CASEに関わる最新海外動向 (2022年3月)

2022年3月8日～2022年4月12日

この期間の重要な動向

■ ロシア禁輸により、石炭、天然ガス、金属資源が高騰し、他地域に供給を求めるも、急な増産は出来ず、急激な価格高騰に結びつき、自動車生産や他産業にも大きな影を落とす。

• 中国工業情報化省は、中国業界団体、原料供給会社、電池メーカーと、リチウム価格を「合理的に戻す」方法を協議した。

• 米国は、電池の素材(リチウム、ニッケル、グラファイト、コバルト、マンガンなど)を国防生産法の対象とし、鉱山会社が生産性や安全性の向上、フィージビリティ・スタディの資金としてファンド($750M)を利用できるようにする計画。(これもあり、Teslaは採掘事業を開始するかもしれない)

• ドイツは2030年までのクリーンエネルギーターゲットを65%から80%に引き上げた。一方、天然ガスを消費する化学、金属加工、食品産業を中心に、何千もの企業、無数の製品、何百万もの雇用が危機にさらされている。

■ 2022年後半には、世界中で毎月100万台近くのEVが追加され、2022年末には、2,600万台以上のプラグイン車 (BEVとp-HEV)が走行すると予想される。

• ガソリン価格の高騰で、EVへの需要が急拡大しているが、供給は追いつかず、米国・中国でEVが値上がりし、納期は長期化している。

• Teslaは全製品を$2000～$10,000値上げしたが、概ね年内は売り切れ。

• 米国市場で手頃な価格と入手しやすさを重視する顧客は、マイノリティな小型および中型セダン、あるいは中古車を購入している。(但しこれらの値段も上がっている)

• 原油価格の高騰に対して、低コストEVが出てくることにより、今年末から来年にかけては、EVの販売台数が大きく伸びる可能性がある。

■ EV用バッテリー製造への投資が更に拡大。

• CATLは既に145GWhで稼働しており2026年までに更に579GWh分を建設する手続き中。

• 更に、CATLは、北米に$5Bのバッテリー工場(80GWh)を建設する為に、候補地を探している。

• VWは、スペインにeモビリティハブを設立する予定で、バレンシアのバッテリー工場(40GWh)の建設を含む€7B（約$7.7B）以上を投資。

• 更に、VWは中国企業2社と、バッテリーの主要原料であるニッケルとコバルトの生産・精製を行う合弁会社を設立することで合意。160GWhの電池相当。

• StellantisとMercedes-Benzが支援するバッテリーベンチャーACCは、2030年までにフランスとドイツにそれぞれ40GWh、イタリアに120GWhの生産能力を確保。

