m) 
<10月>
- Sun Chariot Stakes サンチャリオットステークス
出走条件:3歳以上牝馬、距離:1 mile (1,609m)
- Fillies' Mile フィリーズマイル
出走条件:2歳牝馬、距離:1 mile (1,609m)
- Dewhurst Stakes デューハーストステークス
出走条件:2歳、距離:7 furlong (1,408m)

・ 総合評価 ◎ (ジュライコースのみ訪問)

競馬場(ジュライコース)は、建物の年季やスタンドの眺望にややガッカリ感があるものの、馬の街の競馬場ならではの自然な雰囲気が魅力的。競馬場博物館の見学をセットで計画すれば十分充実した滞在となるが、可能であれば競馬観戦前後にNewmarketの街で宿泊し、Newmarket郊外で行われている朝の調教見学やNational Stud訪問ツアーにも参加して、馬の街を朝から晩まで堪能されたい。

・ ロンドンからのアクセスの良さ  ★☆☆

- London Victoria駅→Cambridge駅(Great Northern Railwayの直通電車で約50分)
- Cambridge駅→Newmarket駅(greater angliaの直通電車で約20分)
- Newmarket駅→Newmarket競馬場(タクシーで約10分、もしくは徒歩とバスで約30分)
※Newmarket競馬場は、開催時期により使用されるコースとスタンドが異なるため要注意。2,000ギニー等が行われる春開催はロウリーマイルコース、ジュライカップ等が行われる夏開催はジュライコースが用いられる。ジュライコースの方がNewmarrket市街から車で5分ほど遠い。

・ 公共交通機関のみでのアクセスの良さ ★☆☆

【電車+タクシー】
最寄りのNewmarket駅から競馬場まで公共交通機関による移動手段はない。Newmarketの中心部から競馬場(ジュライコース)まで徒歩でも約45分で移動可能ではあるが、交通量の多い一本道の狭い歩道をひたすら歩くことになり、おすすめできない。
※GI開催日等に不定期でシャトルバスが運行されることもある。詳細は競馬場のHPを要確認。
※電車の乗り換え地となるケンブリッジの市街地からNewmarket競馬場の前を経由してNewmarket市街に至る路線バスが運行されている。往復どちらか余裕のある方をケンブリッジからのバスとして、ケンブリッジ観光を加えることも検討の余地あり。

・ 場内の雰囲気 ★★☆

ジュライコースについては、スタンドをはじめ建物に年季があり、全体的に狭さも感じるが、パドックやウイナーズサークル、装鞍所等の周辺設備は美しく心地よい。場内各所にはニューマーケット競馬場で開催されるレースを制した歴代の名馬の名を冠したバーが点在しており、それらを巡るのも楽しい。なお、重賞が開催されない日でも入場可能なエリアの区分が厳密であることが多い点は要注意。日によっては全ての入場者に解放されていることもあるが、基本的には、ゴール前のスタンドや観戦エリアはPremier Enclosure専用。競馬場全体にアクセスしたい場合は、早めの予約と多少の出費増への覚悟が必要。

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・ レースの臨場感 ★★★

ジュライコースは、L字型の形状の芝コースのみで構成。直線が長い割にスタンドがあまり高くないため、スタンドからの眺望は限定的であるが、埒沿いでレースを見ながら直線のはるか遠くから徐々に馬群が近づいてくる様は壮観。直線付近は、観戦エリアとコースの間も狭く、臨場感のあるレースが楽しめる。ただし、開催日によっては、コースの真ん中に埒が設置され、埒の外側でレースが展開されることもあるため要注意。

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・ 競馬場周辺の観光 ★★★

拠点となるNewmarketは世界屈指の競馬の街。街の至るところに競馬関連の観光スポットが点在しており、時間をかけて巡りたい。朝の調教観察やNational Stud訪問等が可能なツアーもあり、Newmarketに宿泊してこれらのツアーに参加するのも良い。詳細は、以下のDiscover NewmarketのHPで要確認(筆者のツアー参加時のレポートはこちらから→ニューマケット旅行のすすめ)。
https://discovernewmarket.co.uk/

なお、時間がなく日帰り旅行になる方は、往復どちらかは乗り換え地となるケンブリッジを訪問されるとより充実した旅となるのではないか。

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・ 参考情報(競馬場のHP、写真等)

ニューマーケット競馬場のHP:
https://www.thejockeyclub.co.uk/newmarket/

関連写真:以下のとおり。なお、これらの写真はいずれもJuly Course(ジュライコース)で重賞レースが実施されていない日に撮影。大きなレースが開催される際は、観客数や競馬場の雰囲気、入場可能なエリアに違いがあると思われるため、ご留意いただきたい。

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↑ Newmarket駅。一本のホーム、一本の線路の小さな駅。

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↑ Newmarket駅出口にある市内概観図。競馬場博物館をはじめ競馬や馬術の関連施設が充実している。

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↑ Newmarket競馬場入場口(July Course)。

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↑ 競馬場全体図(July Course)。狭くはないが、チケットによりエリアが細かく分けられており、一番安いチケットでは、ゴールポスト付近の観戦エリア及びスタンドには入ることができない。

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↑ 最も安価なチケットで入場可能なGrand Stand。建物はかなり古い印象。

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↑ Premier Enclosure内のスタンドも同様に味わい深い。

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↑ Premier Enclosureのスタンドの裏側。表側に比べて美しい。

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↑ 観戦エリアは芝生が敷かれ、ベンチも多く、ゆっくり観戦できる。

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↑ Grand Standからレースを臨む

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↑ ゴール前から見た直線の攻防

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↑ Grand Standから直線入り口方向。木々が視界の邪魔になるがそのままにしているのがNewmarket競馬場らしさとも言える。 

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↑ Premier Enclosureから見た薄暮開催の直線。西日を背負う馬群がはるか彼方から近づいてくる。

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↑ Grand Stand前の観戦エリア最前列。直線が長すぎて入り口は見えない。

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↑ パドックの周囲には椅子と階段が配置され、馬がよく見える。

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↑ コースの横にパドックが位置しており、パドックから直接本馬場入場に移る。

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↑ パドック横のスペースはゴール後、約50m付近。Premier Enclosureに入ることができなくても、ここからゴール前の攻防が見られる。

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↑ パドックの奥にあるウイナーズサークル。花で美しく彩られている。

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↑ エリザベス女王所有のディープインパクト産駒Portfolio。Rムーア騎手騎乗でニューマーケット競馬場のハンディキャップ戦を勝った際のウイナーズサークルの様子。

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↑ パドックの側にある木に囲まれたプレパドック。木の間から装鞍前の馬を見ることができる。近くには、馬主等の関係者専用のカフェも。

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↑ 馬場内には、ニューマーケット競馬場で活躍した過去の名馬の名前が付けられたバーが点在。お決まりのFish & Chipsももちろん。

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↑ 夏の開催では競馬場内に帽子屋が出現。

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↑ Newmaket競馬場のジュライコースから歩いてNewmarket市街へ向かうには、交通量の多い一本道をひたすら歩く。道中、2,000ギニー等の会場になるローリーマイルコースが遠くに見える。

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↑ 薄暮開催の場合は、帰路が日暮れと重なるため、夕暮れに佇むスタンドが美しい。

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↑ 馬横断注意の看板。

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↑ 競馬の街らしく名馬の銅像が街中に。

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↑ 競馬博物館(National Horse Racing Museum)では、馬や競馬に関する展示のほか、博物館内の厩舎や馬術競技練習場を回るプチツアーも提供されている。

<以上>

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