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ジャニーズの記者会見であらためて際立った闇

9月7日にジャニーズ事務所元社長のジャニー喜多川氏の性加害問題について事実と認め謝罪、そして同時に東山紀之の新社長就任会見が行われた。会見の様子は速報ニュースでも流れ、国民をはじめ業界の人間や識者などから厳しい意見が相次いだ。

会見の内容を受け、現在ジャニーズタレントをCMに起用している企業の中には「契約更新せず」と表明したところも多数現れた。

おそらく今後は「ジャニーズタレントが出演している番組やイベントのスポンサーにはなりません」という企業も増えてくるのではないか。そうなるとますますジャニーズの経営は苦しくなり、「ジャニーズが可哀そう」という声も出てきそうだ。だがジャニーズ事務所は創業者が過去数十年にわたり10代以下の男子児童に体を触るなどのわいせつ行為や口腔性交・肛門性交(どちらもジャニーさんが受け)を繰り返し、その被害者は1000人以上に上るとも言われている小児性愛関連の事件としては世界的に見てもトップレベルの凶悪犯であり、そしてその事態を把握していたにもかかわらず止めようとしなかった人間が数多く在籍する企業である。これくらいの経済的制裁・社会的制裁は当然と言えるだろう。

ただ会見の記事を読んでムズムズしたところがある。それこそ今回の記者会見が「ジャニーさんの性加害を認めた」のと「新社長が就任した」のがセットになったことだ。
企業がジャニーズタレントのCM起用の見送りや契約終了に至った決定打は「事務所が正式に性加害を認めた」ことなのか「ジュリー氏が社長を降りた」ことなのか、どちらなのかと。
前者であれば「それが道理だろう」となるのだが、これが後者であれば闇の深い話になる。
ジャニーさんが存命のときはもちろん、後任のジャニーさんの実姉のメリー喜多川氏の時も、今回その座を退いたジュリー氏の時も、創業者一族が社長だった時期はいずれもジャニーズ事務所に対するメディアの忖度が当たり前のように存在していた。
だとすると「ジャニーズ事務所に対するスポンサー企業の忖度」もあり得るのではないかと。定かではないが、果たしてスポンサー企業にジャニーズ事務所とメディアのような蜜月関係が築かれているのかどうか。

もしかしたらジュリー氏の社長辞職は「私が辞めるということはスポンサーが離れるということだから、代わりに社名の存続と私の株主と代表取締役の継続は認めてね♪」という暗黙のメッセージだったのかも…などと勘ぐってしまう。いろんなところで質疑応答の稚拙さを指摘されていたが、「性加害の謝罪」と「新社長就任」を同時に行ったことがかえって変な憶測を生んでしまったこともあの会見の体たらくぶりを表しているような気がする。願わくばスポンサー企業が離れた理由は「事務所が正式に性加害を認めた」ことであって欲しい。

今回の件でもう一つ「変わって欲しい」と思った点が、芸能界に蔓延る慣習や圧力だ。

芸能界ではジャニーズ事務所にかかわらず巨大な芸能事務所が外部に圧力をかけたりタレント個人が「これをやったら仕事を干される」といった慣習が存在する世界だ。過去には「のん」さんの事件。もともと「能年玲奈」名義で女優活動を続けていたが当時の所属事務所との関係が悪化し「能年玲奈」という芸名が使えなくなった。同時に仕事をもらえなくなりテレビや映画の出演も極端に減ってしまった。

また、小栗旬は10年ほど前に「俳優の労働組合の結成」を宣言していた。日本にはなんと俳優の労働組合が存在しない。だが、この数年はそのことを口にすることもなくなっていた。Twitter(現X)の組合結成の旨を述べたツイートは削除され、小栗本人も過去のインタビューで「みんなけっこう、いざとなると乗ってくれないんですよ」「ここのところはちょっとね、負け始めてます」と落胆していたという。

このほかにもボーイズダンスグループのDA PUMPがジャニーズ事務所から圧力をかけられていたなどの噂もある。

ジャニーさんとメリー喜多川氏が亡くなった後もジャニーズの力が弱っていたとはいえまだその影響は残っていた。しかし今回の件でジャニーズの業界内での力はかなり弱まったとみていいだろう。ネット上では他の大手芸能事務所の社長や会長もかなり高齢化して業界内で以前ほどの力を発揮できなくなったという声もある。
これを機に今まで芸能界でまかり通っていた悪しき慣習も洗い流してしまってはどうか。メディアが特定の芸能事務所に忖度し、タレント個人が守られない環境はどう見てもおかしい。

一連の性加害事件をジャニーズ以外の芸能事務所が単なる「対岸の火事」と見ていたら芸能界は今後も何も変わらないだろう。
今回のジャニーズの件をきっかけに今の状況が少しでも変わってくことを期待したい。

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