• 更に、Stellantisは、Samsung SDIと米国で40GWhの生産能力を持つ工場を建設。

• LGは2025年までに北米で少なくとも200GWhを生産する計画。

• Northvoltはドイツに60GWhの工場を建設する計画。

• Teslaはベルリン工場に隣接して50GWhの工場を建設する見込み。

■ 電動バイク用交換バッテリーの競争が拡大。台湾Gogoroが事実上の標準化する可能性があり、ナスダックにも上場。

• 国内ではホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキが発表。

• インドでは、2分間でのバッテリー交換がEスクーターシフトを促進。

• Kymco、Silence、Rayvolt等の企業が電動バイク用交換ナッテリー市場に参入。

以下詳細です

◎◎◎ 米国の動向 ◎◎◎

• バイデン大統領、1950年の国防生産法 (DPA: Defense Production Act)を利用して電池の金属を強化する構え 

• 米国、新車の排気ガス規制強化を発表 

• 自動車の希望小売価格が$41,000以上に高騰し、さらにディーラーが価格を吊り上げる 

• EVは米国のほとんどの消費者にとって手の届かないもの 

• 米国ではガソリン価格の上昇に伴い、EVが3〜6倍安く運転できるようになった 

• 原油価格の高騰に対して、低コストEVが出てくることにより、今年から来年にかけては、EVの販売台数が大きく伸びる可能性がある 

◎◎◎ 欧州の動向 ◎◎◎

• 欧州自動車販売台数、戦争による供給不足の悪化で月次最低に 

• ウクライナ工場の操業停止により、欧州の自動車生産の15％が危機に瀕している 

• IntelとNorthvolt、ドイツに流れる億単位の資金

◎◎◎ 中国の動向 ◎◎◎

• 中国政府はEV用電池チェーンに「合理的な」リチウム価格を要求 

• 中国の電気自動車市場において、今購買を躊躇する者は損をするかもしれない 

◎◎◎ EVの動向 (Tesla) ◎◎◎

• 依然として米国のEV市場を支配しており、その差は歴然としている 

• 困難な四半期にもかかわらず31万台のEVを納車し、歴代最高記録を更新 

• 多くのモデルが、米国で値上げ後も2023年まで売り切れ 

• Full Self-drivingベータの大型アップデート(10.11)を開始

• 実際にバッテリー用金属の採掘事業を開始するかもしれない

• ニッケルの危機を秘密裏に回避し供給源を確保

• 4月7日、最初のテキサス製Model Yを出荷開始 

• 3月22日、Tesla初の欧州工場をオープン、Model Yを出荷開始

• Elon Musk氏は2023年をCybertruck, Roadster, Semiの大量生産の年とした 

• ロボタクシー専用車として、新しい先進的なEVを開発する予定 

• Optimus Humanoidの生産開始目標を2023年に設定 

• 欧州でTeslaがFSDの認可を得るまでには紆余曲折ある 

• 中国での充電器大幅増設が販売増に貢献 

• 英国のすべてのEV所有者にTesla スーパーチャージャーネットワークを近々開放すると政府関係者が発表

• 2022年EV Miles Reportによると、最も手頃な価格で走れるEV20車種でトップがTesla Model 3 

• 不安定な電力網を避けるために、ギガファクトリー・テキサスで大規模なメガパック・プロジェクトを計画 

• Herzは「Model 3」10万台の巨大契約に続き、「Model Y」を保有車両に追加 

◎◎◎ EVの動向 (VW/Porsche) ◎◎◎

• VWチャイナは、バッテリー原材料のサプライチェーンに関するJVを計画

• VW、スペインのEVハブに$7.7B投資 

• VW、アシスト運転や充電の改良を含むID向けソフトウェアアップデート「Generation 3.0」を発表 

• VW、PorscheのIPOに向け投資銀行を選定

• PorscheがMacanと718のBEVを開発中 - 独自の充電ネットワークも構築

◎◎◎ EVの動向 (Mercedes-Benz) ◎◎◎

• MercedesはEQアーキテクチャを採用した初のAMG EQSの価格を公開 

• Mercedesは新たにクルマの賢い発進方法を開発

• Mercedes-Benz、ロサンゼルスでインテリジェントパークパイロット技術を披露し、EQSの自動バレーをデモ走行 

◎◎◎ EVの動向 (BMW) ◎◎◎

• T-MobileはBMWと提携し、米国初の5Gコネクテッドカーを開発 

◎◎◎ EVの動向 (GM) ◎◎◎

• 前四半期に457台のEVしか納入していないが、今後さらに増えると断言

• GMCはHummer EVの予約を6万5千台以上獲得、ピックアップ版は2024年まで既に完売 

• LyriqはCadillacブランドに新たな関心を呼び起こすと期待

◎◎◎ EVの動向 (Ford) ◎◎◎

• F-150 Lightningの$40,000のベース車両は、EPA航続距離230マイル <300マイルと言っていた>

• 欧州でさらに複数のEV計画を共有、トルコに大規模な商用車用バッテリー工場を建設するJVを発表 

• FordがVWのMEBプラットフォームを採用したEV第2弾を発売

• 自動運転と新技術を開発するユニットを設立 

• Fordの水素エンジンはMustang V8を救うかもしれない 

◎◎◎ EVの動向 (Stellantis/Maserati) ◎◎◎

• Maseratiは、2025年までに全モデルにBEVバージョンを提供し、2023年にはGranTurismo EVとGrecale SUV を出荷開始する予定 

◎◎◎ EVの動向 (Renault) ◎◎◎

• Renaultの$2.4B相当のロシア資産は、毒性が強すぎることが判明

◎◎◎ EVの動向 (中国系) ◎◎◎

• BYDはEVシフトに伴い化石燃料車の生産中止を決定 

• BYDとShellが提携し、中国と欧州でエネルギーと充電のソリューションを拡大 

• NIOは、来週の納車に向けて「ET7」セダンの初回生産開始 

• XPengはこれまでの2年間で10万台のP7を生産、特別記念仕様車「Black Label Edition」を発表 

• ロータス、BEVの新型ハイパーSUV「Eletre」（Type 132）を公開

◎◎◎ EVの動向 (韓国系) ◎◎◎

• 米国人には十分な台数のKIA EVを買えない

• Hyundai、合成燃料について素晴らしいニュースを発表 (合成燃料をメインに据えるとは言っていない)

