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NextPublishing

デジタル技術によって、本の流通の仕組みを変えたPOD(プリント・オンデマンド)。インプレスグループは、2000年代からいち早くPOD事業に取り組み、業界を牽引してきました。

誰もが出版できる時代を切り開く
NextPublishing

株式会社インプレスR&D


2006 年4 月に先端IT分野の調査・出版を目的として設立されたインプレスR&Dは、次世代出版プラットフォーム[NextPublishing]を開発したことを契機に、出版という分野に新たな可能性を切り開いている。


黎明期から電子出版市場を積極的に開拓

 デジタルで出版の可能性を追求し続けるインプレスグループの象徴ともいえる会社がインプレスR&D。米AmazonのKindleがまだ日本に上陸する以前の電子出版黎明期(2010年)に、大日本印刷株式会社および株式会社ライブラネオと提携して、世界初のカスタマイズ型電子出版&オンデマンド製本流通サービス[libura PRO(ライブラプロ)]をスタートさせたほか、その年の12月には独自に電子出版の専門誌『OnDeck(オンデッキ)』をEPUB形式で創刊した。

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EPUB形式に対応した『OnDeck』は、紙版とWeb版に加えて、タブレット端末のEPUBリーダーでも閲覧できるなど、電子出版の可能性を早期から開拓していた。


「『OnDeck』をやって何がよかったかというと、EPUB版の定期刊行物を発行したことで、生きた情報が入ってきたことですね。試行錯誤を続けた結果、[JEPA電子出版アワード2011]では大賞を受賞しました」(福浦一広/インプレスR&D代表取締役社長)

 2012年には、『OnDeck』で雑誌の無在庫出版モデルを実現したことを受け、電子出版とプリント・オンデマンド(POD)を活用した次世代型電子出版プラットフォーム[NextPublishing]を開発。2014年には『インターネット白書』をこのプラットフォームで発行したほか、 POD取次社としてアマゾンジャパン合同会社と契約するなど、紙の印刷物の発行部数が低迷する出版業界において、新しいスタイルで着実に実績を積み上げていった。


電子雑誌からPODまでの道のり

 インプレスグループは創設当初から電子出版の可能性を研究してきたが、電子出版にはさまざまなフォーマットがある。『OnDeck』も創刊時はEPUBだけだったが、2011年2月にはmobi7と呼ばれるフォーマットでKindle版も発行。さらに、楽天kobo、iBookstoreのほか、PDF版(マガストア)も発行することで電子出版の実績を積み上げ、2012年にはグループの山と溪谷社も、電子雑誌『週刊ヤマケイ』を発行するなど、フォーマットによる違いや対応方法といったノウハウを蓄積していった。

 そして『OnDeck』の大きな成果はやはりPOD。デジタル印刷機を利用することで〝必要なとき〞に〝必要な部数〞を〝印刷・製本〞できるPODは、アメリカでは1998年には書籍流通事業者イングラムの物流子会社が実施。Amazonも2005年からサービスを開始していたが、日本でAmazonがPODサービスを開始したのは2010年とやや遅れていた。

 「もともとAmazonのPODは絶版本、つまりすでに紙の本として発売された本を少部数印刷することを想定したサービスでしたが、『OnDeck』は新規に制作する電子雑誌をPOD形式で印刷するという新しいモデルに挑戦しました」(福浦)

 電子出版とPODを組み合わせることで、在庫を抱えずに電子書籍と紙の書籍を出版できる。さらに、電子書籍に使用したデータを紙の書籍の印刷用データとして使えれば制作の手間も省ける。この仕組みを利用して[NextPublishing]を立ち上げたことで、インプレスR&Dはデジタルファーストな出版モデル構築に成功した。

 電子書籍が原則として返品がなく、在庫リスクを抱えないのと同様に、PODも〝売れた分だけが収入になるという出版社にとって理想的なモデル〞を実現したのだ。

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[NextPublishing]の第1 弾は広告手法の解説書。電子版は[libura PRO]で提供された。


グループ外の多様な出版ニーズに対応

 [NextPublishing]は、インプレスグループ外の出版社や、個人が電子書籍やPODで発行する出版物を取り扱っているのが特徴。当初は出版社向けのモデルだったが、ISBNコードを持たない個人にも間口を広げ、個人出版支援サービス[ネクパブ・オーサーズプレス]の展開や、著者発掘プロジェクトなどを通じて多様な出版ニーズを取り込み、出版点数を増やした。

 2022年2月時点で、利用者数6700人、出版書籍約5900作品、総販売数約26.9万冊、総販売額約6.4億円を達成。2018年からは[POD個人出版アワード](現・ネクパブPODアワード)を開催し、個人著者による出版物を表彰することで、誰でも簡単に出版できる時代をさらに後押ししている。

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個人著者の山本義徳氏はネクパブで4タイトル、計2万冊以上を売り上げている。


グループ内外の出版社との連携にも注力

 インプレスR&Dでは、[ネクパブ・オーサーズプレス]のほかにも、グループ内の山と溪谷社や近代科学社と共同で、[ヤマケイクリエイティブセレクション]や[近代科学社Digital]といった個人出版ソリューションを提供している。

 また、2019年からは慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボと共同で『SDGs白書』を発行。2022年には、電子書籍の取次大手である株式会社メディアドゥとも合弁会社の設立を発表するなど、グループ内外の企業と連携して、POD出版サービスを推進し、誰もが気軽に紙の本を出版できる環境をさらに整えていくことを目指している。

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[NextPublishing]方式で毎年発行されている『インターネット白書』に加えて、インプレスR&Dは、1996年以降のバックナンバーがWeb上で読める『インターネット白書ARCHIVES』も手掛けている。


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『インプレスグループ30年史~面白いことを創造し、知恵と感動を共有する~』は、オンラインストアで印刷書籍(POD)版,電子書籍版を販売しています。

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