緊張状態からの症状⑤子宮周りの症状

自律神経が本能的に身体のあらゆる部位を操作してくれている、というのはおおむね理解できているかと思いますが、腹部にある臓器の一つ一つも例外ではありません。
女性の身体の中で、特に自律神経の緊張状態の影響を強く受けてしまうのが子宮、卵巣などの女性器です。

子宮及び卵巣の存在意義は子孫を残す、という一点のみ。
実際、男性の身体には存在しないということからもわかるように、子宮や卵巣はそのものが存在しなくても生命としての維持機能にはほとんど問題がありません。

生物が生きる最大の目的は子孫繁栄です。
しかし、そのプログラムが実行されるには
・個体が十分に成熟した状態に育っていること
・個体の栄養状態が十分に満たされていること
・個体の安全安心が十分に確保されていること
などの必要不可欠な条件があります。

十分に育っている、とは内蔵、筋肉、骨格などが子孫を残すために必要な状態まで成熟していることです。日本人であれば概ね12~17歳前後で生理がはじまり、身長の伸びが落ち着いた頃が成熟の目安になります。

栄養状態が十分、というのは、毎日定期的に栄養が運ばれている(食事をしている)、数日間栄養が途絶えても耐えられる程度の筋肉、脂肪が蓄積されている、必須な栄養素(脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)が足りている、ということです。
体脂肪が極端に少なかったり、栄養が偏ったり、食べられないタイミングが断続的にあったりすると、身体が子孫を残すことを後回しにしてしまいます。

安全安心が十分、というのは、衣食住が整っており、かつ日常的な驚異にさらされておらず、リラックスした状態でいられる、ということです。
ストレスが強く、慢性的な緊張状態にあると、この条件が満たされず、万が一妊娠した場合、個体が逃げ遅れたり、さらなる危険にさらされてしまうことを恐れて妊娠を中断(流産)させたり、受精卵の着床を拒否したり、排卵を中止したり、といった状況を引き起こします。

また、身体の水分や酸素が不足すると、最初に脳、心臓や肺、その次に胃や腸の消化器官、肝臓や腎臓などの解毒器官、と緊急性の高い臓器に優先的に届けようとします。その優先順位の最も低い臓器が子宮や卵巣、乳房などの生殖器官です。
酸素が絶たれることで卵巣からの排卵が遅くなったり、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンが産生できにくくなります。
子宮も水分が不足すると組織が硬直し、収縮運動ができにくくなります。収縮運動によって内膜を剥がして経血として排出するため、生理時の出血が終わるのに時間がかかったり、剥がれ落ちきらずに残留してしまうと子宮内膜症、残留しすぎて卵管を通して経血の逆流が起こると卵巣嚢腫、などに発展していきます。
子宮内が脱水で硬くなっていると、受精卵が来ても毛細血管を伸ばせないためうまく着床できず妊娠しにくくなります。
また、骨盤と子宮をつなぐ靭帯が動かされる時に子宮が硬くなっていると無理な引っ張りが生じ、強い痛みを感じます。

このように、自律神経の緊張状態と子宮周りの症状は非常に密接に関係しています。
子宮や卵巣の硬さなどはレントゲンやエコーに写りません。
症状があるのに検査の結果、問題ないと言われてしまうケースも非常に多いのです。

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