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2022年の栞

2年間を過ごした高校生たちと交わした「卒業式に東京ばな奈を持っていくね」というあの日の約束が、 結局コロナで果たされないまま迎えた、2022年。

気がつけば東京での社会人2年目も終わりを迎えようとしています。

オフィスから見える渋谷の夕景。遠くに見えるのは富士山

2022年を振り返ると、営業から企画に異動したり、鹿島アントラーズ様のレジェンドとサッカーをしたり、 めちゃくちゃ濃い1年間だったんですが、

ジーコ氏。親睦試合で「ジーコ!」って呼んでパス受けた最高の思い出。

ライフワークの「地域×教育」という領域でもいろいろな経験をさせていただいたので、 noteではこれをメインに書こうと思います。 本業やプライベートのはなしは、会ったときにでも聞いてください。

日常のなかにある「まなび」

夏と秋に、それぞれ東北に行く機会がありました。

8月に訪れたのは、秋田県五城目町。
さとのば大学のLearning Journeyというプログラムで、2泊3日滞在させていただきました。

廃校となった旧馬場目小学校を利活用した「BABAME BASE」

特におもしろいなと感じたのは、 遊休不動産をリノベーションした「ただのあそび場」や、廃校を利活用した「BABAME BASE」など、まちにあるものを再発見・再構築した空間が、みんなの「場」になっていること。そしてその「場」としての機能がとても高いこと。

一言でいえば、「ボーダーレス」な場。 いろいろなものの境界が曖昧で、それが心地よさや人間らしさを生み出しているんだろうなと感じました。

たとえば、「こども」と「おとな」
たとえば、「あそび」と「まなび」
たとえば、「しごと」と「暮らし」

電気工事士資格を持っている子、
ハイクオリティな料理を提供してくれる、シェフ見習いの子どもたち。
おとなも、地元の人から移住してきた人まで。
元Jリーガーがいたり、多拠点生活している人がいたり。
九州からひと夏のあいだ単身で訪れている高校生も。

それぞれが当たり前に多様な生き方をしている、それでいいんだと思わせてくれる、そんな環境でした。

キッチンに立つのは子どもたち。おとなもこどももみんなで暮らしている。

10月に訪れたのは、岩手県紫波町。
五城目のプログラムを引率してくださった紫波在住の方に案内していただき、3泊4日。新たなランドマークである複合施設「オガール」や、昔ながらの味わいを残す「日詰商店街」など、歩いていてとても楽しいまちでした。

そのなかで特に琴線に触れたのが、古民家をリノベーションした「YOKOSAWA CAMPUS」。 一見すると、かわいらしい軒先や小さな土間が特徴の、素敵なカフェです。

温かい雰囲気のカウンター。土間になっているこちら側がカフェスペース。

コーヒーやお菓子もとっても美味しいのですが、 実はシェアオフィスやコワーキングスペースも兼ねていて、 カフェスペースの奥にはまた別の空間が広がっています。

土間にあるカフェスペースから靴を脱いで上にあがると、また別の空間が。

この、一見するとカフェだけれど実はそれだけではない、というカモフラージュを意図的におこなうことで、「場」にくることへのハードルを下げるという仕掛けは、心の底から「なるほどなぁ…!」と思いました。

もちろん、きちんと機能するために、カフェとしてのクオリティーにもこだわっていて、だからこそ、紫波という地域やそこで生きる人々の文脈に沿うことができているのだと思います。

五城目と紫波、東北の2つのまちを訪れて、 日常のなかにある「まなび」と、それを支える「場」の大切さに、改めて気づくことができました。

おとなと高校生の目線を「近づける」

詳しくはここでは語りませんが、僕はファーストキャリアを決めるときに、1番興味関心がある教育という領域から敢えて1回離れるという選択をしています。 そのため、子どもたちとかかわり続けるには本業の外で意図的に時間をつくるしかないのですが、ありがたいことに2022年はそれがバランスよくできた年でした。

①高校の授業(登壇)
首都圏の高校で、7月と12月に1校ずつ、座談会形式のキャリアの授業にお声がけいただき、 はたらくこと・進路・キャリアについておはなしさせていただきました。

②公営塾のイベント(企画運営・登壇)
12月に、「DoCAMP」というプログラムの一環で、愛媛県鬼北町の公営塾の生徒さん向けに、 オンラインイベントの企画・実施をさせていただきました。

③高校生向けの学外イベント(企画運営)
大学時代から手がけている「ふくおかキャリア共創ラボ」という高校生向け進路イベントを今年も企画し、 12月に第1回を開催することができました。

「人生をデザインするということ」。高校での座談会形式の授業前の風景。

別々のイベントではあるものの、 共通して意識していたのは、おとなと高校生の目線を「近づける」ということです。

これらのイベントのメインターゲットは、高校1年生(15歳〜16歳)。 僕も今年で24歳になったので、彼ら・彼女らとは8歳〜9歳ほど年齢が離れてしまいました。 正直、高校生の感覚とはズレているんだろうなと感じることも多いです。
一方で、基本的にこういうイベントを企画するのは、教育に想いがあるおとなです。

そのため、「こういうことを感じてほしい」「こういう子に育ってほしい」というおとなの想いが、 高校生にとっては興味を持てなかったり、意味を見出せなかったりすることが往々にしてあります。

企画のコンセプトを考えたり、プレセン内容を練ったりしながら、 おとなの想いと高校生の興味、この2つの目線をどう近づけるかをぐるぐる思考していた気がします。

おとなと高校生の関係性は、そこに集まる人々や環境によって可変的だからこそ、 なにか1つの「正解」があるわけではありませんが、 自分が「おとな」になってしまったことを自覚して、思考し続けたいなと思います。

手触り感とマネタイズ、二兎を得ることのむずかしさ。

教育を語るときについて回るのが「マネタイズ」ではないでしょうか。 経済的な持続可能性をどうつくっていくか。平たく言うと「どうやって稼ぎ続けるか」。

特にこどもの教育は、保護者がお金を払うことがほとんどなので、 成績向上や進学といった分かりやすい成果を保護者に感じてもらいやすいビジネスモデル(進学塾とか)は成立しやすいです。

一方で、探究学習のような成果が目に見えにくいものを提供しようとしたり、 保護者に金銭負担をかけないようにしたい、経済的なハードルを下げたいと思ったりすると、 その仕掛けやマネタイズがとてもむずかしいなと思います。

2022年は、先述したような機会で出会ったひとと話したり、大学の先輩と定期的に「教育勉強会」を開催したり、気になる実践をしている企業とカジュアル面談をしたりして、自分の思考を少しずつ深めていくことができました。

2023年は、まずは小さく、マイプロをかたちにする年に。
「地域×教育」という軸はそのままに、いくつかやりたいことを考えているので、またそれは次のnoteに書きます。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
最近、自己紹介もアップデートしたので、よければどうぞ。

それでは皆さま、良いお年を。
2023年もよろしくお願いいたします。


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