「はたらいて笑顔になれた瞬間」が無い俺は。俺だ。

「お仕事は何されてるんですか?」
 俺はこの質問が大嫌いで、大の苦手だ。どこに行っても、まずは「仕事」「仕事」。婚活も、アンケートも、何かの登録も。それに、性別と同じぐらい「仕事」を記載する欄がある気がする。「仕事」が俺にもたらすのは、所詮印象ぐらいだろう。「幼稚園の先生」と言えば、子ども好きと思うだろう。でも、それはあなたたちの勝手な印象で、本当は子どもが嫌いかもしれないぞ。幼稚園の先生としてのスキルも無いかもしれないぞ。
 もうなんなんだ。嫌になる。自暴自棄になる。
 でも、本当は簡単なことなんだ。「無職」にチェックすればいい。「その他」に〇をすればいい。何も自暴自棄になる必要なんてない。…言われなくてもしてきたさ。せざるを得ないのだから。
「内緒♪」
 って、可愛く(もしくはカッコよく)言ってみたいもんだ。適当に何かの職業になったふりをすればいい。でも、まじめすぎて嘘がつけない。ホントに自分のまじめさに嫌気がさす。このまじめさを仕事に活かしたいぐらいだ。

 好きで今があるわけじゃない。何を持って「仕事」なのか。何度も考えた。専業主婦が仕事として認められているのなら、俺は専業主婦でいたい。でも、独身の俺は…ああ、嘘はつけない。つけばいいのに。しかも、男の俺が「主婦」に〇をつけるのは抵抗がある。ああ、もう。
 別にあなたにあたっている訳じゃないし、怒ってはいない。不快にさせたなら申し訳ない。
 どうしても、今の俺の「仕事」を知りたくて、ネットで何度も調べたことがある。「ニート」「働けない・仕事」「生きることしか出来ない」「生きてるだけ」「引きこもり」等、一見関係なさそうなワードでも、色々な角度から検索をした。しかし、結局答えはでなかった。因みに、俺はニートや引きこもりではない。――なぜニートや引きこもりではないと言える?それはここでは考えないでおく。……俺は働けないのだ。収入だけは少しある。これ以上はあまり言いたくない。


 誰か同じように悩んでる人はいないだろうか。今度は仲間を探しに再びネットの中に飛び込む。思いきり深い深いところまで。結果、仲間は沢山いた。しかし、深く深く調べすぎた。仲間の多くは、その人なりの「仕事」を持っていた。それは、俺から見たら立派な「仕事」だった。俺は、仲間の「仕事」を見つけるたびに、孤独を感じ、寂しくなった。今の俺では、そういう「仕事」があるのだと、参考にして活かすこともできない。
 その後は、残るネット仲間の会話を、ただただ覗くだけの日々が続いた。
 いつだったか、誰かが良いことを言っていた。記憶が曖昧で、うまく言えないが、「税金を払っている=仕事」だと。たとえ、色々と免除されていても、身近にある「食品」に含まれる消費税も立派な税金だと。大げさだが、仕事だと。そして、「自分のお金を何かに使う」ことも、仕事だと。
 賛否両論、矛盾はあると思うが、この時の俺にとっては、とてもありがたい言葉だった。そうか、そうか。と、嬉しかった。
 その後、大きな不安が無くなり、「俺は、はたらいているんだ」「買うことが俺の仕事なんだ」と何度も言い聞かせると、自分に自信がついた。
 ――しかし、「お仕事は何されてるんですか?」「職業を選んでください」の呪縛からは逃れられなかった。

 今思えば、あの時の俺は必死だった。社会から疎外されている気持ちが強かった。友人からも。会ったことがない、全ての人間からも。誰も何も俺に直接言っていないのに。しかし、ネットを調べる中で、働いてない人への世間の声を知ってしまった。
 だから、今の俺の存在を正当化したかった。今の俺の仕事を見つけたかった。必死に必死に。何度も泣いて、泣いて。

 俺は何故、この「はたらいて笑顔になれた瞬間」というテーマに投稿しているんだろう。テーマの対象から外されないだろうか。それこそ、第三者から直接何か言われないか、正直怖い。しかし、何故か書きたくなった。この投稿は、誰かへの訴えなのか。それとも、誰かに、俺自身に、何か意味があるのか、それはわからない。ただ、テーマを見て、何故か書きたくなった。書けないはずの俺でも、何か書けることがあるんじゃないかと。

 ――じゃあどうやって書ける俺にする?何を書く?そろそろ、テーマと俺のことを考えよう。

 ――今の俺なら考えられる。
 ずばり、俺の「仕事」は「生きる」こと(笑)!!!少し、強引で開き直っているかもしれないが、あの時の俺とは違う。あの時より少しだけだが、それでも確かな自信がある。あれは、俺のためになる自信ではなかった。テーマに合わせようと無理はしていない。
 ま、実際はそこまで大げさに変わってはない(笑)。まだまだ、世間の俺を見る声に怯えてはいる。ちゃんとした「仕事」も欲しい。それに、「お仕事は何されてるんですか?」に対して「生きてます!」とは言えない(笑)。しかし、誰かに認めてもらうのは、もうやめたいんだ。世間はそこまで俺の「仕事」に興味はない。まだまだ、堂々と生きるのは難しいが、時の流れがきっと俺を変えてくれる。生きていれば、誰かと出会い、何かを知る。それらが俺を落ち込ませることもあるだろうが、きっと前向きに変えてくれる。現に今、こうして「自分」をさらけ出して投稿できるようになった(笑)。これは俺の中での前向きだと思う。なんだか、すごい壮大なことを言っているようだが、内容は薄いな(笑)。なんで今の俺があるかは、結局はっきりとした理由はわからないな。やはり、しっかり「仕事」を持って「はたらいている」人の方が、説得力ありそうだ(笑)。書いていて恥ずかしい…(笑)。

 最後に、「笑顔になった瞬間」はいつか。それは今だ。後半の文に「(笑)」が増えたのがその証。「(笑)」を書くたびに、俺は笑顔になれている。正確には、「ずばり、俺の「仕事」は「生きる」こと(笑)!!!」が、最初に笑顔になった瞬間だ。照れ笑いも含まれているが(笑)。

 いつか、今の俺に出来る「仕事」を見つけて、本当の意味で、ちゃんとこのテーマにもう一度投稿したい。まぁ、焦らず行こう。見つけられなくても、俺は生きることは出来る。
 そうだ、「お仕事は何されてるんですか?」って聞かれたら、「内緒♪」って答えてみるか(笑)?相手はドン引きするだろうなあ(笑)。しかし、結局その時その場限りの会話で、その後俺のことは忘れてるさ(笑)。職業の「その他」の欄にも「内緒♪」って書いてみたいな(笑)。さすがにダメだけどさ(笑)。
 ま、うまく書けなかったが、一つの「はたらいて笑顔になれた瞬間」の形をここに投稿する。

―完―

補足:「仕事」=「はたらいている」


 

#はたらいて笑顔になれた瞬間

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