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9月26日放送分『青天を衝け』プチ解説

毎回思うのですが、今回の大河ドラマはよくできていると感じます。シリアスなシーンがあったかと思えば、コントのような笑いのシーンもある。思わず引き込まれてしまうその内容は、やはり脚本と演出が良いのでしょうね。

さて、ついに渋沢栄一が新政府に出仕します。実際に三条実美や岩倉具視らの会議の場に出ていたかはわかりませんが、ドラマでは公家らに喧嘩を売っていましたね。同席していた松平春嶽、伊達宗城ら旧大名らの表情が驚きと期待に満ち溢れたものであり、かつての幕藩体制の良き時代を思い出させるシーンとなっていました。

ということで、今週も『青天を衝け』プチ解説に参ります。

1.版籍奉還

御一新直後は各地に大名の力が依然として残っていましたが、土地(=版)と人民(=籍)を朝廷に返還することが決まりました。これが版籍奉還です。しかし、旧藩主をそのまま知藩事としたことから影響は限定的であり、不完全なものに終わります。これが、のちに断行される廃藩置県への布石となります。

2.榎本武揚

旧幕臣であり、五稜郭の戦いまで参戦した人物。蝦夷共和国総裁。戦争終結後に降伏し、投獄されます。本作では三条らの会議の場で名前だけが登場しました。のちに黒田清隆(薩摩)らによって出獄し、北海道開拓事業などを手掛けます。そのあとは駐露特命全権公使や駐清特命全権公使などを歴任し、第一次伊藤内閣では逓信相として入閣。このように、旧幕臣としては異例の出世を遂げた人物です。

3.西園寺公望

最後の元老(天皇の最高顧問)。公家出身。ドラマには登場していませんが、戊辰戦争では北陸・会津の戦争に参戦。1869年時点では私塾である立命館(現・立命館大学)を創始しています。のちにフランスにあるソルボンヌ大学に留学。伊藤博文がつくった政党・立憲政友会の創立にも尽力しました。自身も首相となり、桂太郎と代わる代わる組閣する桂園時代を築きます。1940年に92歳で亡くなるまで、元老として日本政界に隠然たる影響力を持ちました。

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以上、『青天を衝け』プチ解説でした。大河では時間とストーリー上、かなりの部分が省略されています。シンプルだからこそわかりやすく、面白いドラマになっているわけですが、だからこそドラマに登場していない人物にも目を向けたいものです。

個人的には会津が省略され過ぎなところが寂しいです。山川健次郎(東京帝国大学総長、貴族院議員を歴任)など、優秀な人物を輩出しているので…。ぜひとも本作に少しでも登場してほしいところです。

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