◎◎◎ EVの動向 (トヨタ) ◎◎◎

• トヨタのHEVへの賭けが正しかった事は、米国市場でのシェアの大幅な増加によって証明された 

• ガソリン価格上昇でハイブリッド車販売に勝利の予感 

• BEV「bZ4X」を発売、価格は$42,000から 

• BEV「bZ4X」でバッテリーの耐久性を強調

• EVへの移行でも英国にとどまると発表 

◎◎◎ EVの動向 (ホンダ) ◎◎◎

• EVに400億ドル、固体電池に3億4000万ドルを投資するが、2030年代までハイブリッド車に依存する予定

• GMと数百万台の小型EVを共同開発する計画を発表 

◎◎◎ EVの動向 (日産) ◎◎◎

• 2028年にEVに搭載する計画の個体電池のプロトタイプ施設を発表した

◎◎◎ EVの動向 (その他) ◎◎◎

• 世界のEVの累計台数はもうすぐ2千万台を超える

• 中南米とインドでのEV販売増に楽観的

◎◎◎ バッテリーの動向 ◎◎◎

• CATLは、米国進出をほぼ歓迎されている

• CATLが$5Bのバッテリー工場用地を検討中

• 中国のEVメーカーLi-Autoが、(CATLの)電池の値上げを「ばかげている」と発言 

• 中国、EV用バッテリー大手が相次いで上場

• MercedesとStellantisは、イタリアを拠点にバッテリー合弁会社を設立

• StellantisとLG Energyがカナダで$4.1Bの電池合弁会社を設立 

• LGはミシガン州のEV用電池工場で$1.7Bの増強と1,200人の新規雇用を発表

• Teslaの共同創業者で元CTOのJB Straubel氏が、EVのバッテリーは約15年持つはずだと発言

• 中国が本当に心配している電池の金属は、ニッケルではなくリチウム

• ニッケルが12％下落、ロンドン取引開始直後に不具合

• LG、EV用バッテリー発火のリコールに関して米国での審査が厳しくなる 

• トヨタ、スバル、マツダ、環境に優しい燃料にこだわる

• Gogoroは、世界初のEV用交換式個体電池を発表

◎◎◎ 充電インフラ/バッテリー交換の動向 ◎◎◎

• 世界有数の交換型小型EV用電池メーカーGogoro、4月5日ナスダックに上場

• ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキは電動バイク用交換可能バッテリーを発表

• 2分間でのバッテリー交換がインドのEスクーターシフトを促進

• Geelyは、セメントミキサーのような大型EVのための3tのバッテリーパック交換ステーションを展開している

• Electrify Americaは、ディスプレイ、ケーブルマネジメント、ソーラーなどの設備を強化した新しい充電ステーションを発表

• トヨタ、BEV SUV「bZ4X」の米国発売を前に、EV充電でChargePointと提携

◎◎◎ ADAS/自動運転の動向 ◎◎◎

• ロボットトラックは、米国で50万人の雇用を代替する可能性がある

• Cruiseを追いかけるWaymo、サンフランシスコで完全無人運転を計画 

• GM、ソフトバンクのCruise株式持ち分を$2.1Bで取得 

• Auroraが開発中の自動運転Sienna、トヨタのお墨付きをもらう 

• LucidとBYDはNVIDIAの自動運転プラットフォーム「DRIVE」を採用予定

◎◎◎ EVトラックの動向 ◎◎◎

• Volvo Trucks、Maerskから過去最高の電気自動車を受注

• Mercedes-BenzはトラックのEV化をリードすることを目指し、EVトラック「eEconic」の発売を準備中

◎◎◎ エネルギー関連の動向 ◎◎

• ロシアはウクライナの再生可能エネルギーの約半分、約$6B相当を破壊する可能性がある

• 2021年に50カ国の電力の10％を太陽光と風力で発電

• 欧州のロシア石炭禁止は、世界のエネルギー価格の上昇を予感させる

• ドイツは2030年までのクリーンエネルギーターゲットを65%から80%に引き上げた

• 最悪のシナリオに備えるドイツの産業界

• 天然ガスはなかなかやめられない習慣 

• アジアの石炭価格はEUによるロシア禁輸による世界的供給リスクにより高騰 

• エネルギー専門家はEVが米国の電力網に過負荷をかけるとは予想していない 

• 日本での原子力発電再稼働への期待が現実性チェックに直面している

◎◎◎ その他 ◎◎◎

• VWからJP Morganまで、ニッケルのショートスクイーズを支えた人物は誰か？ 

• 増加している自動車事故による死亡者数は新しいEV車種の拡大で更に拡大する可能性がある

• IPCCの新報告書によると、風力、太陽光、EVで破滅的な気候変動を防ぐことができる 

• Michelin、ロシア事業を一時停止。フラッグキャリアであるAeroflotの航空機用タイヤの供給契約を凍結する事になる