マトリックス体験

頭に砂が入ったのは3年前


それはちょうど今頃


九州の湧水巡りの放浪をしていて、とっさに降りた田舎の駅で、何かに導かれるように山の方へ歩いていた

ふと、我に返り、この駅は帰りの電車の時刻がないんじゃないかと思って駅に引き返した

30㎝の側溝を普通なら一跨ぎで越えられるものの、そのときは土がぬかるんでいてズルっと頭から側溝に落ちてしまった

「ぱりーん」と壺が割れた音がして、「割れた」と思った

その瞬間、白黒のブロックチェックが見え、それが散り散りになり



沈んでいくわたしの姿と、起き上がるわたしの姿が分離して見えた

その分離シーンはスローモーションのようにゆっくりに見えた

そして起き上がる意識と共にもう一方の沈んでいくわたしの姿が見えた


起き上がったわたしは駅の方へ歩いて行った

駅を目指して歩いているというのにもう一方のわたしの様子が見えた

沈んでいくわたしは砂になって空気中に消えていった


駅に着いて電車を待っていると、ホームにいる人がじろじろ見てくる

「大丈夫ですか!!?」

というので

「どうしたんですか?」と訊くと

「血が・・・」と頭を指して言う

頭に触れると、血がべったりついて、

白いTシャツを着ていたはずなのに、赤いTシャツになっていて

大量出血なのだろう、意識が遠のき、視界が真っ白くなっていき、どんどん外界の音が聞こえなくなっていった


気付いたら救急車に乗っていて、脳外科で手術をしてもらっていた


わたしは病気しないので病院無くていいと思っているけど、

外科は突発的な事故で修理が必要な時、お世話になっているからこのようなときにはありがたい


もう何度白い世界へ行っただろう


息子は言う

「ママは死なないよ。独自の進化をしているだけだよ」と

「さすが我が子よ、わたしという生命体をよく理解しているな」


怪我して以来、頭の中で砂がシャカシャカいうようになった


最近、その頻度も音も近くなった

人にいうと精密検査を受けたほうがいいよ、という


病院には行かない。

医者に「もう一方のわたしが砂になって頭に入り込んだ」なんてこと話しても、理解できないだろうから

そもそも、ほとんどの人間は洗脳されたまやかしの世界に創造された作り物なのだから


でも、本当のことを答えてくれる人を求めている


真実が理解できる人間がどれほどいるのだろうか


それを探すことがわたしの喜びのような気がする


あのとき、何かに導かれていた

病院まで迎えに来た父が

「お前、どこに行こうとしよったとや?そこに行かないかんかったっちゃないや?いかんかったけん、怪我したっちゃないや?」と言っていた


どこに行こうとしていたのだろう?

山の方へ向かって歩いていた

地図を見ると、その山には「白山神社」とある

そこには菊理姫命が祀られているという


!!!


ここか!


分離したもう一方のわたしはあのとき、風化して一瞬で行ったのではないか?


そしてわたしの頭の中に戻って来た


戻ってきたのはわたしか菊理姫命


はたまた複合体か?


菊理姫命 


何者なのだろう?

もうすぐ、砂になったもう一方のわたしが蘇るような気がする


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?