初めて「あなたにお任せするわ」と言われた日のこと
私は社会人になってからずっと広告営業をしている。
一度の転職を経て今は取材・ライティングや企画決めなどもしているが、引き続き営業も行っている。育休で2回2年ずつほど抜けているのだが、合計するともう10年以上になるのだろうか(恐ろしや)。
経験も積み、色々慣れてしまっている私ではあるが、それでも初めて「あなたにお任せするわ」と言われた日のことは覚えている。
今日はそのことについて書きたいと思う。
新卒入社したのはインターネット求人広告の会社。私はこの会社のしっかりと取材された求人原稿に惹かれ、若いうちにたくさんの経営者の話が聞けるなんてめちゃ良いやん!と入社を決めた。
今でこそ、その業界では大手(まぁ当時もそうやったんかな)なのだが、当時はまだ伸び盛り。イケイケどんどん!といった社風。
採用人数が多い時期で、同期が大阪では20名くらいだっただろうか。とにかく濃ゆい面々。まだ若い会社だったので一瞬の研修とOJTを経て、一気に社会というサバンナに一斉に放たれた。生き残りをかけたサバイバル!みたいな、そんな感じ(個人の感想)。
チームに配属されて、直属の上司(Hさん)が決まる。
リストを渡され、とにかく新規電話の日々。アポイントをとらなくては仕事が前に進まない。
自分で入社を決めたんだし、「まぁとにかくやるっきゃない!」の精神で日々過ごしていた。
そんな中、初めてアポイントをいただけたのは、小さい印刷会社だった。
有限会社で社員も5名程度。電話には社長さんが出られて、「事務員が辞めて困っている」ということでお時間を頂戴する。
アポイントには上司(3歳上の男性)と一緒に行くことになった。
全然メジャーではない駅で降り、少し歩き小さいビルを2Fへ階段を上ったところに事務所があった。すると人が良さそうだけど、愛想は良くない社長さんが迎えてくれた。少しぶっきらぼうな感じ。おそらく当時40代くらいだったと思う。
アイスブレイクもそこそこに、Hさん(上司)が先方の状況を聞きながらサイトの説明を始める。
「とにかく困ってるんよ。一人ではもう回せない感じで。事務さんが欲しい」
社長のそんな話を聞いているうちに私の中に「この人の力になりたい……!良い人を採用しなくては!」という使命感に似た想いがふつふつと湧き上がってきていた。
そして、上司が一通り説明を終わったかな……と一瞬間が生まれたタイミング。
そこで私は特にふられてもいないのに、突然社長に伝えたのだ。
「お話をお聞きして、社長のお力になりたいと心から思いました……!私に任せてもらえませんか?」
いや、自分全然説明してなかったやん。いきなり、大事なところ勝手に言うやん。
Hさんも社長もそう思ったかもしれないが、自然と口から出ていた。
社長は一瞬驚いた顔をした後、笑顔になった。上司も隣でちょっと笑って「実はこの子初めてのアポイントなんです」と説明をしていたように思う。
そして、少し間を開けて社長はこう言ったのだ。
「うん、じゃあ、今回はあなたにお任せしてみようかな」
この瞬間は今でも鮮明に覚えている。これが仕事を任されるということ。営業として一歩を踏み出した瞬間だった。
「お客さんにしっかり寄り添って、ちゃんと自分の言葉で想いを伝えられる営業って強いよなぁ。しばまるはそれができる営業になると思うよ」
商談の帰り道にHさんが私に伝えてくれた言葉。細かいところは違うかもしれないが、そのような内容だったと記憶している。よし、そんな営業になろう!そう思った社会人1年目の私。
結局その案件は、社内のクリエイティブコンテストで何回も入賞しているような、大阪責任者のライターさんが担当してくれた。採用課題を逆手にとったような素敵な原稿が上がってきて感動。そして、応募もちゃんとあって無事採用成功、その後も何回か求人が必要な際に掲載をお願いしてくれる大切なお客さんになってくれたのだった。
「ハードワークで心を失うんじゃなくて、ハートワークをしよう。気持ちが入った仕事は、ちゃんと相手に伝わるから」
これは、上司が私にいつも言ってくれていた言葉。そして「しばまるは自由にさせた方が良い」といつも私の意向を尊重してくれていた。今思い返しても一人目の上司がHさんで本当に良かったなぁ。感謝しかない。
経験を積んできた分、得たものもあれば、同時に失っているものもある。
初心を忘れてくたびれている時は、がむしゃらに頑張ってた当時の記憶を、そしてこの日のことを思い出す。すると、不思議とまた一歩、前に進める気がするのだ。
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今回、この記事は以下の企画に参加させていただいたものです。
私noteを始めて1年と2ヵ月くらい?経つのですが、実は企画ものに参加したことがなく……。いつも読んで楽しませてもらってるばかりで……。
今回恐る恐るにはなりますが、企画初参加です。
コメントでやりとりさせていただいているmayuさん。
色んなことに軽やかにチャレンジされていて、考え方などに共感させてもらうことも多い、とても素敵な女性です。
バトンを渡していただき、初めは正直「ぎょぎょ!」と思ったのですが、せっかくなので書かせていただきました。チェーンナーさんこんな感じでよろしいんでしょうか……?
そして、バトンを渡す、という企画でして……。
せっかくなので、パパ防災士 牛尾さんの紹介へとつなげれたら……!と思い、このエピソードを書きました。
まさに“ハートワーク”。
志を持って活動されて、気持ちの込もった発信をされている牛尾さん。仕事・育児もされながらボランティアで防災士として活動されています。尊敬です。
そんな中noteサポートプログラムに応募されたということ(最新記事ではないですが、この記事を貼らせていただきます)。牛尾さんの想いが運営さんに届くことを祈って……!
こんな流れで突然すみません、なのですが、牛尾さんバトン受け取っていただけますかね……?無理な場合は、その旨をコメント欄に記入してチェーンナーさんにお返ししても全然良いみたいです。なんでくれぐれもご無理のなきよう!!
ほんでめっちゃ文字数多くなってしまった!やばし!
いやはや、長文最後までお目通しいただいたお優しいお方、本当にありがとうございました。