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なぜあおば通駅の表記は「Aobadori」で、青葉通一番町駅の表記は「Aoba-dori」なのか

普段何気なく利用している、仙台市内の電車。筆者はふとホームの駅名標を見て、気になったことがあります。それは、あおば通駅は「Aobadori」と書かれているのに、青葉通一番町駅は「Aoba-dori Ichibancho」と書かれていること。何故、片方にはハイフンが入るのに、もう一方にはハイフンが無いのか。非常に気になりました。

筆者はさっそく、ネットで情報収集してみることに。しかしながら、有力な情報は得られませんでした。そこで、仙台市図書館のレファレンスサービスを駆使し、なぜこの2駅の英語表記が異なるのか調査してもらいました。

「青葉通一番町駅」は市の表記法に準拠

まずは青葉通一番町駅から。この駅は仙台市営地下鉄「東西線」の駅です。ということは、運営しているのは仙台市交通局になります。

市の図書館の方経由で仙台市交通局鉄道管理部営業課に確認してもらったところ、仙台市の駅は「仙台市歩行者系案内誘導サイン等基本方針」に準拠しているとのこと。

この基本方針の「3-2言語表記基準」には、以下のように書かれています。

広瀬通 Hirose-dori Avenue
駅前通 Ekimae-dori Avenue

というわけで、青葉通は「Aoba-dori」とハイフン付きで表記されることになり、それに伴い、駅名も「Aoba-dori Ichibancho」となっているようです。

一方の「あおば通駅」は?

では、あおば通駅の表記についてはどうなっているのか。この駅はJR東日本「仙石線」の駅です。

レファレンスサービスによると、「仙台市図書館所蔵の鉄道関係資料をあたりましたが、回答に至りませんでした。」とのこと。参考資料として、国土交通省国土地理院「地名等の英語表記規程」の資料を教えてもらいました。

しかし、この資料では、通りの名前はハイフン付きで書かれています。

日比谷通り Hibiya-dori Avenue

なぜ、あおば通駅の英語表記にはハイフンが入らないのか。筆者は、JR東日本の問い合わせ窓口に事実確認を行いました。しかし、明確な回答はありませんでした。

「あおば通」は固有名詞?

JRから正式な見解が無かったため、ここからは筆者の推測になります。同じ駅名にヒントがあるのではないかと調査をしていると、「新横浜」という駅名に行きつきました。

こちらの記事によれば、新横浜駅は「Shin-Yokohama」とハイフン付きで表記されます。一方、新横浜ラーメン博物館は「Shinyokohama ramen museum」と表されるようです。前者については、JR東日本はほぼ例外なく「新〇〇」という駅名にはハイフンが入るそう。対して後者に関しては、新横浜をひとつの固有名詞として繋げて表示しているため、ハイフンが入らないようです。

この例を準用すれば、あおば通駅は"固有名詞"としてのあおば通であり、Aobadoriと表記していると思われます。事実、AOBADORI RESIDENCEという分譲賃貸マンションがあったり、ホテルの英語表記がSENDAI AOBADORIとなっていたりするなど、固有名詞としてAobadoriと表記する建物が存在していることがわかります。

観光庁が掲げた英語表記のガイドライン

英語表記については、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」という資料を確認すると、2014年に観光庁が英語表記について改善を検討していたようです。同ガイドラインでは、駅名も外国人観光客にわかりやすい表記になるよう進められていきました。あおば通駅ができたのは2000年のことですから、まだ観光立国を目指す方針が出されていない時期の英語表記である可能性があります。一方の青葉通一番町駅の開業は2015年ですから、その対応が行われたのかもしれません。よってあおば通駅は「Aobadori」であり、青葉通一番町駅は「Aoba-dori Ichibancho」なのですね。

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実際のところ、あおば通駅の英語表記の理由については不明。鉄道会社によって表記揺れがあるのは首都圏でも確認できますし(『四ツ谷駅』と『四谷三丁目駅』など)、あおば通駅と青葉通一番町駅の関係も、単なる表記揺れなのかもしれません。

いずれにせよ、大切なのは外国人観光客への「わかりやすさ」です。仙台市を訪れる観光客にとって、優しい英語表記が求められるのは言うまでもありません。

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