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モノゴトを見る目〜今までと違うものが見えるようになりたいなら美術館に行きなさい。その5

クリムト展 2019年4月26日

今日の一枚は、ヌーダ・ヴェリタス (裸の真実)。

クリムトといえば黄金様式。この絵はクリムトが黄金様式にたどり着く前の作品 のようですが、日本の金屏風のように装飾的。

クリムトの絵は、女性のヘアまで描いていて、体のラインも強調されている。その結果、病的に感じてしまう程なのだが、それが今までになく官能的で、真新しい。

ヘアを描く生々しさは、年老いた女性の描写にも表れている。「女の三世代」という絵は、現実を直視したのでしょうが、年老いた描写が生々し過ぎる。しかも、年老いたことを絶望的であると言っている。どうも、この絵は、今日の一枚には選びたくない。

https://klimt2019.jp/works.html

しかも、クリムトの描くその女性が全然美しくない。

クリムトの目には何が見えていたのだろうか?

今回の美術展で原寸大複製が展示されていた「ベートーベンフリーズ」は、かなりスケールの大きな壁画で、それが複製だと分かっていても圧倒される。この「ベートーベンフリーズ」の正面に描かれた「敵意に満ちた力」という部分が、その中心だと思う。ここに、ゴルゴン三姉妹と、2人の女性と、デブの女性が描いている。この2人の女性は不貞と婬欲を表しているらしく、クリムトの他の絵にも同じような顔の女性が登場する。女性の美しさを描こうとするクリムトと、何度となく不貞と婬欲を描こうとするクリムト。クリムトの目には、女性の姿に、この2つが見えていたんじゃないか、そう思わせます。

また、クリムトは、日本の美術に影響を受けていたと言われていますが、クリムトの目を通して見ると、金を使った表現や、女性の美しさが、こんなにも違うものになってしまうのかと思わせます。

そんなギャップを感じつつも、あえて 1枚選ぶとしたら 、このヌーダ・ヴェリタス (裸の真実)。女性が裸であるってことは、つまり美しい(真実)ってことでしょ、という事で、分かりやすくて良い。

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