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女子大ど文系、人材業界に新卒入社した私が建設会社を転職先に選んだ話

(〜な話、ってタイトルをいつかやりたかった)

なんでマイナビから建設業に転職したんですか?

学生さんに聞かれる質問no1
毎回それっぽい回答をしてきたけどなんでだっけ?と改めて考えてみました。

建設業との出会い

私は建設業界は未経験ですし、ど文系なので専門的な知識も資格もありません。就職活動でも人材業界一本だったのでこれっぽっちも眼中にない業界でした。

そんな私が建設業に惹かれ、いま籍を置いているきっかけとなった話を書き留めたいと思います。

当時私はマイナビで新卒採用の広告営業をしていました。従業員30名ほどの土木会社。HPでは採用していそうなのにテレアポでは「採用はしていない」の一点張り。建設業って受けブロ(受付のお姉さんが優秀で決済者になかなか繋いでもらえない様)多くない?

諦めきれなくてパンフレットと名刺、手書きの手紙を添えて飛び込みで受付のお姉さんに渡しました。社長に渡してください!と。

忘れた頃に社用携帯に電話がありモゴモゴ…
つまり話を聞きたいと社長が連絡をくれました。

若手の採用をしたいと思っていること
大卒の子は来てくれないと思っていること
媒体をだしても人が来ずに終わってしまうこと
何度も営業担当が変わることが不信感なこと

目は合わせてもらえなかったけど、1つ1つ言葉を選びながら話してくれて。だけど私はそんなことないですよ!とも言えずにすごーく重たい雰囲気が流れて。何を思ったのか「現場に連れて行ってもらえないですか?」とお願いしていました。

建設現場を見て思ったこと

ビックリ顔の社長と初めて目が合い、ちょっと考えてから「ついて来い」と。

車で30分ほど終始無言でした。
途中でコンビニに寄って大量の飲み物(アクエリアス、コーヒー、炭酸飲料など)と、何故か私にはどら焼きを買ってくれました。粒あん。

生まれて初めて見た建設現場、
素直に「すご……」と声が出ていました。
季節は7月の暑い中、何十人もの職人さんが汗水流して重たい鉄の板や機械を動かしていて。作ってるものは私には何だか全くわからなかったけれど、その空間はなんだかゲームの中のような、別世界に思えました。

不器用な言葉と、働く人の想い

何もできないし邪魔だし隅っこでぼーっとしていると、社長は引きちぎれんばかりのコンビニのビニール袋を抱えて飲み物を配り始めました。金髪の若い男の子には小突きながらコーラを、歳を重ねた色黒のお爺さんには手を取りコーヒーを、小太りな人の良さそうなおじさんには茶化すようにいちごミルクを。

1人1人に笑顔で声をかけて雑談をしている姿を見て「え…まさか1人1人差し入れの飲み物を選んでたんだ…」そう気がついた時になんか可愛い…となんか笑ってしまいました。(怒られるぞ)


「お嬢ちゃん、なにしにきたの?」
1人の職人さんに声をかけられて「えっと…現場を見てみたくて…」と答えるとパッと笑顔になり現場を案内してくれました。今何の作業をしているか、何のためにやっているか、いつ完成するのか、どれくらいの金額と人が動いているか。

こうやって若い子が自分達の仕事に興味を持ってくれることが嬉しい。社長だってあんな(無愛想って意味を指すと思う)だけどね、多分嬉しいんだと思う。

この業界の人は俺みたいなコミュ力高い人はあんまいないからさ〜皆照れ屋なのよ!でも皆自分の仕事に誇りを持ってる、いい仕事だよ。暑いし寒いし、大変だけどね〜!

みたいな話をしてくれた職人さんと、心配してヘルメットを持って後ろをつけてきてくれた社長の顔は今でも鮮明に覚えています。(危ないからチョロチョロするなと怒られた)

目で見てみないと良さって分からない

帰りも安定の無言でした。
けど、行きの30分とは違う空気でボソッと、

「採用できると思います。頑張りたいです。」

思うって頼りねえな!と初めて社長が私との会話で笑ってくれて、いつもその笑顔でいたら採用できるのに、と喉元まででかけてぐっと飲み込みました。

多分だけど、現場を見ずに「採用できます!」なんて言ったら一緒に仕事できなかったと思う。だってそれまで私は、30人の田舎の建設業に新卒で入社する大卒なんていないと思っていたから。実際に現場を見るまでは。

言葉数は少ないけれど毎日沢山の人と関わって、変化に注意して、人の命を守り、建物の完成までを導く仕事。だから言葉なんてなくても相手の考えていることを察する能力がとっても高いんだなこの職種の人は(施工管理職)、と思いました。

そのあと3年程その企業の営業担当をし、時には上手くいかずに怒られて、でも毎年数名の新卒が入社してくれました。社長は相変わらず無口だけど毎年新入社員が入ると「お疲れ様」と鰻をご馳走してくれました。あまり得意じゃなかったのですが「好物なんです」と食べた鰻の味は美味しくて。また食べたいな。

で、なんで建設業なんだっけ?

建設業の新卒採用って本当に採用が難しいんです。業界自体を志望している学生数が少ない。更にカシワバラを知っている人も少ないよね。だから人事をするなら、厳しい環境で知られていない業界や会社の魅力を伝える仕事がしたかったんです。


違う違う、なんだそれ。
私が転職したのはこんな理由じゃない。

建設現場で働く大人が、カッコよく見えた。
一緒に働いてみて、心地よかった。

シンプルにこれが理由です。
仕事自体も勿論かっこいいけれど、この業界で働く人たちの人の魅力に惹かれたというのが1番の理由。嘘がなく、真っ直ぐで、人思い。これって当たり前のように思うけど実際は簡単なことではないと思う。

毎年、マイナビでその企業の離職者の欄をチェックするんだけど今のところここ3年の離職者はゼロ。世の中が落ちついたら社長に鰻をご馳走しにいきたいなあ。その時は鰻じゃなくて寿司にして、どら焼きはこし餡が好きなんですって言えたらいいな。笑

なんて思いながら、負けないように頑張らなくてはと思いました。

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