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ICE(Impress Comic Engine)

インプレスグループは、メディアだけでなく、コンテンツホルダー向けのプラットフォームサービスも手掛けています。なかでも株式会社ICEが提供する電子コミックプラットフォームは、グループの業績を支える規模に成長しています。

新世代コミックの在りかたを確立した
Impress Comic Engine

株式会社ICE

スマートフォンなどの急激な普及に伴い、紙媒体にとって代わる勢いで成長を続けるデジタルコミックの分野において、インプレスグループではICE(Impress Comic Engine)がその発展に貢献している。


大手出版社のケータイマンガサービスを開発

 2006年5月、株式会社集英社は、携帯電話でマンガが読める新サービス[集英社マンガカプセル]をスタートした。このサービスの開発には、同年2月に設立されたImpress Comic Engine(ICE)が関わっていた。

 「2005年12月に、塚本(慶一郎)社長(当時)から〈電子コミックの配信会社を作ってほしい!〉と言われ、会社設立の事業計画に取り掛かりました。まずは、事業パートナーとなる集英社の方々との顔合わせのために、幕張で行われていた[ジャンプフェスタ]に赴いたところ、ガラケー向けコミック配信サービスの開始予定日が目前に迫っていることを告げられ、その場で開発や運用についての具体的なやりとりが始まりました。その数か月後には、集英社のほぼ全コミックタイトルが独占配信される魅力的なサービス[集英社マンガカプセル]が誕生しました」(北川雅洋/元・ICE代表取締役社長)

  Impress Comic Engineの役割は、サイトの企画、開発、運用、そしてコミックの電子書籍化、つまりデジタル領域全般。事業形態としては、集英社と協力し合い、そこで得られた売上をシェアするパートナーシップ方式が採用された。

 「今思い返すと、集英社とのコミュニケーションは、質・量ともに凄みがありました。そこからくる信頼感があってこそ、難しいプロジェクトが成功し、それがICEという会社の基盤になったのだと思います」(北川)

 Impress Comic Engineはその後も集英社をはじめとする大手出版社のサービスに関わったほか、2011年には株式会社NTTドコモが運営する電子書籍ストア[dブック]の開発にも携わった。

 コミック配信事業を軌道に乗せた北川は、2008年にImpress Touchを設立。2010年にはiPhone / iPad向けの電子書籍アプリを通じて『東京IT新聞』の記事配信やフリーマガジン『原宿girls』の発行を開始するなど、コミック以外のコンテンツ配信にも取り組んだ。

 2011年には、Impress Comic Engine がImpress Touchを吸収合併。デジタルコミックの配信におけるITコンサルティングおよびソリューション事業を展開するImpress Comic Engine が、スマートフォンやタブレット向けのオンラインメディア事業に取り組むImpress Touchと一緒になることで、コミック分野に限らず、コンテンツの対象領域を拡大して事業展開を行うことになり、併せて商号もICEに変更された。

 その後も、2015年にグループ内で電子書籍関連事業を手掛けていたデジタルディレクターズを吸収合併するなど成長を続け、2020年度には20億円を超える売上を記録するまでに至った。


デジタルファーストな出版を実現

 ICEは、2012年2月にインプレスコミュニケーションズが立ち上げた[impress QuickBooks]レーベルにも関わっている。紙の出版物を電子化するそれまでの電子書籍ビジネスから脱却し、スマートフォンで読むことを前提とし、はじめから電子書籍フォーマットで制作された[impress QuickBooks]は、〝デジタル技術を活用して出版の未来を切り開く〞というグループの理念を体現したもので、2022年2月時点で累計700点ものデジタルファーストな電子書籍を世に送り出している。

[impress QuickBooks]は、〝多くの人が興味のある旬のトピックについて気軽に読むことができる〞をコンセプトに立ち上げられた。


 さらに、2021年からは〝新しいテーマ、新しい切り口、新しい著者〞というキーワードを掲げて[ICE新書]を立ち上げ、既存の枠組みにとらわれない新しい出版にも挑戦している。電子書籍とPODを組み合わせることで、デジタルファーストならではのスピード感に加えて、過剰供給による廃棄を避けられる。インクや紙の無駄、運送に関わるさまざまな
コストを削減し、SDGsを重視する世界の流れにも則った環境に優しいサステナブルな出版レーベルというコンセプトの下、[ICE新書]は初年度から9タイトルをリリースしている。

[ICE新書]は、新しい著者を発掘し、未来を担う作家のための開かれた商業出版を目指している。


自社ブランド事業の開発にも注力

 ICEは、収益の柱として、電子コミックや電子書籍事業を展開する一方で、英語学習教材『プライムイングリッシュ』やバスケマンガ『B-TRASH』の電子配信など、自社ブランド事業の開発も手掛けてきた。

[プライムイングリッシュ]は、日本人が苦手なリスニングの強化や学習メソッドにこだわった大人のための英語教材。2021年からはエムディエヌコーポレーションに事業が引き継がれている。


『B-TRASH』は、LINEマンガなどの電子書籍ストアで配信されている。


 「電子書店の拡大、およびそれに伴う差別化の需要に寄り添うようにICE発のオリジナルIP開発に力を入れていきたいと思います。[CoMax]レーベルでのオリジナルマンガ、[天海社]レーベルでのライトノベル、[ICE新書]としての実用書と、スコープを広く持ってヒット作を生み出すことを今後のミッションとしていきます」(渡邊一弘/ICE代表取締役社長)


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