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なぜフォークの歯は4本なのか

何気なく使っているフォークですが、なぜフォークの歯は4本なのか気になります。フォークの歯の本数については、何か歴史的な背景があるかもしれません。ということでさっそく調べてみることにしました。

平凡社『フォークの歯はなぜ四本になったか』によれば、中世ヨーロッパでは、2本のナイフで食事をしていたとのこと。右利きの人は、左手に持ったナイフで肉を押さえ、右手のナイフで適当な大きさに切って食べていたといいます。しかしながら、ナイフで押さえながら食べ物を切ると、車軸に通した車輪のように、食べ物が回転してしまうという不都合がありました。そこで、食べ物を固定できる道具が必要になったのです。そこで登場するのがフォークでした。

古代にはすでに海神ネプトゥーヌスの三叉鉾のようなものは存在していたものの、食事のための道具ではありませんでした。しかし、時代が下るにつれて食事の道具としてのフォークが登場します。まず7世紀ごろの中東の宮廷においてフォークが登場し、それが西暦1100年ごろにイタリアへ伝播。その後、少しずつヨーロッパに広がり、17世紀ごろにはイギリスに広がったとされています。

ところで、フォークの歯の本数はどのように変化していったのでしょうか? フォークは食べ物を固定させる重要な役割を果たしましたが、はじめの頃は2本の歯でできていたようです。歯が2本であれば、十分食べ物を固定させることができます。しかし、その2本の歯の間から小さな食べ物のかけらがこぼれ落ちてしまったり、突き刺した食べ物が滑り落ちてしまったりするなどの不都合が生まれました。そこで3本の歯にすることで、さじのようにすくって口に運ぶことが可能になったばかりか、突き刺した食べ物が口の中に運ぶまでに滑り落ちなくなったのです。

フォークの改良はさらに進み、18世紀の終わりにはドイツで4本歯のフォークが生まれ、19世紀の終わりにはイギリスで4本歯のフォークが一般家庭に普及するようになります。5本歯や6本歯のフォークも登場しますが、4本歯のフォークのほうがフォークの面が広くなり、「すくう」という作業に適しているようです。また肉に刺したとき、取れなくなるという心配もありません。フォークの歯が4本なのは、実用性を追求した結果だということがわかります。

ちなみに、3本歯のフォークは今もなお残っていますね。3本歯のフォークを見てみると、フォークの面が4本歯のものよりも狭くなっています。これは、歯の隙間から食べ物がこぼれ落ちないようにするためなのかもしれません。

以上、フォークの歴史について見てきました。今回参考文献として読んだ『フォークの歯はなぜ四本になったか』という本ですが、フォークのほかにファスナーが生まれるまでの歴史なども紐解いており、大変面白かったです。普段何気なく使っている道具の見方が変わる良書でした。興味のある方はぜひ。


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