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2023年10月前半日経平均相場の振り返り


①    日経平均チャート

10月前半相場を振り返ると、日経平均株価は月初の2日から4日の終値30526.88円と3日間で1330円安の波乱のスタートとなった。
特に2日は日中値幅が641円70銭と、およそ2カ月ぶりの広さとなった。
日経平均は午前9時半過ぎに一時前週末比543.96円高の32401.58円まで上昇した。
米政府機関の閉鎖が土壇場で回避され、日経平均先物を中心にショートカバーが広がった。
しかし午後に入るととたんに上げ幅を縮小させ、終値はこの日の安値となる前週末比97.74円安の31759.88円となった。

②    米国経済指標

先月より現物株を売り越している外国人投資家は米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めやストライキなどの懸念材料は多く、この週は米国で重要な経済統計の発表が複数予定(米9月ISM製造業景気指数・非製造業指数、米9月雇用統計など)されているため、政府機関の閉鎖回避では、本格的な買いにつながらなかったのであろう。
この下げが引き金になりその後の売りを誘発した感がある。

③    為替チャートとトヨタ

下げが目立ったのは輸出関連株、自動車株や半導体関連株である。
足元では円相場が日本時間3日の深夜に一時1ドル=150円台へ下落するなど歴史的な円安局面にあった。
大手自動車の想定為替レートは1ドル=130円前後で、このままなら大幅な利益拡大が期待できるが、それにもかかわらず売りが優勢だったのは、海外市場の変調で投資マインドが冷え込み、投機筋や海外投資家による先物売りが主導するリスク回避の売りに押されてしまった。
ただ8~9月にかけて上場来高値の更新が続いたトヨタ自動車のように、株価が好調だったため利益確定売りが出やすかった側面もあった。

④    信用取引買い残高

もう一つ東京証券取引所が3日発表した9月29日申し込み時点の信用取引の買い残高が前週末比1160億円増の3兆8722億円となった。
これは2007年8月以来約16年ぶりの高水準である。
9月中旬からの株価の下落を受け個人投資家の押し目買いが広がった証拠であるが、この買残高の多さが、裏返しの投げ売りとなり、下げに拍車をかけた面もある。

⑤    マザーズ指数

4日にはマザーズ指数が年初来安値を付けた。
終値は前日比20.17ポイント安の677.80と、2022年7月以来、約1年3カ月ぶりの安値となった。

⑥    米国長期金利

主因は米金利高だ。
2日に米連邦準備理事会(FRB)幹部による金融引き締め長期化を示唆する発言が相次ぎ、10年物国債利回りが一時4.7%台と16年ぶりの高水準をつけた。
金利上昇は企業が将来稼ぐ利益を現在価値に換算する際の割引率を押し上げ、割高株は売りの標的になりやすいからである。

⑦    日経平均該当期間チャート

日経平均株価は5日より猛反発となった。
12日の終値は32494.66円と、6日の80.69安を挟んで1967円の上昇となった。
5日は25日移動平均線からの下方乖離が6%を超えていたこともあり、値ごろ感からの買いが入りやすかった面もあるが、4日発表のADP全米雇用リポートをきっかけに米債券市場で長期金利の上昇に歯止めがかかった。
これを好感して米国株の主要3指数はそろって上昇し、日本株にも反発の流れが及んだ。
この日東証プライム市場では全体の9割超える1725銘柄が値上がりをした。
この後は下げの裏返しをするように自動車株や半導体関連株を中心に上昇していった。

⑧    日経ボラティリティ指数

以上のように10月に入り日経ボラティリティ指数は20ポイント台で推移しており、高い状態が続いている。

⑨    TOPIX

最後に市場の話題として一つ述べておこう。
東京証券取引所は6日、東証株価指数(TOPIX)から439社を2025年1月末で除外すると発表した。
TOPIXの算出方法の見直しに伴う措置で、対象銘柄は構成比率を段階的に下げて0にする。
対象銘柄はTOPIX連動で運用する資金の流入が減り、株価の下押し要因になる。
東証は22年10月にTOPIXの構成銘柄のうち流通時価総額が100億円を下回った493社を除外を視野に、構成比率を段階的に引き下げると発表していた。
これら「段階的ウエート低減銘柄は」23年10月の判定時点で流通時価総額100億円以上といった基準を満たせばTOPIXに残留するが、満たさない場合は正式に除外する。
段階的ウエート低減銘柄に指定された後に上場廃止となった銘柄もあり、判定の対象となったのは482社だった。
判定でTOPIX残留が決まったのは43社だった。
これらの銘柄は22年10月以降に引き下げた分の構成比率を段階的に回復させることになる。
この43社は多様な手段により株価上昇に努めてきただけに、今後も折に触れ紹介する可能性がある。


東証参照ページ
TOPIXにおける段階的ウエイト低減銘柄の再評価結果の公表について | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)

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